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智囊 / 集哲・馬皇后・趙威后

高皇帝初造寶鈔,屢不成。夢人告曰:「欲鈔成,須取秀才心肝為之。」覺而思曰:「豈欲我殺士耶?」馬皇后啟曰:「以妾觀之,秀才們所作文章,即心肝也。」上悅,即上本監取進呈文字用之,鈔遂成。

新字:高皇帝初造宝鈔,屡不成。夢人告曰:「欲鈔成,須取秀才心肝為之。」覚而思曰:「豈欲我殺士耶?」馬皇后啓曰:「以妾観之,秀才們所作文章,即心肝也。」上悦,即上本監取進呈文字用之,鈔遂成。

書き下し

高皇帝初めて宝鈔を造るも、屢々成らず。夢に人告げて曰く、「鈔の成らんことを欲せば、須らく秀才の心肝を取りて之を為すべし」と。覚めて思いて曰く、「豈に我が士を殺さんと欲するか」と。馬皇后啓して曰く、「妾を以て之を観るに、秀才らの作る所の文章は、即ち心肝なり」と。上悦び、即ち本監に上りて進呈の文字を取りて之を用い、鈔遂に成る。

現代語訳

高皇帝(明の太祖)が初めて紙幣の宝鈔を作ろうとしたが、何度やってもうまくいかなかった。夢で人が告げた。「鈔を完成させたければ、秀才の心臓と肝を取って作らねばならない」。目が覚めて、「私に学者を殺せというのか」と思案した。馬皇后が申し上げた。「私から見れば、秀才たちが書いた文章こそが心肝でございます」。皇帝は喜び、すぐに国子監に命じて提出された文章を取り寄せて用い、紙幣はついに完成した。

解説

この話は、恐ろしい言葉を文字どおりに受け取らず、本質を言い換えて正解に導いた皇后の機転を伝えています。夢のお告げは、殺人という最悪の解釈に傾きかねないものでした。馬皇后は、秀才にとっての心肝は文章だと読み替え、誰も傷つけずに目的を達する道を示しています。危機対応では、指示や条件を字面でなく意図から読み直す柔軟さが役に立ちます。上司が極端な方向に傾いたとき、反対ではなく別の解釈を差し出すと、相手は面目を失わずに進路を変えられます。管理職は、部下のこうした言い換えの工夫を支え、自分でも使えるようにしておくとよいでしょう。

この章句が説くこと

秀才心肝文章即心肝馬皇后機転言葉の力危機対応

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