言志四録 / 言志耋録 第三百二十一条 養老は一の安の字
養老要占一安字。心安。身安。事安。何養如之。
書き下し
養老は一の安の字を占むるを要す。心安く、身安く、事安し。何の養か之に如かん。
現代語訳
老いを養うには「安」の一字をしっかり押さえることが肝要である。心が安らか、身が安らか、事が安らかであれば、これに勝る養いがあろうか。
解説
養老の要を「安」の一字に集約した一条です。心が安らかで、身が安らかで、事が安らか。この三つがそろえば、どんな養生法にも勝るというのです。心の安らぎは執着や不安のないこと、身の安らぎは無理のない暮らし、事の安らぎは身辺の事柄が滞りなく収まっていることでしょう。これまでの条で説いてきた静・簡・和易・節度などが、すべてこの一字に帰着すると見ることができます。一語に絞り込むのは一斎の好んだ語り方でもあります。多くの手立てを重ねるより、状態としての安定を目指すという考え方は、個人の働き方や組織の運営を見直すときにも役立つ視点です。
この章句が説くこと
養老安心身簡素
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