酔古堂剣掃 / 集峭・背後の毀り無きは難し
有面前之譽易,無背後之毀難;有乍交之歡易,無久處之厭難。
新字:有面前之誉易,無背後之毀難;有乍交之歓易,無久処之厭難。
書き下し
面前の譽れ有るは易く、背後の毀り無きは難し;乍交の歡び有るは易く、久處の厭ひ無きは難し。
現代語訳
面と向かって褒められることはたやすく、陰で悪く言われないことは難しいものです。付き合いはじめに楽しくあることはたやすく、長く一緒にいても嫌がられないことは難しいものです。
解説
人付き合いの本当の難しさを、易と難の対で鋭く突いた一則です。面前の誉れは、目の前での褒め言葉で、社交辞令も含まれるので得やすいものです。しかし本人のいないところで悪口を言われないのは、日頃の行いが本当に信頼されていなければできません。乍交は付き合いはじめ、久處は長く一緒に過ごすことです。初対面で好印象を持たれるのは簡単でも、長く付き合って飽きられず嫌われないのは、誠実さと思いやりの積み重ねが要ります。人の評価は、見えないところと長い時間の中で決まるのです。表面の好感より、陰の信頼と長い付き合いを大切にしたいと思わせる句です。
この章句が説くこと
交友信頼誠実人間関係処世
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