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法華経 / 提婆達多品第十二(4)

文殊師利言:「我於海中,惟常宣說妙法華經。」智積問文殊師利言:「此經甚深微妙,諸經中寶,世所稀有,頗有眾生、勤加精進,修行此經,速得佛否?」文殊師利言:「有裟竭羅龍王女,年始八歲,智慧利根,善知眾生諸根行業,得陀羅尼,諸佛所說甚深秘藏,悉能受持。深入禪定,了達諸法,於剎那頃、發菩提心,得不退轉,辯才無礙。慈念眾生、猶如赤子,功德具足,心念口演,微妙廣大,慈悲仁讓,志意和雅,能至菩提。」 智積菩薩言:「我見釋迦如來,於無量劫、難行苦行,積功累德,求菩提道,未曾止息。觀三千大千世界,乃至無有如芥子許、非是菩薩捨身命處,為眾生故,然後乃得成菩提道。不信此女於須臾頃、便成正覺。」言論未訖,時龍王女、忽現於前,頭面禮敬,卻住一面,以偈讚曰: 深達罪福相,遍照於十方,微妙淨法身,具相三十二,以八十種好、用莊嚴法身。天人所戴仰,龍神咸恭敬, 一切眾生類,無不宗奉者。又聞成菩提,唯佛當證知,我闡大乘教,度脫苦眾生。

新字:文殊師利言:「我於海中,惟常宣説妙法華経。」智積問文殊師利言:「此経甚深微妙,諸経中宝,世所稀有,頗有衆生、勤加精進,修行此経,速得仏否?」文殊師利言:「有裟竭羅竜王女,年始八歳,智慧利根,善知衆生諸根行業,得陀羅尼,諸仏所説甚深秘蔵,悉能受持。深入禅定,了達諸法,於刹那頃、発菩提心,得不退転,弁才無礙。慈念衆生、猶如赤子,功徳具足,心念口演,微妙広大,慈悲仁譲,志意和雅,能至菩提。」 智積菩薩言:「我見釈迦如来,於無量劫、難行苦行,積功累徳,求菩提道,未曽止息。観三千大千世界,乃至無有如芥子許、非是菩薩捨身命処,為衆生故,然後乃得成菩提道。不信此女於須臾頃、便成正覚。」言論未訖,時竜王女、忽現於前,頭面礼敬,却住一面,以偈讃曰: 深達罪福相,遍照於十方,微妙浄法身,具相三十二,以八十種好、用荘厳法身。天人所戴仰,竜神咸恭敬, 一切衆生類,無不宗奉者。又聞成菩提,唯仏当証知,我闡大乗教,度脱苦衆生。

書き下し

文殊師利の言わく、「我、海中に於いて、惟常に妙法華経を宣説す。」智積、文殊師利に問うて言わく、「此の経は甚深微妙にして、諸経の中の宝、世に稀有なる所なり。頗る衆生の、勤加精進して、此の経を修行し、速やかに仏を得ること有りや。」文殊師利の言わく、「裟竭羅竜王の女有り、年始めて八歳なり。智慧利根にして、善く衆生の諸根・行業を知り、陀羅尼を得、諸仏の説きたもう所の甚深の秘蔵を、悉く能く受持す。深く禅定に入り、諸法を了達し、剎那の頃に於いて菩提心を発し、不退転を得、辯才無礙なり。衆生を慈念すること、猶お赤子の如し。功徳具足して、心に念じ口に演ぶること、微妙広大なり。慈悲仁譲、志意和雅にして、能く菩提に至る。」 智積菩薩の言わく、「我、釈迦如来を見たてまつるに、無量劫に於いて難行苦行し、功を積み徳を累ねて、菩提の道を求め、未だ曽て止息せず。三千大千世界を観るに、乃至、芥子ばかりも、是れ菩薩の身命を捨てたる処に非ざること有ること無し。衆生の為の故に、然して後に乃ち菩提の道を成ずることを得たり。此の女の須臾の頃に於いて便ち正覚を成ぜんことを信ぜず。」言論、未だ訖らざるに、時に竜王の女、忽ちに前に現じ、頭面に礼敬して、却いて一面に住し、偈を以て讃えて曰わく、 深く罪福の相に達して、遍く十方を照らしたもう。微妙の浄法身は、三十二相を具え、八十種好を以て、法身を荘厳したまえり。天人の戴仰する所、竜神も咸く恭敬し、 一切の衆生類、宗奉せざる者無し。又、菩提を成ずることを聞くは、唯だ仏のみ当に証知したまうべし。我は大乗の教えを闡いて、苦の衆生を度脱せん。

現代語訳

文殊師利は言いました。「私は海の中で、ただひたすら妙法華経を説いています。」智積は文殊師利に尋ねました。「この経は非常に深く微妙で、諸経の中の宝であり、世にまれなものです。この経を勤め励んで修行し、すみやかに仏になった衆生はいるでしょうか。」文殊師利は答えました。「娑竭羅竜王の娘がいます。年はちょうど八歳です。智慧は鋭く、衆生の資質や行いをよく知り、陀羅尼を得、諸仏が説かれた非常に深い秘蔵を、すべて受け持っています。深く禅定に入り、あらゆる教えを見通し、一瞬のうちに悟りを求める心を起こし、後戻りしない境地を得て、弁舌は自在です。衆生を慈しみ思うことは、赤子を思うようです。功徳は備わり、心に思い口に述べることは、微妙で広大です。慈悲深く、謙譲で、志は和らぎ優雅で、悟りに至ることができます。」 智積菩薩は言いました。「私は釈迦如来を拝見すると、無量劫のあいだ難しい修行と苦行を行い、功徳を積み重ねて、悟りの道を求め、一度も休まれませんでした。三千大千世界を見渡しても、芥子粒ほどの場所さえ、菩薩が身命を捨てた場所でないところはありません。衆生のためにそうして、その後に悟りの道を成就されたのです。この娘が、ほんの短い間に正しい悟りを成就するとは信じられません。」その議論が終わらないうちに、竜王の娘がふいに目の前に現れ、頭を地につけて礼拝し、一方に退いて、偈でたたえて言いました。 深く罪と福の姿に通じ、あまねく十方を照らされます。微妙で清らかな法身は、三十二の相を備え、八十の好をもって法身を飾っておられます。天人が仰ぎ戴き、竜神もみな敬い、 あらゆる衆生の種類で、尊び奉らない者はありません。また、悟りを成就することは、ただ仏だけがご存じです。私は大乗の教えを開き、苦しむ衆生を救いましょう。

解説

文殊が、八歳の竜王の娘こそ速やかに仏となれる例だと語ります。これに智積が、釈迦ほどの長い苦行を要する悟りがそんなに早く得られるはずがないと疑います。ここで竜女が自ら姿を現し、偈で仏をたたえます。年少者や女性という、当時の価値観では低く見られた存在を、成仏の可能性の最前線に置く構成で、経典の時代背景を踏まえて読む必要があります。年齢や立場で人の可能性を決めつけない、という現代の人材観に通じます。
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この章句が説くこと

竜王の女八歳速疾成仏智積の疑い禅定大乗

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