人物志 / 九徵
夫色見於貌,所謂徵神,徵神見貌,則情發於目。故仁目之精愨然以端;勇膽之精,曄然以彊。然皆偏至之材,以勝體為質者也。故勝質不精,則其事不遂。
新字:夫色見於貌,所謂徴神,徴神見貌,則情発於目。故仁目之精愨然以端;勇胆之精,曄然以彊。然皆偏至之材,以勝体為質者也。故勝質不精,則其事不遂。
書き下し
夫れ色の貌に見るる、所謂徴神なり。徴神貌に見るれば、則ち情は目に発す。故に仁目の精は愨然として以て端しく、勇胆の精は、曄然として以て彊し。然れども皆偏至の材にして、勝体を以て質と為す者なり。故に勝質精ならざれば、則ち其の事遂げず。
現代語訳
顔色が容貌にあらわれるのは、いわゆる「徴神」(精神のしるし)である。精神のしるしが容貌にあらわれれば、感情は目に発する。だから仁の人の目の輝きは誠実で端正であり、勇気と胆力のある人の目の輝きは、きらきらと強い。しかしこれらはみな一方に偏って秀でた才であり、勝った一面を素質としている者である。だから勝った素質が精妙でなければ、その事は成し遂げられない。
解説
顔色は精神のしるしであり、感情は最もよく目に現れると説く。仁の人の目は誠実で端正、勇の人の目は輝いて強い。しかし劉劭はすぐに、それらは偏至の材、つまり一つの長所が勝っている人にすぎないと付け加える。勝っている素質が精妙でなければ、事は成就しないという。長所が一つあることと、それが仕事を成し遂げる水準にまで磨かれていることは別だという指摘である。現代でも、熱意や誠実さが目に表れている人は好ましく見えるが、それだけで任せてよいかは分からない。長所の種類だけでなく、その精度まで見極めよという戒めとして読める。
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『長短経』知人〔人物志に曰く「夫れ心質亮直なれば、其の儀は勁固なり。心質平理なれば、其の儀は安閑なり。夫れ仁固の精は、慤然として以て端なり。勇胆の精は、曄然として以て強なり。夫れ憂患の色は、乏しくして且つ荒る。疾疢の色は、乱れて理を垢す。喜色は愉然として以て懌び、慍色は厲然として以て揚がり、垢惑の色は冒昧にして常無し。是の故に其の言は甚だ懌びて精色従わざる者は、中に違う有るなり。其の言は違う有りて精色信ず可き者は、辞の敏ならざるなり。言未だ発せずして怒色先ず見わるる者は、意の憤溢なり。言已に発して怒気之を送る者は、然らざる所を強うるなり」と。凡そ此の類は、之に違わんと欲すと雖も、精色従わず、威愕以て明らかに、変ずと雖も知る可きなり。〕
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