言志四録 / 言志後録 第三十七条 地徳を執る
人生於地而死於地。畢竟不能離於地。故人宜執地德。地德。敬也。人宜敬。地德。順也。人宜順。地德。簡也。人宜簡。地德。厚也。人宜厚。
新字:人生於地而死於地。畢竟不能離於地。故人宜執地徳。地徳。敬也。人宜敬。地徳。順也。人宜順。地徳。簡也。人宜簡。地徳。厚也。人宜厚。
書き下し
人は地に生れて地に死す。畢竟地を離るること能はず。故に人は宜しく地徳を執るべし。地徳は敬なり、人宜しく敬すべし。地徳は順なり、人宜しく順なるべし。地徳は簡なり、人宜しく簡なるべし。地徳は厚なり、人宜しく厚かるべし。
現代語訳
人は地の上に生まれ、地の上で死ぬ。結局、地を離れることはできない。だから人は地の徳を身に執るのがよい。地の徳とは敬(つつしみ)である。人はつつしむべきである。地の徳とは順(したがうこと)である。人は素直に従うべきである。地の徳とは簡(簡素)である。人は簡素であるべきである。地の徳とは厚(重厚)である。人は厚みがあるべきである。
解説
天を師とせよと説くことの多い一斎が、ここでは地の徳に目を向けています。背景にあるのは易の坤卦で、坤は地を表し、「順」「厚く徳を載す」といった性格で語られます。繋辞伝にも「坤は簡を以て能くす」とあります。一斎はそこに敬を加え、敬・順・簡・厚の四つを人の守るべき徳として並べました。大地は万物を黙って載せ、季節に従い、飾らず、分厚く支える。天の高い理想を仰ぐだけでなく、足元の大地のように謙虚に、素直に、簡素に、厚く生きることも人の道だというのです。華々しさより、組織を下から支え続ける人の在り方を考えるうえで、示唆に富む一条です。
この章句が説くこと
地徳敬順簡素重厚易
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