法華経 / 法師品第十(3)
若欲住佛道,成就自然智,常當勤供養,受持法華者。其有欲疾得,一切種智慧,當受持是經,並供養持者。 若有能受持,妙法華經者,當知佛所使,愍念諸眾生。諸有能受持,妙法華經者,捨於清淨土,愍眾故生此。 當知如是人,自在所欲生,能於此惡世,廣說無上法。應以天華香,及天寶衣服,天上妙寶聚,供養說法者。 吾滅後惡世、能持是經者,當合掌禮敬,如供養世尊,上饌眾甘美、及種種衣服、供養是佛子,冀得須臾聞。 若能於後世、受持是經者,我遣在人中,行於如來事。若於一劫中,常懷不善心,作色而罵佛,獲無量重罪, 其有讀誦持、是法華經者,須臾加惡言,其罪復過彼。有人求佛道,而於一劫中,合掌在我前,以無數偈讚。 由是讚佛故,得無量功德,歎美持經者、其福復過彼。於八十億劫,以最妙色聲、及與香味觸、供養持經者, 如是供養已,若得須臾聞,則應自欣慶、我今獲大利。藥王今告汝,我所說諸經,而於此經中,法華最第一。 爾時佛復告藥王菩薩摩訶薩:「我所說經典、無量千萬億,已說、今說、當說,而於其中,此法華經、最為難信難解。藥王,此經是諸佛秘要之藏,不可分佈、妄授與人,諸佛世尊之所守護,從昔已來,未曾顯說。而此經者,如來現在,猶多怨嫉,況滅度後?」
新字:若欲住仏道,成就自然智,常当勤供養,受持法華者。其有欲疾得,一切種智慧,当受持是経,並供養持者。 若有能受持,妙法華経者,当知仏所使,愍念諸衆生。諸有能受持,妙法華経者,捨於清浄土,愍衆故生此。 当知如是人,自在所欲生,能於此悪世,広説無上法。応以天華香,及天宝衣服,天上妙宝聚,供養説法者。 吾滅後悪世、能持是経者,当合掌礼敬,如供養世尊,上饌衆甘美、及種種衣服、供養是仏子,冀得須臾聞。 若能於後世、受持是経者,我遣在人中,行於如来事。若於一劫中,常懐不善心,作色而罵仏,獲無量重罪, 其有読誦持、是法華経者,須臾加悪言,其罪復過彼。有人求仏道,而於一劫中,合掌在我前,以無数偈讃。 由是讃仏故,得無量功徳,嘆美持経者、其福復過彼。於八十億劫,以最妙色声、及与香味触、供養持経者, 如是供養已,若得須臾聞,則応自欣慶、我今獲大利。薬王今告汝,我所説諸経,而於此経中,法華最第一。 爾時仏復告薬王菩薩摩訶薩:「我所説経典、無量千万億,已説、今説、当説,而於其中,此法華経、最為難信難解。薬王,此経是諸仏秘要之蔵,不可分佈、妄授与人,諸仏世尊之所守護,従昔已来,未曽顕説。而此経者,如来現在,猶多怨嫉,況滅度後?」
書き下し
若し仏道に住して、自然智を成就せんと欲せば、常に当に勤めて、法華を受持する者を供養すべし。其れ疾く一切種智慧を得んと欲すること有らば、当に是の経を受持し、並びに持者を供養すべし。 若し能く、妙法華経を受持する者有らば、当に知るべし、仏の所使にして、諸の衆生を愍念すと。諸有る能く妙法華経を受持する者は、清浄の土を捨てて、衆を愍れむが故に此に生ず。 当に知るべし、是の如き人は、自在に生ぜんと欲する所にして、能く此の悪世に於いて、広く無上の法を説く。応に天の華香、及び天の宝衣服、天上の妙宝聚を以て、説法者を供養すべし。 吾が滅後の悪世に、能く是の経を持つ者をば、当に合掌して礼敬すること、世尊を供養するが如くすべし。上饌・衆の甘美、及び種種の衣服をもて、是の仏子を供養し、冀わくは須臾も聞くことを得ん。 若し能く後世に、是の経を受持せん者は、我、遣わして人中に在りて、如来の事を行ぜしむ。若し一劫の中に、常に不善の心を懐き、色を作して仏を罵らば、無量の重罪を獲ん。 其れ是の法華経を読誦し持つこと有らん者を、須臾も悪言を加えば、其の罪、復た彼に過ぎん。人有りて仏道を求め、而も一劫の中に、合掌して我が前に在り、無数の偈を以て讃えんに、 是の仏を讃うるに由るが故に、無量の功徳を得ん。持経者を歎美せば、其の福、復た彼に過ぎん。八十億劫に於いて、最妙の色・声、及び香・味・触を以て、持経者を供養せんに、 是の如く供養し已って、若し須臾も聞くことを得ば、則ち応に自ら欣慶すべし、我、今、大利を獲たりと。藥王、今汝に告ぐ、我が説く所の諸経の中に於いて、此の経の中に、法華最も第一なり。 爾の時、仏、復た藥王菩薩摩訶薩に告げたまわく、「我が説く所の経典は、無量千万億にして、已に説き、今説き、当に説かん。而も其の中に於いて、此の法華経は、最も難信難解なり。藥王、此の経は是れ諸仏の秘要の蔵なり。分布して、妄りに人に授与すべからず。諸仏世尊の守護したもう所にして、昔より已来、未だ曽て顕説せず。而も此の経は、如来の現在すら、猶お怨嫉多し。況んや滅度の後をや。」
現代語訳
仏の道に入り、おのずからの智慧を成就しようと願うなら、常に努めて、法華経を受け持つ人を供養しなさい。すみやかにあらゆる智慧を得たいと願うなら、この経を受け持ち、あわせてこれを持つ人を供養しなさい。 もしこの妙法華経を受け持つことのできる人がいるなら、その人は仏に遣わされた者であり、あらゆる衆生をあわれんでいると知りなさい。この経を受け持つ人々は、清らかな国土を離れ、衆生をあわれむがゆえにこの世に生まれたのです。 このような人は、望みのままに生まれる自在さを持ち、この悪い世で、広く最上の法を説くことができると知りなさい。天の華や香、天の宝の衣服、天上のすばらしい宝の山をもって、法を説く人を供養すべきです。 私の滅後の悪い世に、この経を保つことのできる人には、世尊を供養するのと同じように、合掌して礼拝しなさい。上等の食事、さまざまな甘美な品、種々の衣服をもってこの仏の子を供養し、ほんの少しでも法を聞かせてもらえるよう願いなさい。 もし後の世にこの経を受け持つ人がいれば、私はその人を人々の中に遣わし、如来の仕事を行わせます。もし誰かが一劫のあいだ、いつも悪い心を抱き、顔色を変えて仏を罵るなら、はかり知れない重い罪を得るでしょう。 しかし、この法華経を読み唱え保つ人に、ほんのしばらくでも悪い言葉を浴びせるなら、その罪はそれよりも重いのです。また、仏の道を求める人が、一劫のあいだ、私の前で合掌し、数えきれない偈でほめたたえたとします。 仏をほめたたえたことによって、その人ははかり知れない功徳を得ますが、経を保つ人をたたえるなら、その福はそれにも勝ります。八十億劫ものあいだ、最上の色、声、香り、味、触れる感覚をもって経を保つ人を供養し、 そのように供養したあとで、もしほんのしばらくでも経を聞くことができたなら、自ら喜び、私は今、大きな利益を得たと思うべきです。薬王よ、あなたに告げます。私が説いたさまざまな経のうち、この経こそが最も第一です。 そのとき仏は、さらに薬王菩薩に告げられました。「私が説いた経典は数えきれないほどあり、すでに説き、今説き、これから説くでしょう。その中でも、この法華経は最も信じにくく、理解しにくいものです。薬王よ、この経は諸仏の奥深い教えの蔵であり、軽々しく人に分け与えてはなりません。諸仏世尊が守ってこられたもので、昔から今まで、まだ明らかには説かれませんでした。しかもこの経は、如来が現におられる間でさえ、なお怨みや妬みが多いのです。まして滅度の後はなおさらです。」
解説

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法華経・法師品第十(2)「藥王よ、当に知るべし、是の人は自ら清浄の業報を捨て、我が滅度の後に、衆生を愍れむが故に、悪世に生まれて、広く此の経を演べん。若し是れ善男子・善女人にして、我が滅度の後、能く竊かに一人の為にも法華経を説き、乃至一句なりとも説かば、当に知るべし、是の人は則ち如来の使いにして、如来の遣わす所、如来の事を行ずるなり。何ぞ況んや大衆の中に於いて、広く人の為に説かんをや。」 「藥王よ、若し悪人有りて、不善の心を以て、一劫の中に於いて、仏前に現じて、常に仏を毀り罵らんは、其の罪尚お軽し。若し人、一の悪言を以て、在家・出家の法華経を読誦する者を毀呰せば、其の罪甚だ重し。」 「藥王よ、其れ法華経を読誦すること有らん者は、当に知るべし、是の人は仏の荘厳を以て自ら荘厳し、則ち如来の肩に荷担せらるる所なり。其の至る所の方には、応に随って向かい礼し、一心に合掌し、恭敬・供養し、尊重・讃歎し、華・香・瓔珞、末香・塗香・焼香、繒蓋・幢幡、衣服・肴饌、諸の伎楽を作し、人中の上供を以て之を供養すべし。応に天の宝を持して之を散じ、天上の宝聚をば、応に以て奉献すべし。所以は何ん。是の人は歓喜して法を説き、須臾も之を聞かば、即ち究竟して阿耨多羅三藐三菩提を得るが故なり。」 爾の時、世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、
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法華経・法師品第十(6)爾の時、世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 諸の懈怠を捨てんと欲せば、応当に此の経を聴くべし。是の経は聞くことを得難く、信受する者も亦た難し。人の渇して水を需め、高原に窄鑿するに、猶お乾燥の土を見て、水を去ること尚お遠きを知り、 漸く湿土の泥を見て、決定して水に近きを知るが如し。藥王、汝当に知るべし、是の如き諸人等は、法華経を聞かざれば、仏智を去ること甚だ遠し。若し是の深経を聞かば、声聞の法を決了す。 是れ諸経の王なり。聞き已って諦らかに思惟せば、当に知るべし、此の人等は、仏の智慧に近し。若し人、此の経を説かば、応に如来の室に入り、如来の衣を著て、如来の座に坐すべし。 衆に処して畏るる所無く、広く為に分別して説け。大慈悲を室と為し、柔和忍辱を衣とし、諸法の空を座と為して、此に処して為に法を説け。若し此の経を説く時、人有りて悪口して罵り、 刀杖・瓦石を加うとも、仏を念ずるが故に応に忍ぶべし。我は千万億土に、清浄堅固の身を現じ、無量億劫に於いて、衆生の為に法を説く。若し我が滅度の後、能く此の経を説かん者には、 我、化の四衆、比丘・比丘尼、及び清信の士女を遣わして、法師を供養し、諸の衆生を引導し、之を集めて法を聴かしめん。若し人、悪を加えんと欲して、刀杖及び瓦石あらば、 則ち変化の人を遣わして、之が為に衛護を作さん。若し説法の人、独り空閑処に在りて、寂寞として人の声無く、此の経典を読誦せば、我、爾の時、為に清浄光明の身を現ぜん。 若し章句を忘失せば、為に説いて通利せしめん。若し人、是の徳を具えて、或いは四衆の為に説き、空処にて経を読誦せば、皆、我が身を見ることを得ん。若し人、空閑に在らば、我、天・竜王、 夜叉・鬼神等を遣わして、為に聴法の衆と作さしめん。是の人は説法を楽い、分別して罣礙無く、諸仏の護念したもうが故に、能く大衆をして喜ばしむ。若し法師に親近せば、速やかに菩薩道を得ん。 是の師に隨順して学ばば、恒沙の仏を見ることを得ん。
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法華経・法師品第十(1)爾の時、世尊、薬王菩薩に因りて、八万の大士に告げたまわく、「薬王、汝是の大衆の中の、無量の諸天、竜王、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人と非人、及び比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、声聞を求むる者、辟支仏を求むる者、仏道を求むる者を見るや。是の如き等の類、咸仏前に於て、妙法華経の一偈一句、乃至一念も随喜する者は、我皆授記を与う、当に阿耨多羅三藐三菩提を得べし。」 仏、薬王に告げたまわく、「又如来の滅度の後に、若し人有りて、妙法華経の乃至一偈一句を聞き、一念も随喜せば、我も亦阿耨多羅三藐三菩提の記を授与す。若し復人有りて、妙法華経を受持し、読誦し、解説し、書写し、乃至一偈をも、此の経巻に於て、敬い視ること仏の如くし、種種に供養し、華、香、瓔珞、末香、塗香、焼香、繒蓋、幢幡、衣服、伎楽、乃至合掌恭敬せば、薬王、当に知るべし、是の諸人等は、已に曽て十万億の仏を供養し、諸仏の所に於て、大願を成就し、衆生を愍れむが故に、此の人間に生ぜり。」 「薬王、若し人有りて問わん、何等の衆生か、未来世に於て、当に作仏することを得べきと。応に是の諸人等は、未来世に於て、必ず作仏することを得べしと示すべし。何を以ての故に。若し善男子、善女人、法華経に於て、乃至一句も、受持し、読誦し、解説し、書写し、種種に経巻を供養し、華、香、瓔珞、末香、塗香、焼香、繒蓋、幢幡、衣服、伎楽、合掌恭敬せば、是の人は、一切世間の応に瞻奉すべき所にして、応に如来の供養を以て之を供養すべし。当に知るべし、此の人は是れ大菩薩にして、阿耨多羅三藐三菩提を成就し、衆生を哀愍して、願って此の間に生まれ、広く妙法華経を演べ分別す。何ぞ況んや尽く能く受持して、種種に供養せんをや。」
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法華経・法師品第十(4)「藥王よ、当に知るべし、如来の滅後に、其れ能く書き、持ち、読み、誦し、供養し、他人の為に説く者は、如来、則ち衣を以て之を覆い、又、他方の現在の諸仏の護念する所と為る。是の人は大信力、及び志願力、諸の善根力有り。当に知るべし、是の人は如来と共に宿し、則ち如来の手、其の頭を摩でらると為す。」 「藥王よ、在在処処に、若しは説き、若しは読み、若しは誦し、若しは書き、若しは経巻の住する処には、皆、応に七宝の塔を起つべし。極めて高広厳飾ならしめ、復た舎利を安んずることを須いず。所以は何ん。此の中には已に如来の全身有せばなり。此の塔は、応に一切の華・香・瓔珞、繒蓋・幢幡、伎楽・歌頌を以て、供養・恭敬、尊重・讃歎すべし。若し人有りて此の塔を見ることを得て、礼拝・供養せば、当に知るべし、是れ等は皆、阿耨多羅三藐三菩提に近し。」 「藥王よ、多く人有りて、在家・出家にして菩薩道を行ずるに、若し是の法華経を見・聞・読・誦・書・持・供養すること能わざる者は、当に知るべし、是の人は未だ善く菩薩道を行ぜず。若し是の経典を聞くことを得る者有らば、乃ち能く善く菩薩の道を行ず。其れ衆生の仏道を求むる者有りて、若しは見、若しは聞き、是の法華経を、聞き已って信解し受持せば、当に知るべし、是の人は、阿耨多羅三藐三菩提に近づくことを得。」
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法華経・見寶塔品第十一(8)遠く他国に擲ぐるも、亦た未だ難しと為さず。若し有頂に立ちて、衆の為に無量の余経を演説するも、亦た未だ難しと為さず。若し仏の滅後に、悪世の中にて、 能く此の経を説かば、是れ則ち難しと為す。仮使い人有りて、手に虚空を把りて、而も以て遊行するも、亦た未だ難しと為さず。我が滅後に、若しは自ら書き持ち、 若しは人をして書かしめば、是れ則ち難しと為す。若し大地を以て、足の甲の上に置き、梵天に升るも、亦た未だ難しと為さず。仏の滅度の後、悪世の中にて、 暫くも此の経を読まば、是れ則ち難しと為す。仮使い劫焼けんに、乾草を担い負うて、中に入りて焼けざるも、亦た未だ難しと為さず。我が滅度の後、若し此の経を持ちて、 一人の為にも説かば、是れ則ち難しと為す。若し八万四千の法蔵、十二部経を持ちて、人の為に演説し、諸の聴く者をして、六神通を得せしむること、 能く是の如くすと雖も、亦た未だ難しと為さず。我が滅後に、此の経を聴受し、其の義趣を問わんは、是れ則ち難しと為す。若し人、法を説いて、千万億、 無量無数、恒沙の衆生をして、阿羅漢を得、六神通を具えしむるも、是の益有りと雖も、亦た未だ難しと為さず。我が滅後に、若し能く奉持すること、 斯の如き経典の如くなるは、是れ則ち難しと為す。我、仏道の為に、無量の土に於いて、始めより今に至るまで、広く諸経を説けり。而も其の中に於いて、此の経第一なり。 若し能く持つこと有らば、則ち仏身を持つなり。諸の善男子、我が滅後に、誰か能く此の経を受持し読誦せん。今、仏前に於いて、自ら誓言を説け。 此の経は持ち難し。若し暫くも持たば、我は則ち歓喜し、諸仏も亦た然なり。是の如き人は、諸仏の歎じたもう所なり。是れ則ち勇猛、是れ則ち精進なり。 是れを持戒、頭陀を行ずる者と名づく。則ち疾く無上の仏道を得。能く来世に於いて、此の経を読み持たば、是れ真の仏子にして、淳善の地に住す。 仏の滅度の後、能く其の義を解せば、是れ諸の天人、世間の眼なり。恐畏の世に於いて、能く須臾も説かば、一切の天人、皆、応に供養すべし。
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法華経・安樂行品第十四(9)常に忍辱を行じ、一切を哀愍して、乃ち能く仏の讃めたもう所の経を演説せよ。後の末世の時、此の経を持たん者には、家と出家と、及び菩薩に非ざるとに、 応に慈悲を生ずべし。斯れ等は是の経を聞かず、信ぜざれば、則ち大いなる失を為す。我、仏道を得て、諸の方便を以て、為に此の法を説き、其の中に住せしめん。 譬えば強力の、転輪の王の、兵戦いて功有るに、諸物を賞賜するが如し。象・馬・車乗、厳身の具、及び諸の田宅、聚落・城邑、 或いは衣服、種種の珍宝、奴婢・財物を、歓喜して賜与す。如し勇健にして、能く難事を為す者有らば、王は髻中の明珠を解きて之に賜う。 如来も亦た爾り、諸の法王として、忍辱の大力、智慧の宝蔵あり、大慈悲を以て、法の如く世を化す。一切の人の、諸の苦悩を受くるを見て、 解脱を求めんと欲して、諸魔と戦う。是の衆生の為に、種種の法を説き、大方便を以て、此の諸経を説けり。既に衆生の、其の力を得已るを知りて、 末後に乃ち為に、是の法華を説く。王の髻を解きて、明珠を之に与うるが如し。此の経は尊と為し、衆経の中の上なり。我れ常に守護して、妄りに開示せず。 今正に是れ時なり、汝等の為に説く。我が滅度の後、仏道を求むる者の、安穏に、斯の経を演説せんと欲せば、応当に是の如き四法に親近すべし。 是の経を読む者は、常に憂悩無く、又た病痛無く、顔色鮮白にして、貧窮・卑賤・醜陋に生ぜず。衆生は見んことを楽うこと、賢聖を慕うが如し。 天の諸の童子は、以て給使と為り、刀杖も加えず、毒も害すること能わず、若し人悪しく罵らば、口は則ち閉塞し、遊行して畏れ無きこと、師子王の如し。