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法華経 / 法師品第十(5)

「藥王,譬如有人、渴乏需水,於彼高原、穿鑿求之,猶見乾土,知水尚遠,施功不已,轉見濕土,遂漸至泥,其心決定、知水必近。菩薩亦復如是,若未聞、未解、未能修習是法華經者,當知是人、去阿耨多羅三藐三菩提尚遠,若得聞、解、思惟、修習,必知得近阿耨多羅三藐三菩提。所以者何。一切菩薩阿耨多羅三藐三菩提,皆屬此經,此經開方便門,示真實相。是法華經藏,深固幽遠,無人能到,今佛教化成就菩薩、而為開示。」 「藥王,若有菩薩聞是法華經,驚疑、怖畏,當知是為新發意菩薩,若聲聞人聞是經,驚疑、怖畏,當知是為增上慢者。藥王,若有善男子、善女人,如來滅後,欲為四眾說是法華經者,云何應說。是善男子、善女人,入如來室,著如來衣,坐如來座,爾乃應為四眾廣說斯經。如來室者,一切眾生中、大慈悲心是,如來衣者,柔和忍辱心是,如來座者,一切法空是,安住是中,然後以不懈怠心,為諸菩薩及四眾、廣說是法華經。」 「藥王,我於餘國,遣化人、為其集聽法眾,亦遣化比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、聽其說法,是諸化人,聞法信受,隨順不逆。若說法者在空閒處,我時廣遣天龍、鬼神、乾闥婆、阿修羅、等,聽其說法。我雖在異國,時時令說法者得見我身。若於此經忘失句讀,我還為說,令得具足。」

新字:「薬王,譬如有人、渇乏需水,於彼高原、穿鑿求之,猶見乾土,知水尚遠,施功不已,転見湿土,遂漸至泥,其心決定、知水必近。菩薩亦復如是,若未聞、未解、未能修習是法華経者,当知是人、去阿耨多羅三藐三菩提尚遠,若得聞、解、思惟、修習,必知得近阿耨多羅三藐三菩提。所以者何。一切菩薩阿耨多羅三藐三菩提,皆属此経,此経開方便門,示真実相。是法華経蔵,深固幽遠,無人能到,今仏教化成就菩薩、而為開示。」 「薬王,若有菩薩聞是法華経,驚疑、怖畏,当知是為新発意菩薩,若声聞人聞是経,驚疑、怖畏,当知是為增上慢者。薬王,若有善男子、善女人,如来滅後,欲為四衆説是法華経者,云何応説。是善男子、善女人,入如来室,著如来衣,坐如来座,爾乃応為四衆広説斯経。如来室者,一切衆生中、大慈悲心是,如来衣者,柔和忍辱心是,如来座者,一切法空是,安住是中,然後以不懈怠心,為諸菩薩及四衆、広説是法華経。」 「薬王,我於余国,遣化人、為其集聴法衆,亦遣化比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、聴其説法,是諸化人,聞法信受,随順不逆。若説法者在空閒処,我時広遣天竜、鬼神、乾闥婆、阿修羅、等,聴其説法。我雖在異国,時時令説法者得見我身。若於此経忘失句読,我還為説,令得具足。」

書き下し

「藥王よ、譬えば人有りて、渇乏して水を需め、彼の高原に於いて、穿鑿して之を求むるに、猶お乾ける土を見て、水尚お遠きことを知り、功を施して已まざれば、転た湿れる土を見、遂に漸く泥に至りて、其の心決定して、水の必ず近きことを知るが如し。菩薩も亦復た是の如し。若し未だ聞かず、未だ解せず、未だ是の法華経を修習すること能わざる者は、当に知るべし、是の人は阿耨多羅三藐三菩提を去ること尚お遠し。若し聞き、解し、思惟し、修習することを得ば、必ず阿耨多羅三藐三菩提に近きことを知らん。所以は何ん。一切の菩薩の阿耨多羅三藐三菩提は、皆、此の経に属す。此の経は方便の門を開き、真実の相を示す。是の法華経蔵は、深固幽遠にして、人の能く到る無し。今、仏、菩薩を教化し成就せんが為に、而も為に開示したもう。」 「藥王よ、若し菩薩有りて、是の法華経を聞いて、驚き疑い怖畏せば、当に知るべし、是れ新発意の菩薩と為す。若し声聞人にして是の経を聞いて、驚き疑い怖畏せば、当に知るべし、是れ増上慢の者と為す。藥王よ、若し善男子・善女人有りて、如来の滅後に、四衆の為に是の法華経を説かんと欲せば、云何が説くべき。是の善男子・善女人は、如来の室に入り、如来の衣を著、如来の座に坐して、爾して乃ち応に四衆の為に広く斯の経を説くべし。如来の室とは、一切衆生の中の大慈悲心是れなり。如来の衣とは、柔和忍辱の心是れなり。如来の座とは、一切法空是れなり。是の中に安住して、然して後に不懈怠の心を以て、諸の菩薩及び四衆の為に、広く是の法華経を説け。」 「藥王よ、我、余国に於いて、化人を遣わして、其の為に聴法の衆を集め、亦た化の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷を遣わして、其の説法を聴かしむ。是の諸の化人は、法を聞いて信受し、随順して逆らわず。若し説法者、空閑処に在らば、我、時に広く天・竜・鬼神・乾闥婆・阿修羅等を遣わして、其の説法を聴かしめん。我、異国に在りと雖も、時時、説法者をして我が身を見ることを得せしめん。若し此の経に於いて句読を忘失せば、我、還って為に説いて、具足することを得せしめん。」

現代語訳

「薬王よ、たとえば喉が渇いて水を求める人が、高い乾いた台地で穴を掘っているとします。まだ乾いた土ばかり見えるうちは水が遠いと分かりますが、掘る努力をやめないでいると、やがて湿った土が見え、ついに泥に至って、水が必ず近いと心に確信できるようになります。菩薩もこれと同じです。まだこの法華経を聞かず、理解せず、修め習うことができない人は、最高の悟りからまだ遠いと知りなさい。もし聞き、理解し、思い巡らし、修め習うことができるなら、必ず最高の悟りに近づいていると知るでしょう。なぜなら、あらゆる菩薩の最高の悟りは、すべてこの経に属しているからです。この経は方便の門を開き、真実の姿を示します。この法華経の蔵は深く固く、はるかに奥深くて、誰も到達できません。今、仏は菩薩を教え導いて成就させるために、これを開き示すのです。」 「薬王よ、もし菩薩がこの法華経を聞いて驚き、疑い、恐れるなら、その人は発心したばかりの菩薩だと知りなさい。もし声聞がこの経を聞いて驚き、疑い、恐れるなら、その人は思い上がった者だと知りなさい。薬王よ、もし善い男性・善い女性が、如来の滅後に四衆のためにこの法華経を説こうとするなら、どのように説くべきでしょうか。この人は、如来の室に入り、如来の衣を着、如来の座に坐ってから、はじめて四衆のために広くこの経を説くべきです。如来の室とは、すべての衆生に対する大いなる慈悲の心です。如来の衣とは、柔らかく和らいで耐え忍ぶ心です。如来の座とは、すべてのものは空であるという理解です。この中に安らいで、そのうえで怠らない心をもって、菩薩たちと四衆のために、広くこの法華経を説きなさい。」 「薬王よ、私は他の国で、化身の人を遣わして聴衆を集めさせ、化身の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷も遣わして説法を聴かせます。これらの化身は、法を聞いて信じ受け入れ、従って逆らいません。もし説法する人が静かな場所にいれば、私はそのとき、天、竜、鬼神、乾闥婆、阿修羅などを広く遣わして、その説法を聴かせます。私は異国にいても、ときどき説法者に私の姿を見させます。もしこの経の区切りを忘れたなら、私が戻って説き、完全に整えさせます。」

解説

法華経の中でも名高い、渇水の譬えと「衣座室」の教えを含む節です。乾いた土から湿った土へと掘り進めるうちに水の近さを確信する譬えは、学びの手応えが段階的に現れることを示します。如来の室を慈悲、衣を柔和忍辱、座を空と読み替える説明は、人に教えを説く者の心構えの規範です。現代に置けば、人を導く立場に就く前に、まず相手を思う姿勢、耐える柔らかさ、執着に縛られない視点を整えよ、という管理職の心得として読めます。
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この章句が説くこと

渇水の譬え衣座室大慈悲心柔和忍辱一切法空新発意の菩薩

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