人物志 / 九徵
是故直而不柔則木,勁而不精則力,固而不端則愚,氣而不清則越,暢而不平則蕩。
新字:是故直而不柔則木,勁而不精則力,固而不端則愚,気而不清則越,暢而不平則蕩。
書き下し
是の故に直にして柔ならざれば則ち木なり、勁にして精ならざれば則ち力なり、固にして端ならざれば則ち愚なり、氣にして清ならざれば則ち越なり、暢にして平ならざれば則ち蕩なり。
現代語訳
だから、正直であっても柔軟さがなければ木石のように融通が利かなくなる。強くても洗練さがなければ単なる力任せになる。頑固でも公正さがなければ愚かさになる。気概があっても清らかさがなければ粗暴になる。のびやかでも節度がなければ放埓になる。
解説
正直さも強さも頑固さも、それ単体では長所にとどまらず、洗練を欠くと別の欠点に転じてしまう。人物志はこの表裏一体の構造を五つの対で具体的に示し、どんな美点にも磨き方が必要だと説く。自分の長所だと思っているものを、条件抜きで誇るのではなく、それがどんな状況で欠点に変わりうるかまで含めて理解しておくと、同じ強みでも扱い方が変わってくる。長所を捨てるのではなく、鍛え直すという発想である。
この章句が説くこと
長所短所洗練表裏一体