導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

福翁自伝 / 緒方の塾風・工芸伎術に熱心(4)

製薬には兎角徳利が入用だから、丁度宜しい、塾の近所の丼池筋に米藤と云う酒屋が塾の御出入、この酒屋から酒を取寄せて、酒は飲で仕舞て徳利は留置き、何本でもみんな製薬用にして返さぬと云うのだから、酒屋でも少し変に思たと見え、内々塾僕に聞合せると、この節書生さんは中実の酒よりも徳利の方に用があると云うので、酒屋は大に驚き、その後何としても酒を持て来なくなって困た事がある。

書き下し

製薬には兎角徳利が入用だから、丁度宜しい、塾の近所の丼池筋に米藤と云う酒屋が塾の御出入、この酒屋から酒を取寄せて、酒は飲で仕舞て徳利は留置き、何本でもみんな製薬用にして返さぬと云うのだから、酒屋でも少し変に思たと見え、内々塾僕に聞合せると、この節書生さんは中実の酒よりも徳利の方に用があると云うので、酒屋は大に驚き、その後何としても酒を持て来なくなって困た事がある。

現代語訳

製薬にはとかく徳利が必要ですから、ちょうどよいと、塾の近所の丼池筋に米藤という酒屋が塾の出入りで、この酒屋から酒を取り寄せ、酒は飲んでしまって徳利は留め置き、何本でもみな製薬用にして返さないというのですから、酒屋でも少し変に思ったと見え、こっそり塾僕に聞き合わせると、この節、書生さんは中身の酒よりも徳利の方に用があるというので、酒屋は大いに驚き、その後は何としても酒を持ってこなくなって困ったことがあります。

解説

製薬の容器にするため、酒屋から取り寄せた酒の徳利を返さずに溜め込み、ついに酒屋に酒を持ってきてもらえなくなったという笑い話です。本来の目的である酒を飲む楽しみが、手段の確保を優先したことで台無しになる皮肉があります。取引先の信頼を、自分たちの都合で損なった失敗でもあります。目の前の必要に気を取られて相手の事情を考えないと、長く続く関係が壊れるという教訓は、今のビジネスにも当てはまります。

この章句が説くこと

徳利酒屋製薬信用取引失敗

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円 本を見る