法華経 / 觀世音菩薩普門品第二十五(3)
佛告無盡意菩薩。善男子。若有國土眾生。應以佛身得度者。觀世音菩薩。即現佛身而為說法。應以辟支佛身得度者。即現辟支佛身而為說法。應以聲聞身得度者。即現聲聞身而為說法。應以梵王身得度者。即現梵王身而為說法。應以帝釋身得度者。即現帝釋身而為說法。應以自在天身得度者。即現自在天身而為說法。應以大自在天身得度者。即現大自在天身而為說法。應以天大將軍身得度者。即現天大將軍身而為說法。應以毘沙門身得度者。即現毘沙門身而為說法。應以小王身得度者。即現小王身而為說法。應以長者身得度者。即現長者身而為說法。應以居士身得度者。即現居士身而為說法。應以宰官身得度者。即現宰官身而為說法。應以婆羅門身得度者。即現婆羅門身而為說法。應以比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身得度者。即現比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身而為說法。應以長者、居士、宰官、婆羅門婦女身得度者。即現婦女身而為說法。應以童男、童女身得度者。即現童男、童女身而為說法。應以天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦樓羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人等身得度者。即皆現之而為說法。應以執金剛神得度者。即現執金剛神而為說法。
新字:仏告無尽意菩薩。善男子。若有国土衆生。応以仏身得度者。観世音菩薩。即現仏身而為説法。応以辟支仏身得度者。即現辟支仏身而為説法。応以声聞身得度者。即現声聞身而為説法。応以梵王身得度者。即現梵王身而為説法。応以帝釈身得度者。即現帝釈身而為説法。応以自在天身得度者。即現自在天身而為説法。応以大自在天身得度者。即現大自在天身而為説法。応以天大将軍身得度者。即現天大将軍身而為説法。応以毘沙門身得度者。即現毘沙門身而為説法。応以小王身得度者。即現小王身而為説法。応以長者身得度者。即現長者身而為説法。応以居士身得度者。即現居士身而為説法。応以宰官身得度者。即現宰官身而為説法。応以婆羅門身得度者。即現婆羅門身而為説法。応以比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身得度者。即現比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身而為説法。応以長者、居士、宰官、婆羅門婦女身得度者。即現婦女身而為説法。応以童男、童女身得度者。即現童男、童女身而為説法。応以天、竜、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人等身得度者。即皆現之而為説法。応以執金剛神得度者。即現執金剛神而為説法。
書き下し
仏、無尽意菩薩に告げたまわく。善男子よ。若し国土の衆生、仏身を以て得度すべき者には、観世音菩薩、即ち仏身を現じて為に法を説く。辟支仏身を以て得度すべき者には、即ち辟支仏身を現じて為に法を説く。声聞身を以て得度すべき者には、即ち声聞身を現じて為に法を説く。梵王身を以て得度すべき者には、即ち梵王身を現じて為に法を説く。帝釈身を以て得度すべき者には、即ち帝釈身を現じて為に法を説く。自在天身を以て得度すべき者には、即ち自在天身を現じて為に法を説く。大自在天身を以て得度すべき者には、即ち大自在天身を現じて為に法を説く。天大将軍身を以て得度すべき者には、即ち天大将軍身を現じて為に法を説く。毘沙門身を以て得度すべき者には、即ち毘沙門身を現じて為に法を説く。小王身を以て得度すべき者には、即ち小王身を現じて為に法を説く。長者身を以て得度すべき者には、即ち長者身を現じて為に法を説く。居士身を以て得度すべき者には、即ち居士身を現じて為に法を説く。宰官身を以て得度すべき者には、即ち宰官身を現じて為に法を説く。婆羅門身を以て得度すべき者には、即ち婆羅門身を現じて為に法を説く。比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身を以て得度すべき者には、即ち比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷身を現じて為に法を説く。長者、居士、宰官、婆羅門の婦女身を以て得度すべき者には、即ち婦女身を現じて為に法を説く。童男、童女身を以て得度すべき者には、即ち童男、童女身を現じて為に法を説く。天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人等の身を以て得度すべき者には、即ち皆之を現じて為に法を説く。執金剛神を以て得度すべき者には、即ち執金剛神を現じて為に法を説く。
現代語訳
釈尊は無尽意菩薩に告げられました。善男子よ、もし国土の人々が、仏の身で導かれるのがふさわしいなら、観世音菩薩はすぐに仏の身を現して法を説く。辟支仏の身がふさわしければ辟支仏の身を、声聞の身がふさわしければ声聞の身を、梵王の身がふさわしければ梵王の身を、帝釈の身がふさわしければ帝釈の身を、自在天の身、大自在天の身、天の大将軍の身、毘沙門の身、小国の王の身、長者の身、居士の身、宰官(役人)の身、バラモンの身がふさわしければ、それぞれの身をすぐに現して法を説く。比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷の身がふさわしければその身を、長者・居士・宰官・バラモンの家の婦女の身がふさわしければ婦女の身を、少年少女の身がふさわしければその身を現して法を説く。天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、人ならざるものたちの身がふさわしければ、そのすべてを現して法を説く。執金剛神(仏法を守る力士)がふさわしければ、執金剛神を現して法を説く。
解説

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法華経・觀世音菩薩普門品第二十五(2)無尽意よ、観世音菩薩摩訶薩の威神の力は、巍巍としてかくの如し。もし衆生有りて、婬欲多からんに、常に観世音菩薩を念じ恭敬せば、便ち欲を離るることを得ん。もし瞋恚多からんに、常に観世音菩薩を念じ恭敬せば、便ち瞋を離るることを得ん。もし愚癡多からんに、常に観世音菩薩を念じ恭敬せば、便ち癡を離るることを得ん。 無尽意よ、観世音菩薩は、かくの如き等の大威神力有りて、饒益する所多し。この故に衆生は、常に応に心に念ずべし。もし女人有りて、設い男を求めんと欲せば、観世音菩薩を礼拝し供養せよ。便ち福徳智慧の男を生まん。設い女を求めんと欲せば、便ち端正有相の女を生まん。宿に徳本を植えて、衆人に愛敬せらるべし。 無尽意よ、観世音菩薩には、かくの如き力有り。もし衆生有りて、観世音菩薩を恭敬し礼拝せば、福は唐しく捐てられず。この故に衆生は、皆応に観世音菩薩の名号を受持すべし。 無尽意よ、もし人有りて、六十二億恒河沙の菩薩の名字を受持し、復形を尽くすまで、飲食・衣服・臥具・医薬を供養せんに、汝が意においていかん。この善男子・善女人の功徳は多しや不や。 無尽意の言わく、「甚だ多し、世尊よ。」 仏の言わく、「もし復人有りて、観世音菩薩の名号を受持し、乃至一時にても礼拝し供養せば、この二人の福は、正に等しくして異なること無し。百千万億劫においても窮め尽くすべからず。無尽意よ、観世音菩薩の名号を受持せば、かくの如き無量無辺の福徳の利を得ん。」 無尽意菩薩、仏に白して言さく、「世尊よ、観世音菩薩は、云何が此の娑婆世界に遊びたもうや。云何が衆生のために法を説きたもうや。方便の力、その事云何。」
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法華経・觀世音菩薩普門品第二十五(5)或いは須弥の峰に在りて、人の為に推し堕とされんに、彼の観音の力を念ずれば、日の如くして虚空に住せん。或いは悪人に逐われて、金剛山より堕落せんに、彼の観音の力を念ずれば、一毛をも損ずること能わず。 或いは怨賊の繞みて、各刀を執りて害を加えんに値うも、彼の観音の力を念ずれば、咸く即ち慈心を起こさん。或いは王難の苦に遭い、刑に臨みて寿終らんと欲するも、彼の観音の力を念ずれば、刀尋いで段段に壊れん。 或いは囚禁され枷鎖せられ、手足に杻械を被るも、彼の観音の力を念ずれば、釈然として解脱を得ん。呪詛と諸の毒薬とにて、身を害せんと欲せらるるも、彼の観音の力を念ずれば、還って本人に著きなん。 或いは悪羅刹、毒龍、諸鬼等に遇うも、彼の観音の力を念ずれば、時に悉く敢えて害せず。若し悪獣に囲遶せられ、利き牙爪の怖るべきも、彼の観音の力を念ずれば、疾く無辺の方に走らん。 蚖蛇及び蝮蠍の、気毒の煙火のごとく燃ゆるも、彼の観音の力を念ずれば、声を尋ねて自ら迴り去らん。雲雷鼓し掣電し、雹を降らし大雨を澍ぐも、彼の観音の力を念ずれば、時に応じて消散することを得ん。 衆生困厄を被り、無量の苦身を逼むるも、観音の妙智の力は、能く世間の苦を救う。神通力を具足し、広く智の方便を修して、十方の諸の国土に、刹として身を現ぜざること無し。 種種の諸の悪趣、地獄、鬼、畜生、生老病死の苦、以て漸く悉く滅せしむ。真観、清浄観、広大智慧観、悲観、及び慈観あり、常に願い常に瞻仰すべし。 無垢清浄の光、慧日、諸の闇を破り、能く災の風火を伏して、普く明らかに世間を照らす。悲の体は戒めて雷のごとく震い、慈の意は妙なる大雲のごとし、甘露の法雨を澍ぎ、煩悩の焰を滅除す。 諍訟して官処を経、軍陣の中に怖畏するも、彼の観音の力を念ずれば、衆の怨み悉く退散せん。妙音、観世音、梵音、海潮音、世間の音に勝れたり、是の故に須く常に念ずべし、 念念に疑いを生ずること勿れ。観世音は浄聖なり、苦悩死厄に於いて、能く為に依怙と作る。一切の功徳を具し、慈眼をもって衆生を視たまう、福聚の海は無量なり、是の故に応に頂礼すべし。 爾の時、持地菩薩、即ち座より起ちて、前みて仏に白して言さく。世尊、若し衆生有りて、是の観世音菩薩品の自在の業、普門示現の神通力を聞かん者は、当に知るべし、是の人の功徳少なからず、と。 仏、是の普門品を説きたまいし時、衆の中の八万四千の衆生、皆無等等の阿耨多羅三藐三菩提の心を発しき。
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法華経・觀世音菩薩普門品第二十五(1)その時、無尽意菩薩、即ち座より起ち、偏えに右肩を袒にし、合掌して仏に向かい、この言を作さく、「世尊よ、観世音菩薩は、何の因縁を以て、観世音と名づくるや。」 仏、無尽意菩薩に告げたまわく、「善男子よ、もし無量百千万億の衆生有りて、諸の苦悩を受けんに、この観世音菩薩を聞きて、一心に名を称せば、観世音菩薩は、即時にその音声を観じて、皆解脱を得しめん。もしこの観世音菩薩の名を持つ者有らば、設い大火に入るとも、火も焼くこと能わず。この菩薩の威神力に由るが故なり。もし大水に漂わされんに、その名号を称せば、即ち浅き処を得ん。もし百千万億の衆生有りて、金・銀・瑠璃・硨磲・瑪瑙・珊瑚・琥珀・真珠等の宝を求めんが為に、大海に入らんに、仮使い黒風、その船舫を吹きて、羅刹鬼の国に飄堕せんに、その中にもし乃至一人にても、観世音菩薩の名を称せば、この諸人等、皆羅刹の難を解脱することを得ん。この因縁を以て、観世音と名づく。もしまた人有りて、当に害せられんとするに臨みて、観世音菩薩の名を称せば、かの執る所の刀杖、尋いで段段に壊れて、解脱を得ん。もし三千大千国土に、中に満てる夜叉・羅刹の、来たりて人を悩まさんと欲するも、その観世音菩薩の名を称するを聞かば、この諸の悪鬼、尚お悪眼を以てこれを視ること能わず、況んや復害を加えんや。設い復人有りて、もしは罪有り、もしは罪無く、杻械・枷鎖もて其の身を検繋せんに、観世音菩薩の名を称せば、皆悉く断壊して、即ち解脱を得ん。もし三千大千国土に、中に満てる怨賊あらんに、一りの商主有り、諸の商人を将いて、重宝を齎持し、険路を経過せんに、その中の一人、この唱言を作さく、諸の善男子よ、恐怖すること勿れ。汝等、応当に一心に観世音菩薩の名号を称すべし。この菩薩は能く無畏を以て、衆生に施したもう。汝等もし名を称せば、この怨賊より当に解脱を得べし、と。衆の商人聞きて、倶に声を発して言わく、南無観世音菩薩、と。其の名を称するが故に、即ち解脱を得たり。」
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法華経・觀世音菩薩普門品第二十五(4)無尽意よ。是の観世音菩薩は、是の如き功徳を成就し、種種の形を以て諸の国土に遊び、衆生を度脱す。是の故に汝等、応当に一心に観世音菩薩を供養すべし。是の観世音菩薩摩訶薩は、怖畏急難の中に於いて能く無畏を施す。是の故に此の娑婆世界には、皆之を号して施無畏者と為す。 無尽意菩薩、仏に白して言さく。世尊、我今当に観世音菩薩を供養すべし、と。即ち頸の衆宝珠の瓔珞の、価値百千両金なるを解きて、而も以て之に与う。是の言を作さく。仁者よ、此の法施の珍宝の瓔珞を受けたまえ、と。時に観世音菩薩、肯えて之を受けず。無尽意、復観世音菩薩に白して言さく。仁者よ、我等を愍れむが故に、此の瓔珞を受けたまえ、と。 爾の時、仏、観世音菩薩に告げたまわく。当に此の無尽意菩薩、及び四衆、天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人等を愍れむが故に、是の瓔珞を受くべし、と。 即時に観世音菩薩、諸の四衆、及び天、龍、人、非人等を愍れみて、其の瓔珞を受け、分ちて二分と作し、一分は釈迦牟尼仏に奉り、一分は多宝仏の塔に奉る。 無尽意よ。観世音菩薩は、是の如き自在の神力有りて、娑婆世界に遊ぶ。 爾の時、無尽意菩薩、偈を以て問うて曰く、 世尊は妙相を具えたまえり、我今重ねて彼を問う、仏子何の因縁ありてか、名づけて観世音と為す。妙相を具足せる尊、偈をもって無尽意に答えたまわく、汝、観音の行の、善く諸の方所に応ずるを聴け。 弘誓の深きこと海の如く、歴劫にも不思議なり、多千億の仏に侍えて、大清浄の願を発せり。我、汝が為に略して説かん、名を聞き及び身を見、心に念じて空しく過ごさざれば、能く諸有の苦を滅す。 仮使い害意を興し、大火坑に推し落とさんに、彼の観音の力を念ずれば、火坑変じて池と成らん。或いは巨海に漂流して、龍魚諸鬼の難あらんに、彼の観音の力を念ずれば、波浪も没すること能わず。
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維摩経・佛道品第八(4)世間の衆の道法、悉く中に於いて出家す。 因りて以て人の惑いを解き、而も邪見に墮ちず。 或いは日月天、梵王、世界の主と作り、 或る時は地水と作り、或いは復た風火と作る。 劫中に疾疫有れば、現じて諸の薬草と作る。 若し之を服する者有らば、病を除き衆毒を消す。 劫中に飢饉有れば、身を現じて飲食と作る。 先ず彼の飢渇を救い、却って法を以て人に語る。 劫中に刀兵有れば、之が為に慈心を起こし、 彼の諸の衆生を化して、無諍の地に住せしむ。 若し大戦陣有らば、之に立つに等力を以てす。 菩薩威勢を現じ、降伏して和安ならしむ。 一切の国土の中の、諸有る地獄の処に、 輒ち往きて彼に到り、其の苦悩を勉済す。 一切の国土の中に、畜生の相食噉するには、 皆現じて彼に生まれ、之が為に利益を作す。 五欲を受くるを示し、亦復た禅を行ずるを現ず。 魔の心をして憒乱せしめ、其の便を得ること能わざらしむ。 火中に蓮華を生ず、是れ希有と謂うべし。 欲に在りて禅を行ずること、希有なること亦た是くの如し。 或いは婬女と作りて、諸の好色の者を引く。 先ず欲の鉤を以て牽き、後に仏道に入らしむ。 或いは邑中の主と為り、或いは商人の導と作る。 国師及び大臣となり、以て衆生を祐利す。 諸有る貧窮の者には、現じて無尽蔵と作る。 因りて以て之を勧導し、菩提心を発さしむ。 我が心憍慢の者には、為に大力士と現じ、 諸の貢高を消伏して、無上道に住せしむ。 其れ恐懼の衆有れば、前に居りて慰安し、 先ず施すに無畏を以てし、後に道心を発さしむ。 或いは婬欲を離るるを現じ、五通の仙人と為り、 諸の群生を開導して、戒・忍・慈に住せしむ。 供事を須うる者を見ては、現じて僮僕と作る。 既に其の意を悦可して、乃ち発すに道心を以てす。 彼の須うる所に随いて、仏道に入ることを得しむ。 善き方便の力を以て、皆能く之を給足す。 是くの如く道は無量にして、行ずる所に涯有ること無し。 智慧は辺際無く、無数の衆を度脱す。 仮令い一切の仏、無量億劫に於いて、 其の功徳を讃歎するも、猶お尚お尽くすこと能わず。 誰か是くの如き法を聞きて、菩提心を発さざらん。 彼の不肖の人、癡冥にして智無き者を除く。