兵法家伝書 / 新陰流外物進履橋人に待たれての心持
人にまたれての心持之事 一 是は前のヶ條に引替敵は勇あつて手前に臆有べき事に候へば、其所を願み待人有と知なば不及沙汰候。左樣之覺於有之は、宿を出より能く下作を調、縱ひ我を待て討もの多勢に候とも、一足も退間舗ものをと兼て覺悟を定、立出及其期も結句手前より先を仕掛候樣成氣質に候はゞ、却て勝を可得事も有べき也。
新字:人にまたれての心持之事 一 是は前のヶ条に引替敵は勇あつて手前に臆有べき事に候へば、其所を願み待人有と知なば不及沙汰候。左様之覚於有之は、宿を出より能く下作を調、縦ひ我を待て討もの多勢に候とも、一足も退間舗ものをと兼て覚悟を定、立出及其期も結句手前より先を仕掛候様成気質に候はゞ、却て勝を可得事も有べき也。
書き下し
人にまたれての心持之事 一 是は前のヶ條に引替敵は勇あつて手前に臆有べき事に候へば、其所を願み待人有と知なば不及沙汰候。左樣之覺於有之は、宿を出より能く下作を調、縱ひ我を待て討もの多勢に候とも、一足も退間舗ものをと兼て覺悟を定、立出及其期も結句手前より先を仕掛候樣成氣質に候はゞ、却て勝を可得事も有べき也。
現代語訳
人に待たれての心持ちのこと。一、これは前の箇条と引き替え、敵は勇があって手前に臆があるはずのことであるから、その所を顧みて、待つ人がいると知ったならば、言うまでもない。そのような覚悟があるならば、宿を出るときからよく下作を調え、たとえ自分を待って討つ者が多勢であっても、一足も退くまいと前もって覚悟を定め、立ち出て、その時に及んでも、かえって手前から先を仕掛けるような気質であれば、かえって勝ちを得ることもあるだろう。
解説
この章句が説くこと
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葉隠・聞書第一覺りの士というのは、事に逢って仕(し)たるように、前方に、それぞれの仕様(しよう)を吟味し置いて、その時に出合い、仕果(しはた)す者である。不覺の士というのは、その時に至って前方に穿鑿せぬのは、不覺の士と申す。
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