智囊 / 制勝・李牧
〔評〕厚其遇,故其報重;蓄其氣,故氣發猛。故名將用死士之力,往往一試而不再、亦一試而不必再也!今之所謂兵者,除一二家丁外,率丐而甲,尪而立者耳。嗚呼!尪也,丐也,又多乎哉!
新字:〔評〕厚其遇,故其報重;蓄其気,故気発猛。故名将用死士之力,往往一試而不再、亦一試而不必再也!今之所謂兵者,除一二家丁外,率丐而甲,尪而立者耳。嗚呼!尪也,丐也,又多乎哉!
書き下し
〔評〕その遇を厚くす、故にその報は重し。その気を蓄う、故に気の発することは猛し。故に名将が死士の力を用うるは、往々にして一たび試みて再びせず、また一たび試みて必ずしも再びせざるなり。今の所謂兵とは、一二の家丁を除くほか、率ね丐にして甲し、尪にして立つ者のみ。ああ、尪なる者、丐なる者、また多からんや。
現代語訳
〔評〕待遇を厚くするから、その報いも重い。気力を蓄えるから、その気力が発するときは猛烈である。だから名将が決死の兵の力を用いるのは、しばしば一度試みて再びせず、また一度試みても再びするとは限らないのである。今のいわゆる兵は、一、二の家丁を除けば、おおむね乞食が鎧を着たようなもので、病み衰えて立っている者ばかりである。ああ、病み衰えた者、乞食同然の者が、ここまで多くなろうとは。
解説
馮夢龍の評は、李牧の大勝の理由を、兵の待遇を厚くして気力を蓄え、その力を一気に解き放ったところに見ています。名将が決死の兵を使う機会は、そう何度もあるものではない、という示唆です。続けて、当時の兵が乞食のような状態で、鎧だけを着ている実態を嘆いています。現代の管理職も、普段の待遇と育成が貧弱なまま、成果の場面だけ頑張りを求めても組織は応じない、という読みができます。十分に蓄えた力を、ここぞの場面で出す戦い方の重要性を示す、短い評です。
この章句が説くこと
厚其遇蓄其気死士尪而立者組織人材育成
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