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法句経 / 第二十四 愛欲の部 三五三〜三五五 法施は一切施に勝る

三五三 我は一切に勝ち、一切を知る、一切事件に汚されず、一切を捨て、愛盡きて解脱し、獨り自ら覺る、誰をか教へん。 三五四 法施は一切施中に勝れ、法味は一切味中に勝れ、法樂は一切樂中に勝れ、愛盡は一切の苦に勝る。 三五五 受樂は彼岸を求めざる愚人を殺す、愚人は受樂を貪りて敵を(殺すが)如く己を殺す。

新字:三五三 我は一切に勝ち、一切を知る、一切事件に汚されず、一切を捨て、愛尽きて解脱し、独り自ら覚る、誰をか教へん。 三五四 法施は一切施中に勝れ、法味は一切味中に勝れ、法楽は一切楽中に勝れ、愛尽は一切の苦に勝る。 三五五 受楽は彼岸を求めざる愚人を殺す、愚人は受楽を貪りて敵を(殺すが)如く己を殺す。

書き下し

三五三 我は一切に勝ち、一切を知る、一切事件に汚されず、一切を捨て、愛尽きて解脱し、独り自ら覚る、誰をか教へん。 三五四 法施は一切施中に勝れ、法味は一切味中に勝れ、法楽は一切楽中に勝れ、愛尽は一切の苦に勝る。 三五五 受楽は彼岸を求めざる愚人を殺す、愚人は受楽を貪りて敵を(殺すが)如く己を殺す。

現代語訳

私はすべてに勝ち、すべてを知る。あらゆる物事に汚されず、すべてを捨て、愛欲が尽きて解き放たれ、独り自ら覚った。誰を師として示そうか。法(真理の教え)を施すことはあらゆる施しに勝り、法の味わいはあらゆる味わいに勝り、法の楽しみはあらゆる楽しみに勝り、愛欲が尽きることはあらゆる苦しみに打ち勝つ。享楽は、彼岸(涅槃)を求めない愚かな人を殺す。愚かな人は享楽を貪って、敵を殺すように自分を殺す。

解説

愛欲の部の終盤に置かれた三偈である。三五三は、覚りを開いた釈尊が、道で出会った修行者ウパカに師は誰かと問われて答えた言葉として伝わる。一切に勝ち、一切を知り、独り自ら覚った、誰を師として示そうか、と。傲慢にも聞こえるが、覚りは誰かから受け取るものではないという宣言でもある。三五四は、施し、味、楽しみの三つを並べ、そのいずれでも法が勝ると言い、最後に愛欲の尽きることが一切の苦に勝ると結ぶ。財を与えるより、生き方の道理を分かち合うことのほうが大きな施しだという考えである。三五五は一転して、享楽が愚かな人を殺すと言う。しかも愚人は、敵を殺すように自分を殺す。自分を害しているのに、敵を倒しているつもりでいる。部下や後進に何を手渡すかを考えるとき、物より道理を渡すことの重みを思い出させる偈である。

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