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智囊 / 狡黠・陽虎

陽虎之敗,魯人閉門而捕之,圍之三匝。虎奔及門,門者曰:「天下探之不窮,我今出子。」虎因揚劍提戈而出。顧反,取戈以傷出之者,出之者怨之曰:「我非故與子友也,為子脫死,而反傷我。」魯君聞失虎,大怒,問所出之門,有司拘之,不傷者被罪,而傷者獨蒙厚賞。

新字:陽虎之敗,魯人閉門而捕之,囲之三匝。虎奔及門,門者曰:「天下探之不窮,我今出子。」虎因揚剣提戈而出。顧反,取戈以傷出之者,出之者怨之曰:「我非故与子友也,為子脱死,而反傷我。」魯君聞失虎,大怒,問所出之門,有司拘之,不傷者被罪,而傷者独蒙厚賞。

書き下し

陽虎の敗るるや、魯人門を閉ざして之を捕え、之を囲むこと三匝す。虎、奔りて門に及ぶ。門者曰く、「天下探りて窮まらず。我今子を出さん」と。虎因りて剣を揚げ戈を提げて出ず。顧みて反り、戈を取りて以て之を出だせる者を傷つく。出だせる者之を怨みて曰く、「我は故より子と友たるに非ず。子の為に死を脱せしめたるに、而るに反って我を傷つく」と。魯君、虎を失えるを聞きて大いに怒り、出だせる所の門を問う。有司これを拘す。傷つかざる者は罪を被り、而して傷つける者は独り厚賞を蒙れり。

現代語訳

陽虎が敗れたとき、魯の人々は門を閉ざして彼を捕らえようとし、三重に取り囲んだ。虎は走って門のところまで来た。門番は言った。「天下は探しても探しきれないほど広い。私が今あなたを出してやろう」。虎はそこで剣を振りかざし、戈を提げて出ていった。そして振り返ると、戈を取って、自分を出してくれた者を傷つけた。出してやった者は恨んで言った。「私はもともとあなたと友人だったわけではない。あなたのために死を免れさせてやったのに、かえって私を傷つけるとは」。魯の君主は虎を逃がしたと聞いて大いに怒り、どの門から出たのかを問うた。役人が門番たちを捕らえた。傷つけられなかった者は罪に問われ、傷つけられた者だけは厚い賞を受けた。

解説

陽虎は、自分を逃がしてくれた恩人をあえて傷つけ、その傷を「抵抗して逃げられた」証拠に変えました。恩を仇で返す冷たい仕打ちのようですが、結果として、傷を負った門番だけが罰を逃れ、褒美まで得ています。助けた側にも罰が及ぶ状況を読んだ、恐ろしいほど冷静な計算です。ただし、助けられた恩を考えれば、手放しの賛辞はできません。管理職にとってこの話が示すのは、危機のときに、周りの人が責任を負わされない仕組みや証拠を前もって整えておくことの大切さです。

この章句が説くこと

門者戈を取る傷を証とする恩と責任危機のなかの計算責任の所在

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