抱朴子外篇 / 勖學
夫周公上聖,而日讀百篇。仲尼天縱,而韋編三絕。墨翟大賢,載文盈車。仲舒命世,不窺園門。倪寬帶經以蕓鉏,路生截蒲以寫書,黃霸抱桎梏以受業,寧子勤夙夜以倍功,故能究覽道奧,窮測微言,觀萬古如同日,知八荒若廬庭,考七耀之盈虛,步三五之變化,審盛衰之方來,驗善否於既往,料玄黃於掌握,甄未兆以如成。故能盛德大業,冠於當世,清芒令問,播於罔極也。
新字:夫周公上聖,而日読百篇。仲尼天縦,而韋編三絶。墨翟大賢,載文盈車。仲舒命世,不窺園門。倪寛帯経以蕓鉏,路生截蒲以写書,黄覇抱桎梏以受業,寧子勤夙夜以倍功,故能究覧道奥,窮測微言,観万古如同日,知八荒若廬庭,考七耀之盈虚,歩三五之変化,審盛衰之方来,験善否於既往,料玄黄於掌握,甄未兆以如成。故能盛徳大業,冠於当世,清芒令問,播於罔極也。
書き下し
夫れ周公は上聖にして、日に百篇を読む。仲尼は天縦にして、韋編三たび絶つ。墨翟は大賢にして、載する文は車に盈つ。仲舒は命世にして、園門を窺わず。倪寛は経を帯して以て蕓鉏し、路生は蒲を截りて以て書を写し、黄霸は桎梏を抱きて以て業を受け、寧子は夙夜に勤めて功を倍にす。故に能く道奥を究覧し、微言を窮測し、万古を観ること同日の如く、八荒を知ること廬庭の若く、七耀の盈虚を考え、三五の変化を歩み、盛衰の方に来たるを審らかにし、善否を既往に験し、玄黄を掌握に料り、未兆を甄らかにして成るが如くす。故に盛徳大業は当世に冠たり、清芒令問は罔極に播まる。
現代語訳
周公は上聖でありながら、一日に百篇を読んだ。孔子は天に許された大才であったが、書物の綴じ紐を三度も切るほど繰り返し読んだ。墨子は大賢であり、持ち歩く書物は車いっぱいだった。董仲舒は世に抜きんでた人物で、庭の門さえ窺わなかった。倪寛は経書を身に帯びて草取りをし、路温舒は蒲を切って書き写し、黄霸は牢の枷をはめられながら学業を受け、寧越は朝から晩まで勤めて他人の倍の功を積んだ。だから彼らは道の奥義を見極め、微妙な言葉を究め測り、万古を一日のように観じ、八方の果てを自分の庭のように知り、七曜の満ち欠けを考え、三皇五帝の変遷をたどり、盛衰が来る様子を明らかにし、善悪を過去に験し、天地を掌握のうちに量り、兆しのないものを、すでに成ったかのように見極めた。だから盛んな徳と大きな業は当世に冠たるものとなり、清らかな名声は果てしなく広まった。
解説
この章句が説くこと
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抱朴子外篇・勖學是を以て賢人は寓世の倏忽を悲しみ、泯没して称無きを疾み、朝に聞くの弘訓に感じ、通微の類無きを悟り、将に落ちんとするの明戒を懼れ、罔念の狂と作るを覚る。飽食して以て日を終えず、功を寸陰に棄てず。逝川に鑑みて志を勉め、過隙の電速を悼む。遊情の不急なるを割き、人間の末務を損ず。憂貧の心を洗い、広願の穢れを遣り、畋猟博奕の遊戯を息め、昼寝坐睡の懈怠を矯す。徒思の益無きを知り、遂に策を聖途に振るう。学びて以て之を聚め、問いて以て之を弁じ、徳に進み業を修め、故きを温ねて新しきを知る。
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抱朴子外篇・崇教抱朴子曰く、秋毫を澄視する者は、天文の煥炳たるを見ず。心を細務に肆にする者は、儒道の弘遠なるを覚らず。鮑を玩ぶ者は茞蕙を忘れ、大に迷う者は反ること能わず。夫れ繩墨を受くる者に枉刳の木無く、道訓に染まる者に邪僻の人無し。治を飾るの術は、学より良きは莫し。学の広きは倦まざるに在り、倦まざるは志を固くするに在り。志茍しくも固からざれば、則ち貧賤なる者は営生に汲汲とし、富貴なる者は逸楽に沈倫す。是を以て遐覧淵博なる者は、曠代にして時に有り。面墻の徒は、肩を比べて武を接ぐなり。若し素士をして則ち昼は躬ら耕して以て口を糊し、夜は火を薪して以て業を修め、位に在る者は則ち酣宴の余暇を以て、時に勧誡に遊観せしめば、則ち世に視肉無く、遊夏乏しからず。亦た饑寒の己に切に、藜藿給せず、膚は風霜に困しみ、口は糟糠に乏しく、出でては師に従う資無く、家には暮旦の急有り、耒を釈てば則ち農事廃れ、巻を執れば則ち供養虧くる者有り、学業を闕くと雖も、怒る可き者なり。謂う所の千里の足の、塩車の下に困しみ、赤刀の礦の、欧冶の門を経ざる者なり。
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抱朴子外篇・勖學抱樸子曰く、夫れ学は性理を清澄にし、埃穢を簸揚し、礦璞を雕鍛し、屯鈍を礱煉し、聡明を啓導し、質素を飾染し、往を察して来を知り、博く勧戒に渉る所以なり。仰ぎ観俯して察するは、是に於いてか在り、人事王道は、是に於いてか備わる。進んでは以て国を為むべく、退いては以て己を保つべし。是を以て聖賢は孜孜として之を勤めざる罔く、夙夜以て之を勉め、命尽きて日中に釈き、饑寒危困にも廃せず。豈に当世に求むる有りて以てせんや。誠に之を楽しむこと自然なればなり。夫れ斫削刻画の薄伎、射禦騎乗の易事すら、猶お慣習を須ちて然る後に善くす。況んや人理の曠く、道徳の遠く、陰陽の変、鬼神の情、緬邈玄奥にして、誠に生まれながらに知り難きをや。色白しと云うと雖も、染めざれば麗しからず。味甘しと云うと雖も、和せざれば美からず。故に瑤華琢かざれば、則ち夜を耀かすの景発せず。丹青治めざれば、則ち純鉤の勁成らず。火は則ち鉆らざれば生ぜず、扇がざれば熾んならず。水は則ち決せざれば流れず、積まざれば深からず。故に質は我に在りと雖も、成るは彼に由る。閬風に登り晨極を捫でて、然る後に井谷の暗隘なるを知る。七経を披き百氏を玩びて、然る後に面墻の至困なるを覚る。
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抱朴子外篇・勖學且つ夫れ商羊を聞きて浩瀁を戒め、鳥砮を訪いて東粛を洽くし、萍実を諮いて色味を言い、土狗を訊いて墳羊を識り、霊宝を披きて山隠を知り、折俎に因りて専車を説き、離畢を瞻て陰陽の候を分け、冬螽に由りて閏余の錯を覚る。何の神か之有らん。学ぶのみ。夫れ童謡すら猶お聖人の耳目を助く、豈に況んや墳索の弘博をや。才性に優劣有り、思理に修短有り。或いは夙知にして早成する有り、或いは耳を提げて後に喩る有り。夫れ速悟時習する者は、驥騄の脚なり。遅解晩覚する者は、鶉鵲の翼なり。彼は飛を尋ね景を絶つと雖も、止まりて行かざれば、則ち歩武にも過ぎず。此れは咫尺を以て進むと雖も、往きて輟めざれば、則ち山沢をも越ゆ可し。明暗の学は、其れ猶お茲のごときか。蓋し少ければ則ち志一にして忘れ難く、長ずれば則ち神放ちて失い易し。故に学を修むるは早きを務め、其の精専なるに及びては、習いは性と成り、自然に異ならず。若し乃ち絶倫の器にして、盛年に故有らば、之を暘谷に失うと雖も、之を虞淵に収む。方に知る、良田の晩く播くは、座歳の荒蕪に愈ることを。日燭の喩えは、斯の言当たれり。
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抱朴子外篇・勖學低仰の駟は教えの功なり。鷙撃の禽は習いの馴らすなり。彼の凡馬野鷹と、本実は一類なるに、此れは以て飾り貴く、彼は質を以て賤し。行潦を運らして輟めざれば、必ず滄海に混流す。一簣を崇くして休まざれば、必ず峻極に鈞しく高し。大川滔瀁なれば、則ち虬螭群れ遊ぶ。日に就き月に将むれば、則ち徳立ち道備わる。乃ち以て正す可し。丘旦を夢み、何ぞ徒に桎を困蒙より解くのみならんや。昔、仲由は雞を冠し豘を帯し、霅珥鳴蟬、剣を杖きて舞い、南山の勁竹を盛んに称して、掘強の自然に任せんと欲す。尼父は善く誘い、染むるに徳教を以てし、遂に升堂の生と成り、四科の哲に登る。子張は鄙人にして、灼聚兇猾なりしも、道訓に漸漬し、化を成して名儒となり、乃ち王公に抗礼す。豈に直ちに庸陋を免れたるのみならんや。
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抱朴子外篇・勖學夫れ学ばずして知を求むるは、猶お魚を願いて網無きがごとし、心は勤むと雖も獲る無し。広博にして以て理を窮むるは、猶お風を須ちて托するがごとし、体は労せずして遠きを致す。粉黛至れば則ち西施は以て麗しさを加え、而して宿瘤は醜を蔵す。経術深ければ則ち高才の者は洞達し、鹵鈍の者は醒悟す。文梓は雲を幹ぐも台榭と名づく可からざるは、未だ班輸の結構を加えざればなり。天然爽朗なるも君子と謂う可からざるは、大倫の臧否を識らざればなり。千里を終朝に超えんと欲せば、必ず追影の足を仮り、洪波を凌ぎて遐く済らんと欲せば、必ず艘楫の器に因る。無外を見て堂を下らざらんと欲せば、必ず載籍に由り、淵微を測りて神を役せざらんと欲せば、必ず明師に得。故に朱緑は素糸を改むる所以、訓誨は蒙蔽を移す所以なり。玄雲を披きて大明を揚ぐれば、則ち万物其の状を隠す所無し。竹帛を舒べて古今を考うれば、則ち天地其の情を蔵す所無し。況んや鬼神をや、而るを況んや人事をや。泥涅は金玉に斉しく堅からしむ可く、曲木は之を攻めて繩墨に応ぜしむ可く、百獣は之に教うるに戦陣を以てす可く、畜牲は之に習わしむるに進退を以てす可く、沈鱗は之を動かすに声音を以てす可く、機石は之を感ぜしむるに精誠を以てす可し。又況んや五常を含みて最霊を稟くる者をや。
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