陰符経 / 上篇・神仙抱一演道章・天發殺機
天發殺機,移星易宿;地發殺機,龍蛇起陸;人發殺機,天地反覆;天人合發,萬變定基。
新字:天発殺機,移星易宿;地発殺機,竜蛇起陸;人発殺機,天地反覆;天人合発,万変定基。
書き下し
天は殺機を発して、星を移し宿を易う。 地は殺機を発して、竜蛇、陸に起こる。 人は殺機を発して、天地反覆す。 天人合して発すれば、万変、基を定む。
現代語訳
天が殺機(滅ぼすはたらき)を発すると、星の位置が移り、星座の宿が入れ替わります。 地が殺機を発すると、竜や蛇が陸に躍り出ます。 人が殺機を発すると、天地がひっくり返ります。 天と人とが合わせて発するとき、あらゆる変化の土台が定まります。
解説
天・地・人の三つが、それぞれに「殺機」を発すると説く章句です。殺機は、破壊や転換のきっかけになるはたらきと読まれることが多く、「天は殺機を発す」は『陰符経』を代表する一句として知られています。星が動き、竜蛇が起こり、天地が覆るという大きな比喩を重ねたあと、天と人が合したときに変化の基が定まると結びます。組織でも、大きな転換は外部環境の変化と内部の決断が重なったときに起こります。変化の兆しを、危機としてだけでなく、次の形が生まれる合図として受け止められるかが問われます。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
殺機天地人竜蛇天人合発万変基
関連する章句
-
陰符経・上篇・神仙抱一演道章・觀天之道天の道を観、天の行を執れば、尽くせり。 天に五賊有り、之を見る者は昌ゆ。 五賊は心に在り、天に施行す。 宇宙は手に在り、万化は身に生ず。 天性は人なり、人心は機なり。 天の道を立てて、以て人を定む。
-
陰符経・下篇・強兵戰勝演術章・自然之道靜自然の道は静かなり、故に天地万物生ず。 天地の道は浸し、故に陰陽勝つ。 陰陽相推して、変化順う。 是の故に聖人は、自然の道の違うべからざるを知り、因りてこれを制す。 至静の道は、律暦も契う能わざる所なり。 ここに奇器有り、是れ万象を生ず。 八卦甲子、神機鬼蔵す。 陰陽相勝の術、昭昭乎として象に進む。
-
陰符経・中篇・富國安民演法章・天地萬物之盜天地は万物の盗、万物は人の盗、人は万物の盗なり。 三盗既に宜しければ、三才既に安し。 故に曰く、其の時に食すれば、百骸理まり、其の機を動かせば、万化安んず。
-
陰符経・上篇・神仙抱一演道章・性有巧拙性に巧拙有り、以て伏蔵すべし。 九竅の邪は、三要に在り、以て動静すべし。 火は木に生じ、禍発すれば必ず尅つ。 姦は国に生じ、時動けば必ず潰ゆ。 これを知りて修練する、これを聖人と謂う。 天は生じ天は殺す、道の理なり。
-
言志四録・言志耋録 第八十三条 天地に参ずる所以天道は、変化無くして変化有り。地道は、変化有りて変化無し。我両間に立ち、仰いで観、俯して察し、裁成して之を輔相す。乃ち是れ人道の変化にして、天地に参ずる所以なり。
-
『潜夫論』本訓上古の世、太素の時、元気窈冥にして、未だ形兆有らず。万精合并し、混じて一と為り、製する莫く禦する莫し。斯くの若くして之を久しくし、翻然として自ら化し、清濁分別し、変じて陰陽を成す。陰陽に体有りて、実に両儀を生じ、天地壹鬱として、万物化して淳く、和気人を生じ、以て之を統理す。是の故に天は諸れを陽に本づき、地は諸れを陰に本づき、人は中和に本づく。三才は務めを異にし、相い待ちて成り、各おの其の道に循えば、和気乃ち臻り、璣衡乃ち平らかなり。天道は日に施し、地道は日に化し、人道は日に為す。為すとは、蓋し所謂る陰陽に感通して珍異を致すなり。人の行いの天地を動かすは、譬えば猶お車上に四馬を御し、蓬中に舟船を擢するがごとし。覆載せらるる所と為ると雖も、然れども亦た我が何れの所に之くべきかに在り。孔子曰く、「時に六龍に乗りて以て天を御す」と。言行は、君子の天地を動かす所以なり、慎まざるべけんや。此れ従り観れば、天は其の兆を呈し、人は其の勲を序す。《書》に故に曰く、「天の功は、人其れ之に代わる」と。如し蓋し其の政を理めて以て天気を和し、以て其の功を臻さん。是の故に道徳の用は、気より大なるは莫し。道は之の根なり、気は変ずる所なり、神気の動かす所なり。