法華経 / 法師品第十(2)
「藥王,當知是人、自捨清淨業報,於我滅度後,愍眾生故,生於惡世,廣演此經。若是善男子、善女人,我滅度後,能竊為一人說法華經、乃至一句,當知是人、則如來使,如來所遣、行如來事。何況於大眾中、廣為人說?」 「藥王,若有惡人,以不善心,於一劫中、現於佛前,常毀罵佛,其罪尚輕,若人以一惡言、毀呰在家出家讀誦法華經者,其罪甚重。」 「藥王,其有讀誦法華經者,當知是人、以佛莊嚴而自莊嚴,則為如來肩所荷擔。其所至方,應隨向禮,一心合掌,恭敬、供養,尊重、讚歎,華、香、瓔珞,末香、塗香、燒香,繒蓋、幢幡,衣服、肴饌,作諸伎樂,人中上供、而供養之,應持天寶、而以散之,天上寶聚,應以奉獻。所以者何。是人歡喜說法,須臾聞之,即得究竟阿耨多羅三藐三菩提故。」 爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
新字:「薬王,当知是人、自捨清浄業報,於我滅度後,愍衆生故,生於悪世,広演此経。若是善男子、善女人,我滅度後,能窃為一人説法華経、乃至一句,当知是人、則如来使,如来所遣、行如来事。何況於大衆中、広為人説?」 「薬王,若有悪人,以不善心,於一劫中、現於仏前,常毀罵仏,其罪尚軽,若人以一悪言、毀呰在家出家読誦法華経者,其罪甚重。」 「薬王,其有読誦法華経者,当知是人、以仏荘厳而自荘厳,則為如来肩所荷担。其所至方,応随向礼,一心合掌,恭敬、供養,尊重、讃嘆,華、香、瓔珞,末香、塗香、焼香,繒蓋、幢幡,衣服、肴饌,作諸伎楽,人中上供、而供養之,応持天宝、而以散之,天上宝聚,応以奉献。所以者何。是人歓喜説法,須臾聞之,即得究竟阿耨多羅三藐三菩提故。」 爾時世尊欲重宣此義,而説偈言:
書き下し
「藥王よ、当に知るべし、是の人は自ら清浄の業報を捨て、我が滅度の後に、衆生を愍れむが故に、悪世に生まれて、広く此の経を演べん。若し是れ善男子・善女人にして、我が滅度の後、能く竊かに一人の為にも法華経を説き、乃至一句なりとも説かば、当に知るべし、是の人は則ち如来の使いにして、如来の遣わす所、如来の事を行ずるなり。何ぞ況んや大衆の中に於いて、広く人の為に説かんをや。」 「藥王よ、若し悪人有りて、不善の心を以て、一劫の中に於いて、仏前に現じて、常に仏を毀り罵らんは、其の罪尚お軽し。若し人、一の悪言を以て、在家・出家の法華経を読誦する者を毀呰せば、其の罪甚だ重し。」 「藥王よ、其れ法華経を読誦すること有らん者は、当に知るべし、是の人は仏の荘厳を以て自ら荘厳し、則ち如来の肩に荷担せらるる所なり。其の至る所の方には、応に随って向かい礼し、一心に合掌し、恭敬・供養し、尊重・讃歎し、華・香・瓔珞、末香・塗香・焼香、繒蓋・幢幡、衣服・肴饌、諸の伎楽を作し、人中の上供を以て之を供養すべし。応に天の宝を持して之を散じ、天上の宝聚をば、応に以て奉献すべし。所以は何ん。是の人は歓喜して法を説き、須臾も之を聞かば、即ち究竟して阿耨多羅三藐三菩提を得るが故なり。」 爾の時、世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、
現代語訳
「薬王よ、知っておきなさい。この人は、自分が受けるはずの清らかな果報をあえて手放し、私が世を去った後、衆生をあわれむがゆえに悪い世に生まれて、この経を広く説くのです。もし善い男性・善い女性が、私の滅後にひそかに一人のためにでも、法華経をたとえ一句であっても説くなら、この人は如来の使者であり、如来が遣わした者であり、如来の仕事を行う者だと知りなさい。まして大勢の中で広く人々のために説く人ならなおさらです。」 「薬王よ、もし悪人がいて、よからぬ心で、一劫の長い間、仏の前で常に仏を罵り続けたとしても、その罪はまだ軽いほうです。もし誰かが、ひと言の悪口で、在家であれ出家であれ法華経を読み唱える人をそしるなら、その罪ははるかに重いのです。」 「薬王よ、法華経を読み唱える人は、仏の荘厳によって自らを飾り、如来に肩で担われている人だと知りなさい。その人が行く先々では、人々は従って礼拝し、一心に合掌して敬い、供養し、尊び、讃えるべきです。華、香、首飾り、粉香、塗り香、焚き香、絹の天蓋、幢と幡、衣服、食べ物を捧げ、さまざまな音楽を奏で、人の世で最上の供えをもって供養しなさい。天の宝を持ってこれを撒き、天上の宝の山を献上しなさい。なぜなら、この人は喜んで法を説き、人々がほんのしばらくでもそれを聞けば、たちまち最高の悟りに到達できるからです。」 そのとき世尊は、この意味を重ねて述べようとして、偈を説かれました。
解説

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法華経・法師品第十(6)爾の時、世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 諸の懈怠を捨てんと欲せば、応当に此の経を聴くべし。是の経は聞くことを得難く、信受する者も亦た難し。人の渇して水を需め、高原に窄鑿するに、猶お乾燥の土を見て、水を去ること尚お遠きを知り、 漸く湿土の泥を見て、決定して水に近きを知るが如し。藥王、汝当に知るべし、是の如き諸人等は、法華経を聞かざれば、仏智を去ること甚だ遠し。若し是の深経を聞かば、声聞の法を決了す。 是れ諸経の王なり。聞き已って諦らかに思惟せば、当に知るべし、此の人等は、仏の智慧に近し。若し人、此の経を説かば、応に如来の室に入り、如来の衣を著て、如来の座に坐すべし。 衆に処して畏るる所無く、広く為に分別して説け。大慈悲を室と為し、柔和忍辱を衣とし、諸法の空を座と為して、此に処して為に法を説け。若し此の経を説く時、人有りて悪口して罵り、 刀杖・瓦石を加うとも、仏を念ずるが故に応に忍ぶべし。我は千万億土に、清浄堅固の身を現じ、無量億劫に於いて、衆生の為に法を説く。若し我が滅度の後、能く此の経を説かん者には、 我、化の四衆、比丘・比丘尼、及び清信の士女を遣わして、法師を供養し、諸の衆生を引導し、之を集めて法を聴かしめん。若し人、悪を加えんと欲して、刀杖及び瓦石あらば、 則ち変化の人を遣わして、之が為に衛護を作さん。若し説法の人、独り空閑処に在りて、寂寞として人の声無く、此の経典を読誦せば、我、爾の時、為に清浄光明の身を現ぜん。 若し章句を忘失せば、為に説いて通利せしめん。若し人、是の徳を具えて、或いは四衆の為に説き、空処にて経を読誦せば、皆、我が身を見ることを得ん。若し人、空閑に在らば、我、天・竜王、 夜叉・鬼神等を遣わして、為に聴法の衆と作さしめん。是の人は説法を楽い、分別して罣礙無く、諸仏の護念したもうが故に、能く大衆をして喜ばしむ。若し法師に親近せば、速やかに菩薩道を得ん。 是の師に隨順して学ばば、恒沙の仏を見ることを得ん。
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法華経・法師品第十(3)若し仏道に住して、自然智を成就せんと欲せば、常に当に勤めて、法華を受持する者を供養すべし。其れ疾く一切種智慧を得んと欲すること有らば、当に是の経を受持し、並びに持者を供養すべし。 若し能く、妙法華経を受持する者有らば、当に知るべし、仏の所使にして、諸の衆生を愍念すと。諸有る能く妙法華経を受持する者は、清浄の土を捨てて、衆を愍れむが故に此に生ず。 当に知るべし、是の如き人は、自在に生ぜんと欲する所にして、能く此の悪世に於いて、広く無上の法を説く。応に天の華香、及び天の宝衣服、天上の妙宝聚を以て、説法者を供養すべし。 吾が滅後の悪世に、能く是の経を持つ者をば、当に合掌して礼敬すること、世尊を供養するが如くすべし。上饌・衆の甘美、及び種種の衣服をもて、是の仏子を供養し、冀わくは須臾も聞くことを得ん。 若し能く後世に、是の経を受持せん者は、我、遣わして人中に在りて、如来の事を行ぜしむ。若し一劫の中に、常に不善の心を懐き、色を作して仏を罵らば、無量の重罪を獲ん。 其れ是の法華経を読誦し持つこと有らん者を、須臾も悪言を加えば、其の罪、復た彼に過ぎん。人有りて仏道を求め、而も一劫の中に、合掌して我が前に在り、無数の偈を以て讃えんに、 是の仏を讃うるに由るが故に、無量の功徳を得ん。持経者を歎美せば、其の福、復た彼に過ぎん。八十億劫に於いて、最妙の色・声、及び香・味・触を以て、持経者を供養せんに、 是の如く供養し已って、若し須臾も聞くことを得ば、則ち応に自ら欣慶すべし、我、今、大利を獲たりと。藥王、今汝に告ぐ、我が説く所の諸経の中に於いて、此の経の中に、法華最も第一なり。 爾の時、仏、復た藥王菩薩摩訶薩に告げたまわく、「我が説く所の経典は、無量千万億にして、已に説き、今説き、当に説かん。而も其の中に於いて、此の法華経は、最も難信難解なり。藥王、此の経は是れ諸仏の秘要の蔵なり。分布して、妄りに人に授与すべからず。諸仏世尊の守護したもう所にして、昔より已来、未だ曽て顕説せず。而も此の経は、如来の現在すら、猶お怨嫉多し。況んや滅度の後をや。」
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法華経・法師品第十(1)爾の時、世尊、薬王菩薩に因りて、八万の大士に告げたまわく、「薬王、汝是の大衆の中の、無量の諸天、竜王、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人と非人、及び比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、声聞を求むる者、辟支仏を求むる者、仏道を求むる者を見るや。是の如き等の類、咸仏前に於て、妙法華経の一偈一句、乃至一念も随喜する者は、我皆授記を与う、当に阿耨多羅三藐三菩提を得べし。」 仏、薬王に告げたまわく、「又如来の滅度の後に、若し人有りて、妙法華経の乃至一偈一句を聞き、一念も随喜せば、我も亦阿耨多羅三藐三菩提の記を授与す。若し復人有りて、妙法華経を受持し、読誦し、解説し、書写し、乃至一偈をも、此の経巻に於て、敬い視ること仏の如くし、種種に供養し、華、香、瓔珞、末香、塗香、焼香、繒蓋、幢幡、衣服、伎楽、乃至合掌恭敬せば、薬王、当に知るべし、是の諸人等は、已に曽て十万億の仏を供養し、諸仏の所に於て、大願を成就し、衆生を愍れむが故に、此の人間に生ぜり。」 「薬王、若し人有りて問わん、何等の衆生か、未来世に於て、当に作仏することを得べきと。応に是の諸人等は、未来世に於て、必ず作仏することを得べしと示すべし。何を以ての故に。若し善男子、善女人、法華経に於て、乃至一句も、受持し、読誦し、解説し、書写し、種種に経巻を供養し、華、香、瓔珞、末香、塗香、焼香、繒蓋、幢幡、衣服、伎楽、合掌恭敬せば、是の人は、一切世間の応に瞻奉すべき所にして、応に如来の供養を以て之を供養すべし。当に知るべし、此の人は是れ大菩薩にして、阿耨多羅三藐三菩提を成就し、衆生を哀愍して、願って此の間に生まれ、広く妙法華経を演べ分別す。何ぞ況んや尽く能く受持して、種種に供養せんをや。」
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法華経・法師品第十(4)「藥王よ、当に知るべし、如来の滅後に、其れ能く書き、持ち、読み、誦し、供養し、他人の為に説く者は、如来、則ち衣を以て之を覆い、又、他方の現在の諸仏の護念する所と為る。是の人は大信力、及び志願力、諸の善根力有り。当に知るべし、是の人は如来と共に宿し、則ち如来の手、其の頭を摩でらると為す。」 「藥王よ、在在処処に、若しは説き、若しは読み、若しは誦し、若しは書き、若しは経巻の住する処には、皆、応に七宝の塔を起つべし。極めて高広厳飾ならしめ、復た舎利を安んずることを須いず。所以は何ん。此の中には已に如来の全身有せばなり。此の塔は、応に一切の華・香・瓔珞、繒蓋・幢幡、伎楽・歌頌を以て、供養・恭敬、尊重・讃歎すべし。若し人有りて此の塔を見ることを得て、礼拝・供養せば、当に知るべし、是れ等は皆、阿耨多羅三藐三菩提に近し。」 「藥王よ、多く人有りて、在家・出家にして菩薩道を行ずるに、若し是の法華経を見・聞・読・誦・書・持・供養すること能わざる者は、当に知るべし、是の人は未だ善く菩薩道を行ぜず。若し是の経典を聞くことを得る者有らば、乃ち能く善く菩薩の道を行ず。其れ衆生の仏道を求むる者有りて、若しは見、若しは聞き、是の法華経を、聞き已って信解し受持せば、当に知るべし、是の人は、阿耨多羅三藐三菩提に近づくことを得。」
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法華経・法師品第十(5)「藥王よ、譬えば人有りて、渇乏して水を需め、彼の高原に於いて、穿鑿して之を求むるに、猶お乾ける土を見て、水尚お遠きことを知り、功を施して已まざれば、転た湿れる土を見、遂に漸く泥に至りて、其の心決定して、水の必ず近きことを知るが如し。菩薩も亦復た是の如し。若し未だ聞かず、未だ解せず、未だ是の法華経を修習すること能わざる者は、当に知るべし、是の人は阿耨多羅三藐三菩提を去ること尚お遠し。若し聞き、解し、思惟し、修習することを得ば、必ず阿耨多羅三藐三菩提に近きことを知らん。所以は何ん。一切の菩薩の阿耨多羅三藐三菩提は、皆、此の経に属す。此の経は方便の門を開き、真実の相を示す。是の法華経蔵は、深固幽遠にして、人の能く到る無し。今、仏、菩薩を教化し成就せんが為に、而も為に開示したもう。」 「藥王よ、若し菩薩有りて、是の法華経を聞いて、驚き疑い怖畏せば、当に知るべし、是れ新発意の菩薩と為す。若し声聞人にして是の経を聞いて、驚き疑い怖畏せば、当に知るべし、是れ増上慢の者と為す。藥王よ、若し善男子・善女人有りて、如来の滅後に、四衆の為に是の法華経を説かんと欲せば、云何が説くべき。是の善男子・善女人は、如来の室に入り、如来の衣を著、如来の座に坐して、爾して乃ち応に四衆の為に広く斯の経を説くべし。如来の室とは、一切衆生の中の大慈悲心是れなり。如来の衣とは、柔和忍辱の心是れなり。如来の座とは、一切法空是れなり。是の中に安住して、然して後に不懈怠の心を以て、諸の菩薩及び四衆の為に、広く是の法華経を説け。」 「藥王よ、我、余国に於いて、化人を遣わして、其の為に聴法の衆を集め、亦た化の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷を遣わして、其の説法を聴かしむ。是の諸の化人は、法を聞いて信受し、随順して逆らわず。若し説法者、空閑処に在らば、我、時に広く天・竜・鬼神・乾闥婆・阿修羅等を遣わして、其の説法を聴かしめん。我、異国に在りと雖も、時時、説法者をして我が身を見ることを得せしめん。若し此の経に於いて句読を忘失せば、我、還って為に説いて、具足することを得せしめん。」
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法華経・安樂行品第十四(9)常に忍辱を行じ、一切を哀愍して、乃ち能く仏の讃めたもう所の経を演説せよ。後の末世の時、此の経を持たん者には、家と出家と、及び菩薩に非ざるとに、 応に慈悲を生ずべし。斯れ等は是の経を聞かず、信ぜざれば、則ち大いなる失を為す。我、仏道を得て、諸の方便を以て、為に此の法を説き、其の中に住せしめん。 譬えば強力の、転輪の王の、兵戦いて功有るに、諸物を賞賜するが如し。象・馬・車乗、厳身の具、及び諸の田宅、聚落・城邑、 或いは衣服、種種の珍宝、奴婢・財物を、歓喜して賜与す。如し勇健にして、能く難事を為す者有らば、王は髻中の明珠を解きて之に賜う。 如来も亦た爾り、諸の法王として、忍辱の大力、智慧の宝蔵あり、大慈悲を以て、法の如く世を化す。一切の人の、諸の苦悩を受くるを見て、 解脱を求めんと欲して、諸魔と戦う。是の衆生の為に、種種の法を説き、大方便を以て、此の諸経を説けり。既に衆生の、其の力を得已るを知りて、 末後に乃ち為に、是の法華を説く。王の髻を解きて、明珠を之に与うるが如し。此の経は尊と為し、衆経の中の上なり。我れ常に守護して、妄りに開示せず。 今正に是れ時なり、汝等の為に説く。我が滅度の後、仏道を求むる者の、安穏に、斯の経を演説せんと欲せば、応当に是の如き四法に親近すべし。 是の経を読む者は、常に憂悩無く、又た病痛無く、顔色鮮白にして、貧窮・卑賤・醜陋に生ぜず。衆生は見んことを楽うこと、賢聖を慕うが如し。 天の諸の童子は、以て給使と為り、刀杖も加えず、毒も害すること能わず、若し人悪しく罵らば、口は則ち閉塞し、遊行して畏れ無きこと、師子王の如し。