五行大義 / 第二十三論諸人・第一論人配五行
家語云。孔子曰。堅土之人剛。弱土之人柔。墟土之人大。沙土之人細。息土之人美。耗土之人醜。南方有不死之草。北方有不釋之冰。東方有君子之國。西方有刑殘之尸。中土多聖人。皆象其氣也。故曰。山氣多男。澤氣多女。水氣多瘖。風氣多聾。休氣多癃。木氣多傴。岸下溼氣多腫。正氣多力。險阻之氣多癭。寒氣多壽。熱氣多夭。谷氣多痺。丘氣多狂。衍氣多仁。陵氣多貪。輕土多利起。重土多遲鈍。急水人輕。遲水人重。此竝隨陰陽五行之氣。故善惡斯別。
新字:家語云。孔子曰。堅土之人剛。弱土之人柔。墟土之人大。沙土之人細。息土之人美。耗土之人醜。南方有不死之草。北方有不釈之冰。東方有君子之国。西方有刑残之尸。中土多聖人。皆象其気也。故曰。山気多男。沢気多女。水気多瘖。風気多聾。休気多癃。木気多傴。岸下湿気多腫。正気多力。険阻之気多癭。寒気多寿。熱気多夭。谷気多痺。丘気多狂。衍気多仁。陵気多貪。軽土多利起。重土多遅鈍。急水人軽。遅水人重。此並随陰陽五行之気。故善悪斯別。
書き下し
『家語』に云う、孔子曰く、堅土の人は剛、弱土の人は柔、墟土の人は大、沙土の人は細、息土の人は美、耗土の人は醜なり。南方に不死の草有り、北方に不釈の氷有り、東方に君子の国有り、西方に刑残の尸(し)有り、中土に聖人多し。皆その気に象るなり、と。故に曰く、山気は男多く、沢気は女多く、水気は瘖(いん)多く、風気は聾(ろう)多く、休気は癃(りゅう)多く、木気は傴(う)多く、岸下の湿気は腫多く、正気は力多く、険阻の気は癭(えい)多く、寒気は寿多く、熱気は夭多く、谷気は痺(ひ)多く、丘気は狂多く、衍気は仁多く、陵気は貪多し。軽土は利起多く、重土は遅鈍多し。急水の人は軽く、遅水の人は重し。此れ並びに陰陽五行の気に随う、故に善悪斯(ここ)に別る。
現代語訳
『孔子家語』はこう言う。孔子が言うには、堅い土地の人は剛強で、柔らかい土地の人は柔和、土がふかふかと虚ろな土地の人は体が大きく、砂地の人は細身、肥えて土が増える土地の人は美しく、痩せて土が減る土地の人は醜い。南方には枯れない草があり、北方には解けない氷があり、東方には君子の国があり、西方には刑罰で身体を損なわれた者の屍がある。中央の地には聖人が多い。みなその土地の気にかたどっているのである、と。だからこう言われる。山の気の土地には男が多く、沢の気の土地には女が多く、水の気の土地には口のきけない人が多く、風の気の土地には耳の聞こえない人が多く、休気(衰えた気)の土地には足腰の立たない人が多く、木の気の土地には背の曲がった人が多く、岸の下の湿った気の土地にはむくみの病が多く、正しい気の土地には力の強い人が多く、険しい地形の気の土地には首のこぶ(甲状腺の腫れ)が多く、寒い気の土地には長生きの人が多く、暑い気の土地には若死にが多く、谷の気の土地にはしびれの病が多く、丘の気の土地には狂う人が多く、平らに広がる土地の気には仁の人が多く、高い丘陵の気には欲深い人が多い。軽い土の土地の人は利にさとく動きが速く、重い土の土地の人はのろく鈍い。流れの急な川のほとりの人は軽やかで、流れのゆるやかな川のほとりの人は重々しい。これらはみな陰陽五行の気に従っているのであり、だから人の善し悪しがここに分かれるのである。
解説
この章句が説くこと
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行第二十三、諸人を論ず。此に就きて分かちて二段と為す。一は人の五行に配するを論じ、二は人の遊年年立を論ず。 礼記礼運篇に云う、人は天地の徳、陰陽の交わり、鬼神の会、五行の秀気なり、と。文子に曰く、人は天地の心、五行の端なり、と。是を以て天地五行の気を稟けて生じ、万物の主と為り、二儀に配して以て三才と為る。然れども気を受くるに各々多少有り。木気を受くること多き者は、その性勁直にして仁を懐く。火気を受くること多き者は、その性猛烈にして礼を尚ぶ。土気を受くること多き者は、その性寛和にして信有り。金気を受くること多き者は、その性剛断にして義を含む。水気を受くること多き者は、その性沈隠にして智多し。五気湊合(そうごう)して、共にその身を成す。気若し清叡なれば、則ちその人は精俊にして爽如たり。昏濁なれば、則ちその人は愚頑なり。老子に云う、陰陽の精気は人と為る。気に厚薄有り。中和の滋液を得れば、則ち賢智の人を生じ、錯乱濁辱を得れば、則ち貪淫の人を生ず、と。禄命書に云う、金人は剛強にして自ら用い、木人は華多くして雅なり、水人は開通にして智慧あり、火人は自ら貴びて性急なり、土人は忠信にして直なり、と。周書に云う、人は十に感じて生ず。天の五行、地の五行、合わせて十と為す。天の五行は五常と為り、地の五行は五蔵と為る、と。故に易に曰く、天に在りては象を成し、地に在りては形を成す者なり、と。家語に曰く、天は一、地は二、人は三。三三にして九、九九八十一。一は日を主り、日の数は十、故に人は十月にして生まる、と。文子に云う、
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行火は炎上す、故に高し。炎上す、故に髪少なきなり。西戎の人は、深目高鼻にして、衣て冠無き者なり。鼻は肺を主り、肺は金なり、故に高し。目は肝なり、肝は木にして金の制する所と為る、故に深し。金は裁断を主る、故に髪断ちて冠無し。北狄の人は、高権被髪にして衣長き者なり。権は腎を主り、腎は水なり、故に権高し。被髪なる者は、水の流れ漫(ひろ)がるに象るなり。衣長きも、亦た水の行くに象るなり。中夏の人の容貌平整なる者は、土地の和平に象るなり。その衣冠車服の五色を備うる者は、土の四行を包含するに象るなり。孔子曰く、東僻の人を夷と曰い、精にして以て僥(ぎょう)なり。南僻の人を蛮と曰い、信にして以て朴なり。西僻の人を戎と曰い、頑にして以て剛なり。北僻の人を狄と曰い、肥にして以て戻(れい)なり。中国の人は、安居して味を和す、と。『帝王世紀』に云う、堯は共工を幽州に流して以て北狄に竄(ざん)し、三苗を三危に遷して以て西戎に竄し、驩兜(かんとう)を崇山に放ちて以て南蛮に竄し、鯀(こん)を羽山に殛(きょく)して以て東夷に竄す、と。『春秋文耀鉤』に云う、気は人の形に随う。故に南方は至って温かく、その人大口なるは、気の舒緩なるに象るなり。北方は至って寒く、その人短頸なるは、気の急縮なるに象るなり。東方は川谷の経る所、その人小頭兌形なるは、木の上に小さきに象るなり。西方は高土にして日月の入る所、その人面に毛多きは、山に草木多きに象るなり。中央は四通して雨露の施す所、その人面大なるは、土の平広なるに象るなり、と。
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行王気の中に生まるる者は、その人王相にして、爵禄に宜し。相気の中に生まるる者は、その人官多し。死気の中に生まるる者は、その人疾病多く短命なり、と。此れ並びにその生月の、五行の気の盛衰に当たる時を論ずるなり。況やその気を稟受する者は、その人の形質・情性・骨肉・蔵府、皆五行に象る。『相書』に云う、木人は細長にして身直し。火人は頭小さく、下豊かにして短小なり。土人は面員(まる)く腹大なり。金人は面方にして口兌(とが)る。水人は面薄く、身偏りて蛇行す。木人は青色真なり、白有るは是れ害気なり。火人は赤色真なり、黒有るは是れ害気なり。土人は黄色真なり、青有るは是れ害気なり。金人は白色真なり、赤有るは是れ害気なり。水人は黒色真なり、黄有るは是れ害気なり、と。日に配すれば、則ち甲乙(こうおつ)を皮毛と為し、丙丁(へいてい)を爪筋と為し、戊己(ぼき)を肉と為し、庚辛(こうしん)を骨と為し、壬癸(じんき)を血脈と為す。卦に配すれば、則ち乾を頭と為し、離を目と為し、坎を耳と為し、兌を口と為し、坤を腹と為し、巽を手と為し、艮を股膝と為し、震を足と為す。その蔵府・性情は、各おの別に解有り。然れども人は天地の内に居り、山川の中に在りて、各おの方位に随いて、形性等しからず。所以に東夷の人は、その形細長にして、修眉長目、衣冠も亦た狭長を尚ぶ。東海句麗(こうり)の人は、その冠高く狭く、加うるに鳥羽を以てし、木の枝に象る。長目なる者は、目は肝を主り、肝は木なり、故に細くして長し。皆木に象るなり。南蛮の人は、短小軽壑にして、高口少髪、衣冠も亦た短軽を尚ぶ。高口なる者は、口・人中は心を主り、心は火なり。
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『淮南子』墜形訓東方の美なる者は、醫毋閭の珣玗琪有り。東南方の美なる者は、會稽の竹箭有り。南方の美なる者は、梁山の犀象有り。西南方の美なる者は、華山の金石有り。西方の美なる者は、霍山の珠玉有り。西北方の美なる者は、昆侖の球琳・琅玕有り。北方の美なる者は、幽都の筋角有り。東北方の美なる者は、斥山の文皮有り。中央の美なる者は、岱嶽有りて以て五穀桑麻を生じ、魚鹽焉に出づ。凡そ地形は、東西を緯と為し、南北を經と為す。山を積德と為し、川を積刑と為す。高き者を生と為し、下き者を死と為す。丘陵を牡と為し、溪穀を牝と為す。水の圓く折るる者は珠有り、方に折るる者は玉有り。清水には黃金有り、龍淵には玉英有り。土地は各ミ其の類を以て生ず。是の故に山氣は男多く、澤氣は女多く、障氣は喑多く、風氣は聾多く、林氣は癃多く、木氣は傴多く、岸下の氣は腫多く、石氣は力多く、險阻の氣は癭多く、暑氣は夭多く、寒氣は壽多く、穀氣は痹多く、丘氣は狂多く、衍氣は仁多く、陵氣は貪多し。輕土は利多く、重土は遲多し。清水は音小さく、濁水は音大なり。湍水は人輕く、遲水は人重し。中土は聖人多し。皆な其の氣に象り、皆な其の類に應ず。故に南方に不死の草有り、北方に不釋の冰有り、東方に君子の國有り、西方に形殘の屍有り。寢居は直夢し、人死して鬼と為り、磁石は上飛し、雲母は水を來し、土龍は雨を致し、燕雁は代わる代わる飛ぶ。蛤蟹珠龜は、月と盛衰す。是の故に堅土の人は剛く、弱土の人は肥え、壚土の人は大に、沙土の人は細く、息土の人は美に、毛土の人は醜し。水を食らう者は善く游ぎ寒に能え、土を食らう者は心無くして慧く、木を食らう者は力多くして𡚤く、草を食らう者は善く走りて愚に、葉を食らう者は絲有りて蛾となり、肉を食らう者は勇敢にして悍く、氣を食らう者は神明にして壽く、穀を食らう者は知慧にして夭す。食らわざる者は死せずして神なり。
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行王気はその盛んなる時に当たる、故に最も霊聖なり。相気は王に微(すこ)しく劣る、故に善・忠より已下(いか)は王政に伏す。休気は已に衰う、故に仕・庶の例に当たる。囚気は最も劣る、故に衆・小の流に当たる。文子の上を以て下に返し、人を喩えて畜に比するも、亦た之に近し。然れども此の五気は、清有り濁有り、正有り邪有り、初有り末有り。若し正気を得れば、卑劣に在りと雖も、方(まさ)に大善と為る。若し卑気を受くれば、尊勝に居ると雖も、衆(おお)く大悪を興す。桀の夏宗を覆し、紂の殷族を亡ぼし、周の幽・厲に衰え、漢の桓・霊に滅ぶが如きに至りては、此れ則ち尊に処りて悪を興す者なり。鼎を殷廟に負い、釣を磻渓(はんけい)に垂れ、南陽に商賈し、車下に牛を飼う。此の時に当たりては、その善未だ見(あら)われず。師輔に登るに及びて、仁聖並び彰(あら)わる。此れ豈に卑下にして能く宏済(こうさい)するに非ずや。その賢徳已上は、気正しくして邪無し、故に最上に居る。然れども気の初なるは、齢歯終に長く、気の末なるは、命相短促なり。此の四気に又た四別有り。若し上にして清秀なれば、霊智愈いよ高し。上にして濁汚なれば、乃ち須らく修飭(しゅうちょく)すべし。下にして清秀なれば、琢磨して方に以て器と為る。之に昏濁を加うれば、朽木は復た雕るべからず。貴賤・富貧・好醜・善悪・性情・年命を兼ぬれば、乃ち万途有り、並びに五行の気の感ずる所の致すなり。今且く文子に就きてその二十五等を論じ、以て階差と為す。自外(これよりほか)の諸徒は、具さに弁じ難し。人を知るは則ち哲なり、惟(こ)れ帝も其れ之を難しとす。明聖なる者に非ざれば、孰(たれ)か能く弁識せん。『禄命決』に云う、
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行額を衡山と為し、頭を恒山と為し、鼻を嵩高山と為し、眉を岱山(たいざん)と為し、権(けん)を崑崙山と為す。二儀は天地に象り、三亭は三才に法り、四瀆(しとく)は四時を主り、五官は五行に応じ、六府は六律に従い、七門は七星に配し、八節は八風に取り、九候は九州に比し、十指は十日に応じ、十二徳は十二月に象り、二十八節は二十八宿に応ず、と。『家語』に云う、人生まれて三月にして微昫(びく)す、然る後に目能く見る。八月にして歯を生ず、然る後に能く食う。朞(き)にして臏(ひん)す、然る後に能く行く。三年にして顖(しん)合う、然る後に能く言う。陰窮まれば陽に反る、故に陰は陽を以て変ず。陽窮まれば陰に反る、故に陽は陰を以て化す。是を以て男子は八月にして歯を生じ、八歳にして齔(しん)し、十六にして精通じ、然る後に能く化す。女子は七月にして歯を生じ、七歳にして齔し、十四にして化す、と。『礼』に、男子は二十にして冠し、成人の父たるの端有り。女子は十五にして笄(けい)して嫁ぐを許し、成人の母たるの道有り、と。此れ皆天地五行の大数に従うなり。『文子』に曰く、昔者(むかし)中黄子云う、天に五行有り、地に五岳有り、声に五音有り、物に五味有り、色に五章有り、人に五位有り。故に天地の間、二十有五人あり。上五に神人・真人・道人・至人・聖人有り。次五に徳人・賢人・善人・中人・辨人有り。中五に仁人・礼人・信人・義人・智人有り。次五に仕人・庶人・農人・商人・工人有り。下五に衆人・小人・駑人(どじん)・愚人・完人有り。上五の下五に与(お)けるは、猶お人の牛馬に与けるがごとし、と。
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