言志四録 / 言志録 第三十九条 初見の時に相す
人之賢否。於初見時相之。多不謬。
書き下し
人の賢否は、初見の時に於て之を相すれば、多く謬らず。
現代語訳
人が賢いかどうかは、初めて会ったときに見定めると、たいてい間違わない。
解説
人を見定めるには初対面が大切だと言う、経験に裏打ちされた一条です。初めて会ったときは、まだ先入観や情がなく、相手も取り繕いきれないため、その人の本質が素直に見えると一斎は言います。「相す」は人相を見るように見定めること。ただし次の条で、愛憎の念が人を見る目を最も曇らせると続けており、初見が正確なのは好悪の情が入る前だからだ、という含みがあります。第一印象ですべてを決めよという話ではありません。付き合いが深まるにつれて判断が甘くなったり厳しくなったりしていないか、初対面のときの印象に立ち返って確かめる手がかりになります。
この章句が説くこと
人を見る目第一印象人物鑑定先入観
関連する章句
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『論語と算盤』処世と信条・人物の観察法佐藤一斎先生は、人と初めて会った時に得た印象によってその人のいかなるかを判断するのが、最も間違いのない正確な人物観察法なりとせられ、先生の著述になった『言志録』のうちには、『初見の時に相すれば人多く違わじ』という句さえある。初めて会った時によくその人を観れば、一斎先生の言のごとく多くは誤たぬもので、たびたび会うようになってからする観察は考え過ぎて、かえって過誤に陥り易いものである。初めてお会いしたその時に、この方はたいていこんな方だなと思うた感じには、いろいろの理窟や情実が混ぜぬから、至極純なところのあるもので、その方がもし偽り飾っておらるれば、その偽り飾っておらるる所が、初見の時にはチャンと当方の胸の鏡に映ってありありと見えることになる。しかしたびたびお会いするようになると、ああでないこうであろうなどと、他人の噂を聞いたり、理窟をつけたり、事情に囚われたりして考え過ぎることになるから、かえって人物の観察を過まるものである。
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