群書治要 / 『群書治要』史記下・受けないことで職を守る
公儀休為魯相、奉法循理、無所變更、百官自正、使食禄者不得與下民争利、受大者不得取小、客有遺相魚者、不受也。客曰:聞君嗜魚、遺君魚、何故不受也。相曰:以嗜魚、故不受也。今為相能自給魚、今受魚而免、誰復給我魚者、吾故不受也。食茹而美、拔其園葵而弃之、見其家織布好、而疾出其家婦、燔其機、云、欲令農士工女安所讎其貨乎。
新字:公儀休為魯相、奉法循理、無所変更、百官自正、使食禄者不得与下民争利、受大者不得取小、客有遺相魚者、不受也。客曰:聞君嗜魚、遺君魚、何故不受也。相曰:以嗜魚、故不受也。今為相能自給魚、今受魚而免、誰復給我魚者、吾故不受也。食茹而美、抜其園葵而弃之、見其家織布好、而疾出其家婦、燔其機、云、欲令農士工女安所讎其貨乎。
書き下し
公儀休、魯の相と為り、法を奉じ理に循い、変更する所無く、百官自ら正し、禄を食む者をして下民と利を争うを得ざらしめ、大を受くる者は小を取るを得ず。客に相に魚を遺る者有るも、受けざるなり。客曰く、君の魚を嗜むを聞き、君に魚を遺る。何の故に受けざるや、と。相曰く、魚を嗜むを以ての故に受けざるなり。今相と為りて能く自ら魚を給す。今魚を受けて免ぜらるれば、誰か復た我に魚を給する者あらん。吾故に受けざるなり、と。茹を食らいて美とし、其の園の葵を抜きて棄つ。其の家の織る布の好きを見て、其の家婦を疾く出だし、其の機を燔く。云う、農士工女をして安くにか其の貨を讎らしめんと欲せんや、と。
現代語訳
公儀休は魯の宰相となり、法を守って道理に従い、むやみに制度を変えず、役人たちは自然に身を正しました。俸禄をもらう者に民と利益を争わせず、大きな利を得ている者に小さな利を取らせませんでした。ある客が宰相に魚を贈りましたが、受け取りませんでした。客は言いました。「あなたが魚を好むと聞いて贈りました。なぜ受け取らないのですか。」宰相は答えました。「魚が好きだからこそ、受け取らないのです。今、宰相となって、自分で魚を手に入れることができます。ここで魚を受け取って職を免ぜられたら、誰が私に魚を与えてくれるでしょうか。だから受け取らないのです。」また、野菜を食べて美味しいと思うと、庭の葵を抜いて捨てました。家で織った布の出来が良いのを見ると、すぐに家の婦人を追い出し、織り機を焼きました。そして言いました。「農民や織り女の売る物を、どこで売らせようというのか。」
解説

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史記 循吏列伝公儀休は、魯の博士なり。高弟を以て魯相と為る。法を奉じ理に循ひ、変更する所無く、百官自ら正し。食祿する者をして下民と利を争ふを得ざらしめ、大を受くる者をして小を取るを得ざらしむ。食茹して美なるや、其の園葵を抜きて之を棄つ。其の家の布を織ること好きを見て、其の家婦を疾出して、其の機を燔き、云ふ、「農士工女をして安くにか其の貨を讎せしめんと欲するか」と。
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『臣軌』卷下 廉潔章公儀休、魯の相と為り、公禄を食む者をして下人と利を争うを得ざらしめ、大を受くる者は小を取るを得ざらしむ。客に相に魚を遺る者有り、相受けず。客曰く、「君の魚を嗜むを聞く、故に君に魚を遺る。何の故に受けざるか」と。公儀休曰く、「魚を嗜むを以て、故に受けざるなり。今、相と為りて、能く自ら魚を給す。今、魚を受けて相を免ぜられなば、誰か復た我に魚を給せん者ぞ。吾、故に受けざるなり」と。
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史記 循吏列伝客に相に魚を遺る者有り、相受けず。客曰く、「君の魚を嗜むを聞き、君に魚を遺る、何の故に受けざるや」と。相曰く、「魚を嗜むを以ての故に、受けざるなり。今相と為り、能く自ら魚を給す。今魚を受けて免ぜられなば、誰か復た我に魚を給する者ぞ。吾故に受けざるなり」と。
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『韓非子』外儲説右下第三十五夫れ即し魚を受くれば、必ず人に下るの色有り。人に下るの色有れば、将に法を枉げんとす。
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『淮南子』道應訓公儀休 魯に相たりて、魚を嗜む。一國 魚を獻ずるも、公儀子 受けず。其の弟子 諫めて曰く、「夫子 魚を嗜む。受けざるは、何ぞや」と。答えて曰く、「夫れ唯だ魚を嗜む、故に受けざるなり。夫れ魚を受けて相を免ぜらるれば、魚を嗜むと雖も、自ら魚を給する能わず。魚を受くる毋くして相を免ぜられずんば、則ち能く長く自ら魚を給せん」と。此れ人の爲にし己の爲にする者に明らかなるなり。故に老子曰く、「其の身を後にして身 先んじ、其の身を外にして身 存す。其の私無きを以てするに非ずや。故に能く其の私を成す」と。一に曰く、足るを知れば辱められず、と。
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『智囊』遠猶・公孫儀公孫儀、魯に相たり、而して魚を嗜む。一国争いて魚を買い之を献ず、公儀子受けず。其の弟諫めて曰く、「夫子は魚を嗜みて受けざるは、何ぞや」と。対えて曰く、「夫れ唯だ魚を嗜む、故に受けざるなり。夫れ既に魚を受くれば、必ず人に下る色有り、将に法を枉げんとす。法を枉ぐれば則ち相を免ぜられ、相を免ぜられれば、魚を嗜むと雖も其れ誰か給せんや。魚を受くること無くして相を免ぜられざれば、魚を受けずと雖も、能く長く自ら魚を給せん」と。此れ人を恃むは自ら恃むに如かざるを明らかにするなり。