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五常訓 / 巻之四・義

一仁は、溫和慈愛なるを云ひ、義は斷制なれば、善惡を二にわかちて、善をこのみ惡をにくむを云ふ。ひろく衆を愛するは仁なり。小人を遠ざけ、君子に近づくは義なり。財を人に施すは仁なり。與ふべきか、與へまじきかをはかりて、與ふべきものに與ふるは義なり。こゝを以て、仁は理一なり、義は分殊なり。仁はひろく人を愛す。是理一なり。義は人を愛するに、親疎貴賤貧富をわかちて、其宜しきにしたがひて、各其分にかなふは、分殊なり。

新字:一仁は、温和慈愛なるを云ひ、義は断制なれば、善悪を二にわかちて、善をこのみ悪をにくむを云ふ。ひろく衆を愛するは仁なり。小人を遠ざけ、君子に近づくは義なり。財を人に施すは仁なり。与ふべきか、与へまじきかをはかりて、与ふべきものに与ふるは義なり。こゝを以て、仁は理一なり、義は分殊なり。仁はひろく人を愛す。是理一なり。義は人を愛するに、親疎貴賤貧富をわかちて、其宜しきにしたがひて、各其分にかなふは、分殊なり。

書き下し

一仁は、温和慈愛なるを云ひ、義は断制なれば、善悪を二にわかちて、善をこのみ悪をにくむを云ふ。ひろく衆を愛するは仁なり。小人を遠ざけ、君子に近づくは義なり。財を人に施すは仁なり。与ふべきか、与へまじきかをはかりて、与ふべきものに与ふるは義なり。ここを以て、仁は理一なり、義は分殊なり。仁はひろく人を愛す。是理一なり。義は人を愛するに、親疎貴賤貧富をわかちて、其宜しきにしたがひて、各其分にかなふは、分殊なり。

現代語訳

仁は温和慈愛であることをいい、義は断ち定めることなので、善悪を二つに分けて、善を好み悪を憎むことをいいます。広く人々を愛するのは仁です。小人を遠ざけ、君子に近づくのは義です。財を人に施すのは仁です。与えるべきか与えてはならないかをはかって、与えるべき者に与えるのは義です。それゆえ、仁は理一であり、義は分殊です。仁は広く人を愛します。これが理一です。義は人を愛するのに、親疎・貴賤・貧富を分けて、その宜しさにしたがって、それぞれその分にかなうのが分殊です。

解説

仁と義の違いを、広く愛するか、善悪や相手を見分けて適切に対応するかで説明し、朱子学の「理一分殊」に当てはめています。財を施すのは仁だが、誰に与えるべきかを見極めるのは義だという例は明快です。優しさだけでは相手を選ばず甘やかすことになり、見極めだけでは冷たくなるので、両方がそろって初めてよい行いになります。寄付先を選ぶとき、人材を登用するとき、子どもに何を与えるか考えるときにも役立つ整理です。

この章句が説くこと

仁義理一分殊施し君子

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