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五行大義 / 第六論五行相雑・二論支干雑

支干雜者。五行書云。甲以女弟乙嫁庚爲妻。故乙中有雜金。立春木王。甲召乙還。乙懷金氣來。故仲春殺榆莢白也。丙以女弟丁嫁壬爲妻。丁中有雜水。立夏火王。丙召丁還。丁懷水氣來。故仲夏桑椹熟黑也。戊以女弟己嫁甲爲妻。己中有雜木。季夏土王。戊召己還。己懷木氣來。故季夏有果實青也。庚以女弟辛嫁丙爲妻。辛中有雜火。立秋金王。庚召辛還。辛懷火氣來。故仲秋棗熟朱也。壬以女弟癸嫁戊爲妻。癸中有雜土。立冬水王。壬召癸還。癸懷土氣來。故仲冬草木皆黃也。甲丙戊庚壬。爲男剛強。故自有德不雜。乙丁己辛癸。爲女柔弱。不自專。從夫。故有雜。猶出嫁之女。卽稱夫氏。歸寧之日。攜子而來。氏族便雜。五行十雜云。甲爲木。乙爲材。丙爲火。丁爲灰。戊爲土。己爲泥。庚爲金。辛爲鑪銻。壬爲水。癸爲濁汙。此皆雜義也。寅卯爲木。春懷火。故卯爲純木。寅爲雜木。巳午爲火。夏懷土。故午爲純火。巳爲雜火。申酉爲金。秋懷水。故酉爲純金。申爲雜金。亥子爲水。冬懷木。故子爲純水。亥爲雜水。土居中央。分主四氣。故辰中有餘木。未中有餘火。戌中有餘金。丑中有餘水。各十二日。故四孟爲懷任。生氣之所由。四仲。盛壯之所立。四季。葬送之所在。懷任及葬。皆有雜義。

新字:支干雑者。五行書云。甲以女弟乙嫁庚為妻。故乙中有雑金。立春木王。甲召乙還。乙懐金気来。故仲春殺榆莢白也。丙以女弟丁嫁壬為妻。丁中有雑水。立夏火王。丙召丁還。丁懐水気来。故仲夏桑椹熟黒也。戊以女弟己嫁甲為妻。己中有雑木。季夏土王。戊召己還。己懐木気来。故季夏有果実青也。庚以女弟辛嫁丙為妻。辛中有雑火。立秋金王。庚召辛還。辛懐火気来。故仲秋棗熟朱也。壬以女弟癸嫁戊為妻。癸中有雑土。立冬水王。壬召癸還。癸懐土気来。故仲冬草木皆黄也。甲丙戊庚壬。為男剛強。故自有徳不雑。乙丁己辛癸。為女柔弱。不自専。従夫。故有雑。猶出嫁之女。即称夫氏。帰寧之日。攜子而来。氏族便雑。五行十雑云。甲為木。乙為材。丙為火。丁為灰。戊為土。己為泥。庚為金。辛為鑪銻。壬為水。癸為濁汚。此皆雑義也。寅卯為木。春懐火。故卯為純木。寅為雑木。巳午為火。夏懐土。故午為純火。巳為雑火。申酉為金。秋懐水。故酉為純金。申為雑金。亥子為水。冬懐木。故子為純水。亥為雑水。土居中央。分主四気。故辰中有余木。未中有余火。戌中有余金。丑中有余水。各十二日。故四孟為懐任。生気之所由。四仲。盛壮之所立。四季。葬送之所在。懐任及葬。皆有雑義。

書き下し

支干の雑とは、五行書に云う、甲は女弟乙を以て庚に嫁がせて妻と為す。故に乙中に雑金有り。立春に木王たれば、甲、乙を召して還らしむ。乙は金気を懐きて来たる。故に仲春に楡莢(ゆきょう)を殺して白きなり。丙は女弟丁を以て壬に嫁がせて妻と為す。丁中に雑水有り。立夏に火王たれば、丙、丁を召して還らしむ。丁は水気を懐きて来たる。故に仲夏に桑椹(そうじん)熟して黒きなり。戊は女弟己を以て甲に嫁がせて妻と為す。己中に雑木有り。季夏に土王たれば、戊、己を召して還らしむ。己は木気を懐きて来たる。故に季夏に果実の青き有るなり。庚は女弟辛を以て丙に嫁がせて妻と為す。辛中に雑火有り。立秋に金王たれば、庚、辛を召して還らしむ。辛は火気を懐きて来たる。故に仲秋に棗(なつめ)熟して朱きなり。壬は女弟癸を以て戊に嫁がせて妻と為す。癸中に雑土有り。立冬に水王たれば、壬、癸を召して還らしむ。癸は土気を懐きて来たる。故に仲冬に草木皆黄なるなり。甲丙戊庚壬は男たりて剛強、故に自ら徳有りて雑らず。乙丁己辛癸は女たりて柔弱、自ら専らにせず、夫に従う、故に雑有り。猶お出嫁の女、即ち夫の氏を称し、帰寧の日、子を携えて来たれば、氏族便ち雑るがごとし。五行十雑に云う、甲は木たり、乙は材たり、丙は火たり、丁は灰たり、戊は土たり、己は泥たり、庚は金たり、辛は鑪銻(ろてい)たり、壬は水たり、癸は濁汙(だくお)たり、と。此れ皆雑の義なり。寅卯は木たり。春は火を懐く、故に卯は純木たり、寅は雑木たり。巳午は火たり。夏は土を懐く、故に午は純火たり、巳は雑火たり。申酉は金たり。秋は水を懐く、故に酉は純金たり、申は雑金たり。亥子は水たり。冬は木を懐く、故に子は純水たり、亥は雑水たり。土は中央に居り、分かちて四気を主る。故に辰中に余木有り、未中に余火有り、戌中に余金有り、丑中に余水有り、各十二日なり。故に四孟は懐任たり、生気の由る所なり。四仲は盛壮の立つ所なり。四季は葬送の在る所なり。懐任及び葬には、皆雑の義有り。

現代語訳

十干十二支の混じり合いについて、『五行書』にはこうある。「甲は妹の乙を庚に嫁がせて妻とする。だから乙の中には混じった金がある。立春に木が盛んになると、甲は乙を呼び戻す。乙は金の気を身ごもって帰ってくる。だから仲春(二月)に楡(にれ)の莢(さや)を枯らして白くするのである。丙は妹の丁を壬に嫁がせて妻とする。丁の中には混じった水がある。立夏に火が盛んになると、丙は丁を呼び戻す。丁は水の気を身ごもって帰ってくる。だから仲夏(五月)に桑の実が熟して黒くなるのである。戊は妹の己を甲に嫁がせて妻とする。己の中には混じった木がある。季夏(六月)に土が盛んになると、戊は己を呼び戻す。己は木の気を身ごもって帰ってくる。だから季夏に青い果実があるのである。庚は妹の辛を丙に嫁がせて妻とする。辛の中には混じった火がある。立秋に金が盛んになると、庚は辛を呼び戻す。辛は火の気を身ごもって帰ってくる。だから仲秋(八月)に棗が熟して赤くなるのである。壬は妹の癸を戊に嫁がせて妻とする。癸の中には混じった土がある。立冬に水が盛んになると、壬は癸を呼び戻す。癸は土の気を身ごもって帰ってくる。だから仲冬(十一月)に草木がみな黄色くなるのである」。甲・丙・戊・庚・壬は男であって剛く強いので、自分自身に徳があって混じらない。乙・丁・己・辛・癸は女であって柔らかく弱く、自分で事を決めず夫に従うので、混じり合いがある。ちょうど嫁いだ娘が夫の姓を名乗り、里帰りの日に子を連れて帰ってくると、一族に他家の血が混じるようなものである。『五行十雑』にはこうある。「甲は木、乙は材木、丙は火、丁は灰、戊は土、己は泥、庚は金、辛は炉で溶かした金属、壬は水、癸は濁った汚水である」。これらはみな混じり合いの意味である。寅と卯は木である。春は火をはらんでいるので、卯は純粋な木、寅は混じった木である。巳と午は火である。夏は土をはらんでいるので、午は純粋な火、巳は混じった火である。申と酉は金である。秋は水をはらんでいるので、酉は純粋な金、申は混じった金である。亥と子は水である。冬は木をはらんでいるので、子は純粋な水、亥は混じった水である。土は中央にあって、四季の気を分けてつかさどる。だから辰の中には残りの木があり、未の中には残りの火があり、戌の中には残りの金があり、丑の中には残りの水があり、それぞれ十二日である。だから四孟(寅・巳・申・亥、各季節の初め)は身ごもりの時で、生の気がそこから生じる所である。四仲(卯・午・酉・子、各季節の半ば)は盛んで壮んな状態が確立する所である。四季(辰・未・戌・丑、各季節の終わり)は葬送のある所である。身ごもりと葬送にはどちらも混じり合いの意味がある。

解説

第六の二つ目「支干の雑」で、十干十二支の中にほかの五行が混じり込む仕組みを、嫁いだ妹が夫の気を宿して里帰りするという物語で説明する段である。木の妹の乙は金の庚に嫁ぎ、春に兄の甲に呼び戻されるときに金の気を身ごもって帰るので、春の盛りなのに楡の莢が白く枯れる、というように、季節の中に次の季節や反対の季節の色が紛れ込む現象を説明している。仲夏に熟す桑の実の黒(水)、仲秋の棗の赤(火)、仲冬の草木の黄(土)も同じ理屈である。この妹と婚姻の組み合わせは、甲と己、乙と庚、丙と辛、丁と壬、戊と癸を結ぶ十干の「合」の考え方と重なる。十二支についても、季節の初めの支は次の行をはらんで混じり、半ばの支は純粋で、終わりの支には土用として残りの気がある、と整理する。陽を男・陰を女とし、女は夫に従うという当時の家族観がそのまま宇宙論に持ち込まれている点は、時代の制約として読む必要がある。季節の中にすでに次の季節の兆しが紛れているという観察そのものは、自然を見る目として今も新鮮である。

この章句が説くこと

五行大義相雑十干干合季節

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