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法句経 / 第二十四 愛欲の部 三四七〜三四九 自ら造れる流れ

三四七 貪に著する人は自ら造れる流に沿うて行く、蜘蛛が(自ら造れる線に沿うて行くが)如く、賢人は顧慮なく此を切り、欲を斷ちて遊行す。 三四八 汝は有の際を窮めて、先を離れ、中を離れ、後を離れ、意一切處に於て解脱し、再び生と老と(死と)を受けじ。 三四九 尋思に擾亂せられ、貪猛利にして、生活に樂を求むる人の愛欲は倍す増長す、彼は眞に縛を堅うす。

新字:三四七 貪に著する人は自ら造れる流に沿うて行く、蜘蛛が(自ら造れる線に沿うて行くが)如く、賢人は顧慮なく此を切り、欲を断ちて遊行す。 三四八 汝は有の際を窮めて、先を離れ、中を離れ、後を離れ、意一切処に於て解脱し、再び生と老と(死と)を受けじ。 三四九 尋思に擾乱せられ、貪猛利にして、生活に楽を求むる人の愛欲は倍す増長す、彼は真に縛を堅うす。

書き下し

三四七 貪に著する人は自ら造れる流に沿うて行く、蜘蛛が(自ら造れる線に沿うて行くが)如く、賢人は顧慮なく此を切り、欲を断ちて遊行す。 三四八 汝は有の際を窮めて、先を離れ、中を離れ、後を離れ、意一切処に於て解脱し、再び生と老と(死と)を受けじ。 三四九 尋思に擾乱せられ、貪猛利にして、生活に楽を求むる人の愛欲は倍す増長す、彼は真に縛を堅うす。

現代語訳

貪りに執着する人は、自分で造った流れに沿って行く。蜘蛛が自分で造った糸に沿って行くように。賢い人は顧みることなくこれを断ち切り、欲を断って遊行する。あなたは生存の果てを究め、過去を離れ、現在を離れ、未来を離れよ。心があらゆるところで解き放たれていれば、再び生と老と(死と)を受けることはない。思いめぐらしに乱され、貪りが激しく、生活に楽しみを求める人の愛欲はますます増す。彼はまことに自分の縛りを堅くする。

解説

愛欲の部の三偈である。三四七の蜘蛛の比喩が印象深い。蜘蛛は自分で張った糸の上を行き来し、その網の中で暮らす。貪る人もまた、自分で造った流れに沿って進むしかない。縛りを造ったのは他人ではなく自分だというところに、この比喩の厳しさがある。三四八は、先・中・後を離れよと言う。荻原の注によれば、過去・現在・未来の三世にわたる愛欲を指す。過ぎたことへの未練、いまの執着、先への期待のどれにも心を貼りつけないとき、生と老と死の繰り返しから離れる、と古代インドの世界観の言葉で結ばれる。三四九は再び縛りの側に戻り、あれこれ思いめぐらす心が愛欲を倍にし、縛りを堅くすると言う。考えれば考えるほど糸が増える。自分で張った網の中で動けなくなっていないか。仕事の悩みの多くに、そう問い直す余地がある。

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