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人物志 / 九徵

中和之質,必平淡無味,故能調成五材,變化應節。

新字:中和之質,必平淡無味,故能調成五材,変化応節。

書き下し

中和の質は、必ず平淡にして味無し、故に能く五材を調成し、変化して節に応ず。

現代語訳

偏りのない中和の素質は、必ず淡泊で、これといった味(際立った特色)がない。だからこそ五つの材(五行に対応する才能)を調和させて成り立たせ、変化して時宜に応じることができる。

解説

人の素質のうち最も貴いのは中和であり、中和の人は淡泊で「味が無い」と劉劭は言う。味が無いとは無能という意味ではなく、どれか一つの味に偏らないからこそ、五つの材を調えて状況に応じて変化できるということである。これは『人物志』全体を貫く中庸・平淡の思想の核で、後の篇で君主の徳を「聰明平淡」とする議論につながる。際立った個性や得意技は目を引くが、組織をまとめる立場では、どの色にも染まらず各人の持ち味を生かす器のほうが大切になる。目立たない人の中にこうした調整の才がひそんでいることを見落とさないよう促す言葉でもある。

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