法句経 / 第二十四 愛欲の部 三三八〜三四〇
三三八 根侵されずして堅固なれば樹は截らると雖も復た長ずるが如く、是の如く愛欲隨眠壞られざれば、此の(生死の)苦復た起る。 三三九 若し人に可意の物に於て漏泄する強き三十六駛流あれば、貪愛より發する分別の浪は其の惡見者を漂蕩す。 三四〇 流恆に漏泄し、蔓長へに萌す、蔓の生ずるを見れば慧を以て其根を斷て。
新字:三三八 根侵されずして堅固なれば樹は截らると雖も復た長ずるが如く、是の如く愛欲随眠壊られざれば、此の(生死の)苦復た起る。 三三九 若し人に可意の物に於て漏泄する強き三十六駛流あれば、貪愛より発する分別の浪は其の悪見者を漂蕩す。 三四〇 流恒に漏泄し、蔓長へに萌す、蔓の生ずるを見れば慧を以て其根を断て。
書き下し
三三八 根侵されずして堅固なれば樹は截らると雖も復た長ずるが如く、是の如く愛欲随眠壊られざれば、此の(生死の)苦復た起る。 三三九 若し人に可意の物に於て漏泄する強き三十六駛流あれば、貪愛より発する分別の浪は其の悪見者を漂蕩す。 三四〇 流恒に漏泄し、蔓長へに萌す、蔓の生ずるを見れば慧を以て其根を断て。
現代語訳
根が侵されずに堅固であれば、樹は切られてもまた伸びるように、愛欲の潜在する力が壊されなければ、この生死の苦しみはまた起こる。もし人に、意にかなうものについて漏れ出る強い三十六の激流があるなら、貪愛から発する分別の波が、その邪見の者を漂わせる。流れは常に漏れ出て、蔓は永く萌え出る。蔓の生ずるのを見たなら、智慧をもってその根を断て。
解説
樹と蔓の比喩で、対処療法の限界を説く。地上の幹を切っても、根が無事なら樹はまた伸びる。表に出た問題だけを処理しても、根が残っていれば同じことが繰り返される。荻原は「三十六駛流」に長い註を付けており、六つの感覚対象への愛を、欲・有・無有の三に掛けて十八とし、それを内と外に分けて三十六とする、と説明する。数え方の細かさは、それだけ愛欲が分岐して流れ出ることの表現である。三四〇の「蔓の生ずるを見れば慧を以て其根を斷て」が処方になる。蔓が見えたら、蔓を刈るのではなく根を断て。しかも道具は智慧だと指定されている。意志や我慢ではなく、どこが根かを見きわめる目のほうが要るということだ。
この章句が説くこと
根侵されず樹は截らるとも復た長ず三十六駛流根を断つ