言志四録 / 言志晩録 第二百九条 人を欺かざる者は人も欺かず
不欺人者。人亦不敢欺。欺人者。卻爲人所欺。
新字:不欺人者。人亦不敢欺。欺人者。却為人所欺。
書き下し
人を欺かざる者は、人も亦敢て欺かず。人を欺く者は、却つて人の欺く所と為る。
現代語訳
人を欺かない者は、人もまたあえてその人を欺こうとはしない。人を欺く者は、かえって人から欺かれることになる。
解説
欺くことと欺かれることの因果を簡潔に述べた条です。人を欺かない人に対しては、相手も誠実さに打たれて、欺こうという気持ちを起こしにくくなります。反対に、人を欺く者の周りには同じく人を欺く者が集まり、また欺かれた人は仕返しを考えるので、結局は自分が欺かれる側に回ります。誠実さは相手の誠実さを呼び、不誠実は不誠実を呼ぶという、人間関係の鏡のような性質を示しています。次の条では、真偽や虚実は結局ごまかせないと続きます。取引や交渉で目先の得のために相手を出し抜けば、その評判はやがて自分に返ってきます。信頼を基盤に長く関係を築くことの意味を、単純な言葉で確かめさせてくれる一条です。
この章句が説くこと
誠実欺瞞信頼因果人間関係
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