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法華経 / 法師功德品第十九(5)

是人鼻清淨,於此世界中,若香若臭物,種種悉聞知。須曼那闍提,多摩羅栴檀、沈水及桂香,種種華果香, 及知眾生香,男子女人香,說法者遠住,聞香知所在。大勢轉輪王,小轉輪及子,群臣諸宮人,聞香知所在。 身所著珍寶,及地中寶藏,轉輪王寶女,聞香知所在。諸人嚴身具,衣服及瓔珞、種種所塗香,聞香知其身。 諸天若行坐,遊戲及神變,持是法華者,聞香悉能知。諸樹華果實,及酥油香氣,持經者住此,悉知其所在。 諸山深險處,栴檀樹花敷,眾生在中者,聞香皆能知。鐵圍山大海,地中諸眾生,持經者聞香,悉知其所在。 阿修羅男女,及其諸眷屬,鬥諍遊戲時,聞香皆能知。曠野險隘處,獅子象虎狼,野牛水牛等,聞香知所在。 若有懷妊者,未辯其男女,無根及非人,聞香悉能知。以聞香力故,知其初懷妊,成就不成就,安樂產福子。 以聞香力故,知男女所念,染欲癡恚心,亦知修善者。地中眾伏藏,金銀諸珍寶,銅器之所盛,聞香悉能知。

新字:是人鼻清浄,於此世界中,若香若臭物,種種悉聞知。須曼那闍提,多摩羅栴檀、沈水及桂香,種種華果香, 及知衆生香,男子女人香,説法者遠住,聞香知所在。大勢転輪王,小転輪及子,群臣諸宮人,聞香知所在。 身所著珍宝,及地中宝蔵,転輪王宝女,聞香知所在。諸人厳身具,衣服及瓔珞、種種所塗香,聞香知其身。 諸天若行坐,遊戯及神変,持是法華者,聞香悉能知。諸樹華果実,及酥油香気,持経者住此,悉知其所在。 諸山深険処,栴檀樹花敷,衆生在中者,聞香皆能知。鉄囲山大海,地中諸衆生,持経者聞香,悉知其所在。 阿修羅男女,及其諸眷属,鬥諍遊戯時,聞香皆能知。曠野険隘処,獅子象虎狼,野牛水牛等,聞香知所在。 若有懐妊者,未弁其男女,無根及非人,聞香悉能知。以聞香力故,知其初懐妊,成就不成就,安楽産福子。 以聞香力故,知男女所念,染欲痴恚心,亦知修善者。地中衆伏蔵,金銀諸珍宝,銅器之所盛,聞香悉能知。

書き下し

是の人は鼻清浄にして、此の世界の中に於いて、若しは香、若しは臭き物、種種を悉く聞き知る。須曼那、闍提、多摩羅、栴檀、沈水、及び桂の香、種種の華果の香、 及び衆生の香、男子女人の香を知り、説法者の遠く住するも、香を聞きて所在を知る。大勢の転輪王、小転輪、及び子、群臣、諸の宮人も、香を聞きて所在を知る。 身に著くる所の珍宝、及び地中の宝蔵、転輪王の宝女も、香を聞きて所在を知る。諸人の身を厳る具、衣服、及び瓔珞、種種の塗香も、香を聞きて其の身を知る。 諸天の若しは行き坐し、遊戯し及び神変するも、是の法華を持つ者は、香を聞きて悉く能く知る。諸樹の華果実、及び酥油の香気も、経を持つ者は此に住して、悉く其の所在を知る。 諸山の深険の処、栴檀樹の花敷くに、衆生の中に在る者も、香を聞きて皆な能く知る。鉄囲山、大海、地中の諸の衆生も、経を持つ者は香を聞きて、悉く其の所在を知る。 阿修羅の男女、及び其の諸の眷属の、闘諍し遊戯せる時も、香を聞きて皆な能く知る。曠野の険隘の処、獅子、象、虎、狼、野牛、水牛等も、香を聞きて所在を知る。 若し懐妊せる者有るも、未だ其の男女を弁ぜず、無根、及び非人も、香を聞きて悉く能く知る。香を聞く力を以ての故に、其の初めて懐妊し、成就と不成就と、安楽に福子を産むとを知る。 香を聞く力を以ての故に、男女の念う所、染欲、癡、恚の心を知り、亦た善を修する者を知る。地中の衆の伏蔵、金銀の諸の珍宝、銅器の盛る所も、香を聞きて悉く能く知る。

現代語訳

この人は鼻が清らかで、この世界の中の、香りのよいもの、臭いものを、さまざまにすべて嗅ぎ知ります。須曼那、闍提、多摩羅、栴檀、沈水、桂の香、さまざまな花や果実の香、 また衆生の香、男女の香を知り、説法者が遠くにいても、香を嗅いでその所在を知ります。大きな勢力を持つ転輪王、小さな転輪王、およびその子、群臣、宮中の人々も、香を嗅いでその所在を知ります。 身につけた珍宝、地中の宝の蔵、転輪王の宝女も、香を嗅いでその所在を知ります。人々の身を飾る道具、衣服、瓔珞、さまざまな塗り香も、香を嗅いでその身を知ります。 諸天が行き、座り、遊び、神変を現すときも、この法華経を持つ者は、香を嗅いですべてよく知ります。多くの樹の花や果実、酥や油の香りも、経を持つ者はここにいて、すべてその所在を知ります。 諸山の深く険しい所に、栴檀の花が咲いていて、そこにいる衆生がいても、香を嗅いですべてよく知ります。鉄囲山、大海、地の中の衆生も、経を持つ者は香を嗅いで、すべてその所在を知ります。 阿修羅の男女とその眷属が、争ったり遊んだりしているときも、香を嗅いですべてよく知ります。広い野や険しい隘路にいる獅子、象、虎、狼、野牛、水牛なども、香を嗅いでその所在を知ります。 もし妊娠している人がいて、まだ男女が分からなくても、また男女の別のない者や、人ではない者も、香を嗅いですべてよく知ります。香を嗅ぐ力によって、その人が初めて妊娠したこと、無事に育つか育たないか、安らかに福ある子を産むかを知ります。 香を嗅ぐ力によって、男女の思うところ、欲望と愚かさと怒りの心を知り、また善を修める者も知ります。地中にある埋蔵物、金銀の珍宝、銅の器に盛られたものも、香を嗅いですべてよく知ります。

解説

前節の鼻の功徳を偈で重ね、香を手がかりに、人や王、動物、宝物、さらに人の心にある貪り、愚かさ、怒り、そして善を修める心まで知る、と歌います。妊娠や埋蔵物にまで及ぶ描写は、当時の世界観にもとづく大きな誇張で、字義どおりの能力としては読みません。象徴としては、目に見えないものの気配を手がかりに状況の本質を捉える力を指していると読めます。表情や声色の小さな変化から、相手の心の動きを察することにも通じます。
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この章句が説くこと

香聞香知所在貪瞋痴転輪王阿修羅伏蔵

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