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抱朴子外篇 / 酒誡

於是口湧鼻溢,濡首及亂。屢舞躚躚,舍其坐遷;載號載呶,如沸如羹。或爭辭尚勝,或啞啞獨笑,或無對而談,或嘔吐几筵,或值厥足良倡,或冠脫帶解。貞良者流華督之顧眄,怯懦者效慶忌之蕃捷,遲重者蓬轉而波擾,整肅者鹿踴而魚躍。口訥於寒暑者,皆搖掌而譜聲,謙卑而不競者,悉裨瞻以高交。廉恥之儀毀,而荒錯之疾發;阘茸之性露,而傲佷之態出。

新字:於是口湧鼻溢,濡首及乱。屡舞躚躚,舎其坐遷;載号載呶,如沸如羹。或争辞尚勝,或唖唖独笑,或無対而談,或嘔吐几筵,或値厥足良倡,或冠脱帯解。貞良者流華督之顧眄,怯懦者効慶忌之蕃捷,遅重者蓬転而波擾,整粛者鹿踴而魚躍。口訥於寒暑者,皆揺掌而譜声,謙卑而不競者,悉裨瞻以高交。廉恥之儀毀,而荒錯之疾発;阘茸之性露,而傲佷之態出。

書き下し

是に於いて口は湧き鼻は溢れ、首を濡らして乱に及ぶ。屢ば舞いて躚躚として、其の坐を舍てて遷り、載ち号び載ち呶ぎ、沸くが如く羹の如し。或いは辞を争いて勝つを尚び、或いは啞啞として独り笑い、或いは対無くして談じ、或いは几筵に嘔吐し、或いは厥の足の良き倡に値い、或いは冠脱ぎ帯解く。貞良なる者は華督の顧眄を流し、怯懦なる者は慶忌の蕃捷に效い、遅重なる者は蓬のごとく転じて波のごとく擾れ、整粛なる者は鹿のごとく踴り魚のごとく躍る。寒暑に口訥なる者は、皆掌を搖らして声を譜し、謙卑して競わざる者は、悉く裨瞻して高交す。廉恥の儀毀れ、荒錯の疾発し、阘茸の性露われ、傲佷の態出ず。

現代語訳

こうなると口からは湧き出し鼻からは溢れ、頭までぬらして乱れに及ぶ。しばしば舞っては足元もおぼつかず、座を捨てて移り、叫んでは喚き、沸き立つ湯やスープのようになる。言葉を争って勝とうとする者、ああ、ああと独りで笑う者、相手もなく喋る者、座席に吐く者、足のよい芸人に出会う者、冠を脱ぎ帯を解く者がいる。貞良な者は華督のように流し目を送り、臆病な者は慶忌のような機敏さを真似、鈍重な者は蓬のように転がり波のように乱れ、きちんとした者は鹿のように跳び魚のように躍る。普段は寒暑の挨拶にも口下手な者が、みな手をひらひらさせて調子を取り、謙虚で争わない者は、皆で身を乗り出して高く交わる。廉恥の礼儀は壊れ、荒れて乱れる病が発し、卑しく劣った性質が露われ、傲慢で頑固な態度が現れる。

解説

酔態の描写がたたみかけるように続きます。「貞良なる者は華督の顧眄を流し、怯懦なる者は慶忌の蕃捷に效い」と、普段の人柄とは逆の振る舞いを挙げ、「遅重なる者は蓬のごとく転じ、整粛なる者は鹿のごとく踴り」と、慎重な人も整った人も同じように崩れると描きます。最後に「廉恥の儀毀れ、荒錯の疾発し」と性質の地が露われるとまとめます。酒が人を変えるというより、抑えていた面を引き出すという観察です。職場の宴席で見えた一面を、そのまま人物評に使うかどうか。評価者の側もまた、判断の置き所を決めておく必要があります。

この章句が説くこと

廉恥の儀毀れ荒錯の疾発し阘茸の性露われ謙卑して競わざる者は酔態本性

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