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智囊 / 集哲・庾友妻

庾友婦,桓宣武溫弟豁女也。桓誅庾希,將及友,桓女徒跣求進,閽禁不納,女厲聲曰:「是何小人?我伯父門不聽我前!」因突入,號泣請曰:「庾玉台腳短三寸,常因人,當復能作賊不?」宣武笑曰:「婿故自急。」遂原庾友一門。

新字:庾友婦,桓宣武温弟豁女也。桓誅庾希,将及友,桓女徒跣求進,閽禁不納,女厲声曰:「是何小人?我伯父門不聴我前!」因突入,号泣請曰:「庾玉台脚短三寸,常因人,当復能作賊不?」宣武笑曰:「婿故自急。」遂原庾友一門。

書き下し

庾友の婦は、桓宣武(桓温)の弟豁の女である。桓温が庾希を誅し、友にも及ぼうとしたとき、桓の女は裸足で進み入ろうとしたが、門番が禁じて入れなかった。女は声を厲しくして言った、「これは何の小人か。我が伯父の門に、我が前に進むことを許さぬのか。」そこで突き入り、号泣して請うて言った、「庾玉台は脚が短くて三寸、いつも人に頼っています。この上、賊を働けるでしょうか。」宣武は笑って言った、「婿のために自ら急ぐのだな。」ついに庾友の一門を許した。

現代語訳

庾友の妻は、桓温(宣武)の弟桓豁の娘である。桓温が庾希を誅殺し、その累が庾友にも及びそうになったとき、桓氏の娘は裸足で駆けつけて面会を求めたが、門番が止めて通さなかった。娘は声を荒らげて言った。「あなたは何者です。伯父の家の門で、私の通行を許さないというのですか。」そう言って押し入り、泣きながら願い出た。「庾玉台(庾友)は足が三寸も短くて、いつも人に支えられています。そんな人に、また謀反など起こせるでしょうか。」宣武は笑って言った。「婿のためだから、自分から急いだのだな。」こうして庾友の一門を許した。

解説

身内の処罰がかかる場面で、桓氏の娘は理屈を並べず、夫の身体の特徴をあえて笑い話に近い形で出し、反乱の力などないと印象づけました。追及する側の怒りは、真正面から反論するほど固くなることがあります。ここでは、相手が笑ってしまう余地をつくる一言で場の緊張をほぐし、結果として一門が救われました。強硬な上司や取引先を説得するときにも、論理の正しさだけでなく、相手が譲っても面目が立つ出口を用意する工夫が有効です。身内の窮地に気迫と機転で踏み込んだ行動力も見逃せません。ただし、この種の笑いは相手との関係が前提で、通用しない相手もいる点は心得ておくべきです。

この章句が説くこと

跣求進脚短三寸婿故自急説得ユーモア危機対応

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