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智囊 / 狡黠・嚴嵩

伊庶人為王時,以殘暴歷見糾於台使者,迫則行十萬餘金於嵩,得小緩。及嵩敗家居,則遣軍卒十輩造嵩家,脅償金。嵩置酒款之,而好語曰:「所惠金十萬,實無之,僅得半耳,而又半費,請以二萬金償。」因盡以上所賜金有印識者予之,既去而聞於郡曰:「有江盜劫吾家二萬金去矣,速掩之,可獲也。」郡發卒追得金,悉捕軍卒下獄論死。

新字:伊庶人為王時,以残暴歴見糾於台使者,迫則行十万余金於嵩,得小緩。及嵩敗家居,則遣軍卒十輩造嵩家,脅償金。嵩置酒款之,而好語曰:「所恵金十万,実無之,僅得半耳,而又半費,請以二万金償。」因尽以上所賜金有印識者予之,既去而聞於郡曰:「有江盗劫吾家二万金去矣,速掩之,可獲也。」郡発卒追得金,悉捕軍卒下獄論死。

書き下し

伊庶人、王為りし時、残暴を以て歴々台使者に糾さる。迫らるれば則ち十万余金を嵩に行い、小しく緩むるを得たり。嵩の敗れて家居するに及び、則ち軍卒十輩を遣わして嵩の家に造らしめ、金を償うを脅す。嵩、酒を置きてこれを款し、好語して曰く、「恵む所の金十万、実はこれ無し。僅かに半ばを得たるのみにして、又半ばは費せり。請う、二万金を以て償わん」と。因りて尽く上の賜う所の金の印識有る者を以てこれに予う。既に去るや郡に聞して曰く、「江盗有りて吾が家の二万金を劫して去れり。速やかにこれを掩えよ、獲べきなり」と。郡、卒を発して追い、金を得、悉く軍卒を捕えて獄に下し、死を論ず。

現代語訳

伊王(庶人に落とされた人)は、王であったとき、残虐な行いのために、たびたび監察の使者に弾劾された。追い詰められると、十万余りの金を厳嵩に贈り、少しばかり事を和らげてもらった。嵩が失脚して家に引きこもるようになると、伊庶人は軍の兵卒十人ほどを嵩の家に遣わし、金を返せと脅した。嵩は酒を用意して彼らをもてなし、やさしく言った。「恵んでいただいた十万金は、実のところありません。半分を受け取っただけで、その半分もすでに使ってしまいました。二万金でお返ししたいと思います」。そして、上(皇帝)から賜った金のうち、官の印のあるものをすべて兵卒に渡した。兵卒が去ると、嵩は郡に訴え出た。「江の盗賊が私の家の二万金を奪って逃げました。すぐ捕らえてください、取り戻せます」。郡は兵を出して追い、金を取り戻し、兵卒たちをことごとく捕らえて獄に入れ、死罪を論じた。

解説

追い詰められた老獪な政治家が、相手の脅しに折れるふりをしながら、渡す金に目印をつけておくという逆手を使っています。しかも、金を渡したあとで「盗まれた」と届け出て、公権力に取り戻させ、脅した側を罰させました。要は、自分の弱みを相手に利用させておいて、その行動が違法になる形を整えたわけです。現代の管理職にとって教訓になるのは、強く出る相手に対して力で張り合うより、手順や記録で相手を不利にする発想です。ただし、この話の厳嵩は、その知恵を悪用した側の人物でもあります。

この章句が説くこと

印識ある金江盗脅し逆手に取る証拠の残し方危機対応

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