兵法家伝書 / 活人劔百樣之構ありとも唯一に勝つ
一 百樣之構ぇありとも唯一に勝事 右きわまる所は手字種利劔是也、百樣千樣におしゑなし習ひなして身かまへ、太刀かまへ、百手に遣ひなすも、此手字種利劔一ッを眼とする也、敵のかまへに百樣ありとも、我が身に百樣有りとも、手字種利劔の目付に極る也、祕傳なる故に本字を書あらはさずして音をかりて手字種利劔と云者也
新字:一 百様之構ぇありとも唯一に勝事 右きわまる所は手字種利剣是也、百様千様におしゑなし習ひなして身かまへ、太刀かまへ、百手に遣ひなすも、此手字種利剣一ッを眼とする也、敵のかまへに百様ありとも、我が身に百様有りとも、手字種利剣の目付に極る也、秘伝なる故に本字を書あらはさずして音をかりて手字種利剣と云者也
書き下し
一 百樣之構ぇありとも唯一に勝事 右きわまる所は手字種利劔是也、百樣千樣におしゑなし習ひなして身かまへ、太刀かまへ、百手に遣ひなすも、此手字種利劔一ッを眼とする也、敵のかまへに百樣ありとも、我が身に百樣有りとも、手字種利劔の目付に極る也、祕傳なる故に本字を書あらはさずして音をかりて手字種利劔と云者也
現代語訳
一、百様の構えがあっても、ただ一つに勝つこと。右の窮まるところは「手字種利劔」である。百様千様に教えがあり、習い、身構え、太刀構え、百の手に使いこなしても、この手字種利劔一つを眼とするのである。敵の構えに百様あっても、わが身に百様あっても、手字種利劔の目付けに極まる。秘伝であるため、本字を書き表さず、音を借りて「手字種利劔」と言うのである。
解説
この段は、構えが百通りあろうとも、窮まるところは手字種利劔という一つの要に帰る、という総論です。宗矩は、教えが多様でも一つを「眼」とする、と言います。秘伝のため本字を書かず、音を借りた表記にしているとも述べています。ここでは手字種利劔の中身は語られず、あとの段で有無拍子などを通じて説明されます。仕事においても、手法やノウハウが増えるほど、肝心の要を見失う危険が出ます。多くのやり方の中から、何を眼とするかを自分の言葉で言えることが、現場を率いる人の強さになります。
この章句が説くこと
手字種利剣極意秘伝眼要兵法家伝書
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