法華経 / 勸持品第十三(2)
爾時羅侯羅母耶輸陀羅比丘尼作是念:「世尊於授記中,獨不說我名。」佛告耶輸陀羅:「汝於來世百千萬億諸佛法中、修菩薩行,為大法師,漸具佛道。於善國中、當得作佛,號具足千萬光相如來、應供、正遍知、明行足、善逝世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。佛壽無量阿僧祇劫。」 爾時摩訶波闍波提比丘尼、及耶輸陀羅比丘尼、並其眷屬,皆大歡喜,得未曾有,即於佛前而說偈言: 世尊導師,安隱天人,我等聞記,心安具足。 諸比丘尼說是偈已,白佛言:「世尊,我等亦能於他方國土、廣宣此經。」爾時世尊視八十萬億那由他諸菩薩摩訶薩。是諸菩薩,皆是阿惟越致,轉不退法輪,得諸陀羅尼。即從座起,至於佛前,一心合掌,而作是念:「若世尊告敕我等、持說此經者,當如佛教,廣宣斯法。」復作是念:「佛今默然、不見告敕,我當云何?」 時諸菩薩敬順佛意,並欲自滿本願,便於佛前、作師子吼,而發誓言:「世尊,我等於如來滅後,周旋往返十方世界,能令眾生書寫此經,受持、讀誦,解說其義,如法修行,正憶念,皆是佛之威力,惟願世尊,在於他方、遙見守護。」即時諸菩薩俱同發聲、而說偈言:
新字:爾時羅侯羅母耶輸陀羅比丘尼作是念:「世尊於授記中,独不説我名。」仏告耶輸陀羅:「汝於来世百千万億諸仏法中、修菩薩行,為大法師,漸具仏道。於善国中、当得作仏,号具足千万光相如来、応供、正遍知、明行足、善逝世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊。仏寿無量阿僧祇劫。」 爾時摩訶波闍波提比丘尼、及耶輸陀羅比丘尼、並其眷属,皆大歓喜,得未曽有,即於仏前而説偈言: 世尊導師,安隠天人,我等聞記,心安具足。 諸比丘尼説是偈已,白仏言:「世尊,我等亦能於他方国土、広宣此経。」爾時世尊視八十万億那由他諸菩薩摩訶薩。是諸菩薩,皆是阿惟越致,転不退法輪,得諸陀羅尼。即従座起,至於仏前,一心合掌,而作是念:「若世尊告勅我等、持説此経者,当如仏教,広宣斯法。」復作是念:「仏今黙然、不見告勅,我当云何?」 時諸菩薩敬順仏意,並欲自満本願,便於仏前、作師子吼,而発誓言:「世尊,我等於如来滅後,周旋往返十方世界,能令衆生書写此経,受持、読誦,解説其義,如法修行,正憶念,皆是仏之威力,惟願世尊,在於他方、遥見守護。」即時諸菩薩倶同発声、而説偈言:
書き下し
爾の時、羅睺羅の母、耶輸陀羅比丘尼、是の念を作さく、「世尊、授記の中に於いて、独り我が名を説きたまわず。」仏、耶輸陀羅に告げたまわく、「汝、来世の百千万億の諸仏の法の中に於いて、菩薩行を修し、大法師と為り、漸く仏道を具して、善国の中に於いて、当に作仏することを得べし。号を具足千万光相如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と曰わん。仏の寿は無量阿僧祇劫なり。」 爾の時、摩訶波闍波提比丘尼、及び耶輸陀羅比丘尼、並びに其の眷属、皆大いに歓喜し、未曽有なることを得て、即ち仏前に於いて偈を説いて言わく、 世尊は導師にして、天人を安穏にしたもう。我等、記を聞いて、心、安んじて具足せり。 諸の比丘尼、是の偈を説き已って、仏に白して言さく、「世尊、我等も亦た能く他方の国土に於いて、広く此の経を宣べん。」爾の時、世尊、八十万億那由他の諸の菩薩摩訶薩を視たもう。是の諸の菩薩は、皆是れ阿惟越致にして、不退の法輪を転じ、諸の陀羅尼を得たり。即ち座より起って、仏前に至り、一心に合掌して、是の念を作さく、「若し世尊、我等に告敕して、此の経を持説せしめば、当に仏の教えの如く、広く斯の法を宣ぶべし。」復た是の念を作さく、「仏、今、黙然として、告敕を見ず。我、当に云何すべき。」 時に諸の菩薩、仏意に敬順し、並びに自ら本願を満たさんと欲して、便ち仏前に於いて、師子吼を作して、誓言を発さく、「世尊、我等、如来の滅後に、周旋往返して十方世界に、能く衆生をして此の経を書写し、受持し、読誦し、其の義を解説し、如法に修行し、正しく憶念せしめん。皆是れ仏の威力なり。惟願わくは世尊、他方に在りて、遥かに見て守護したまえ。」即時に諸の菩薩、俱に同じく声を発して、偈を説いて言わく、
現代語訳
そのとき、羅睺羅の母である耶輸陀羅比丘尼は、こう思いました。「世尊は、授記の中で、私の名だけを説かれなかった。」仏は耶輸陀羅に告げられました。「あなたは来世の百千万億の諸仏の法の中で、菩薩の行を修め、大法師となり、次第に仏の道を備えて、善国で仏となるでしょう。名を具足千万光相如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊といいます。その仏の寿命は無量阿僧祇劫です。」 そのとき、摩訶波闍波提比丘尼と耶輸陀羅比丘尼、およびその眷属は、みな大いに歓喜し、かつてない思いを得て、すぐに仏の前で偈を説いて言いました。 世尊は導師であり、天人を安らかにしてくださいます。私たちは授記を聞いて、心は安らぎ満ち足りました。 比丘尼たちはこの偈を説き終わって、仏に申し上げました。「世尊よ、私たちもほかの国土で、広くこの経を宣べ伝えることができます。」そのとき世尊は、八十万億那由他の菩薩たちを見つめられました。これらの菩薩は、みな後戻りしない位にあり、不退の法輪を転じ、さまざまな陀羅尼を得ていました。すぐに座から立って、仏の前に至り、一心に合掌して、こう思いました。「もし世尊が私たちに命じて、この経を保ち説かせるなら、仏の教えのとおりに、広くこの法を宣べよう。」またこうも思いました。「仏は今、黙っておられて、お命じにならない。私たちはどうしたらよいだろうか。」 そのとき菩薩たちは、仏の意に敬い従い、またみずからの本願を満たそうとして、仏の前で獅子吼をなし、誓いの言葉を発しました。「世尊よ、私たちは如来の滅後に、十方世界を巡り歩いて、衆生にこの経を書き写し、受け持ち、読み唱え、その意味を解説し、教えどおりに修行し、正しく心に念じさせます。すべては仏の威力によるものです。どうか世尊よ、ほかの国土から、遠くから見守り護ってください。」すぐに菩薩たちは声をそろえて、偈を説いて言いました。
解説

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法華経・勸持品第十三(1)爾の時、藥王菩薩摩訶薩、及び大楽説菩薩摩訶薩、二万の菩薩の眷属と俱に、皆、仏前に於いて、是の誓言を作さく、「惟願わくは世尊、慮りを為したまわざれ。我等、仏の滅後に於いて、当に此の経典を奉持し、読誦し、説くべし。後の悪世の衆生は、善根転た少なく、多く増上慢にして、利養を貪り、不善根を増し、解脱を遠離す。教化すべきこと難しと雖も、我等、当に大忍力を起こし、此の経を読誦し、持説し、書写し、種種に供養して、身命を惜しまざるべし。」 爾の時、衆中の五百の阿羅漢の受記を得たる者、仏に白して言さく、「世尊、我等も亦た自ら誓願す、異なる国土に於いて、広く此の経を説かん。」復た学・無学八千人の受記を得たる者有り、座より起って、合掌して仏に向かい、是の誓言を作さく、「世尊、我等も亦た当に他の国土に於いて、広く此の経を説くべし。所以は何ん。是の娑婆国の中は、人、敝悪多く、増上慢を懐き、功徳浅薄にして、瞋濁・諂曲、心、不実なるが故なり。」 爾の時、仏の姨母、摩訶波闍波提比丘尼、学・無学の比丘尼六千人と俱に、座より起って、一心に合掌し、尊顔を瞻仰して、目、暫くも捨てず。時に世尊、憍曇彌に告げたまわく、「何が故に憂いの色にして如来を視る。汝が心に、将に我が汝が名を説かず、阿耨多羅三藐三菩提の記を授けずと謂うこと無からんや。」 「憍曇彌よ、我、先に総じて説けり、一切の声聞は皆已に授記すと。今、汝、記を知らんと欲せば、将来の世に、当に六万八千億の諸仏の法の中に於いて、大法師と為るべし。及び六千の学・無学の比丘尼、俱に法師と為らん。汝、是の如く漸漸に菩薩道を具して、当に作仏することを得べし。号を一切衆生喜見如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と曰わん。憍曇彌よ、是の一切衆生喜見仏、及び六千の菩薩は、転次に授記して、阿耨多羅三藐三菩提を得ん。」
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