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智囊 / 辯才・陸賈・齊地王先生

建乃求見孝惠倖臣閎孺,說之曰:「君所以得倖帝,天下莫不聞;今辟陽侯下吏,道路皆言君讒欲殺之,今日辟陽侯誅,旦日太后含怒,亦誅君,君何不肉袒,為辟陽侯言於帝?帝聽,出辟陽侯,太后大歡,兩主俱幸,君之富貴益倍矣。」於是閎孺大恐,從其計,言帝,帝果出辟陽侯。辟陽侯始以建為背己,大怒,及其出之,乃大驚。呂太后崩,大臣誅諸呂。辟陽侯於諸呂至深,而卒免於誅,皆陸生、平原君之計畫也。〔評〕不但陸賈,朱建智,辟陽侯亦智。

新字:建乃求見孝恵倖臣閎孺,説之曰:「君所以得倖帝,天下莫不聞;今辟陽侯下吏,道路皆言君讒欲殺之,今日辟陽侯誅,旦日太后含怒,亦誅君,君何不肉袒,為辟陽侯言於帝?帝聴,出辟陽侯,太后大歓,両主倶幸,君之富貴益倍矣。」於是閎孺大恐,従其計,言帝,帝果出辟陽侯。辟陽侯始以建為背己,大怒,及其出之,乃大驚。呂太后崩,大臣誅諸呂。辟陽侯於諸呂至深,而卒免於誅,皆陸生、平原君之計画也。〔評〕不但陸賈,朱建智,辟陽侯亦智。

書き下し

建乃ち孝恵の倖臣閎孺に見えんことを求め、之に説きて曰く、「君の倖を帝に得る所以は、天下聞かざる莫し。今、辟陽侯吏に下り、道路皆言う、君、讒して之を殺さんと欲すと。今日辟陽侯誅せられば、旦日、太后怒りを含み、亦た君を誅せん。君何ぞ肉袒して、辟陽侯の為に帝に言わざる。帝聴きて辟陽侯を出さば、太后大いに歓び、両主倶に幸し、君の富貴益ます倍せん」。是に於いて閎孺大いに恐れ、其の計に従い、帝に言う。帝果たして辟陽侯を出す。辟陽侯、始め建を以て己に背くと為し、大いに怒る。其の出ずるに及び、乃ち大いに驚く。呂太后崩じ、大臣諸呂を誅す。辟陽侯、諸呂に於いて至って深けれども、卒に誅を免る。皆、陸生・平原君の計画なり。〔評〕独り陸賈・朱建の智のみならず、辟陽侯も亦た智なり。

現代語訳

朱建はそこで、恵帝の寵臣の閎孺に会いたいと求めて説きました。「あなたが帝の寵愛を得ている理由は、天下に知れ渡っています。いま辟陽侯が役人に下り、世間ではあなたが讒言して彼を殺そうとしているのだと噂しています。今日辟陽侯が処刑されれば、明日には太后が怒りを抱いて、あなたも処刑するでしょう。あなたは肩を脱いで謝罪の姿で、辟陽侯のために帝に言上したらどうですか。帝が聞き入れて辟陽侯を釈放すれば、太后は大いに喜び、二人の主君にともに寵愛されて、あなたの富貴はいっそう倍になります。」閎孺はそこで大いに恐れ、その計に従って帝に申し上げました。帝は果たして辟陽侯を釈放しました。辟陽侯は最初、朱建が自分に背いたと思って大いに怒っていましたが、釈放されると大いに驚きました。呂太后が亡くなり、大臣たちが呂氏一族を誅殺しました。辟陽侯は呂氏と深い関係にありましたが、ついに処刑を免れました。すべて陸賈と平原君の計略によるものでした。〔評〕陸賈と朱建が智者であるだけでなく、辟陽侯もまた智者である。

解説

朱建は、辟陽侯からの直接の依頼には断りながら、実は黒幕に近い閎孺を説いて動かす別ルートを選びました。閎孺に頼んだのは情ではなく、辟陽侯が処刑されると太后が怒り、閎孺自身が危うくなるという利害の説明です。人を動かす際、頼まれた当人がしがらみで動けないなら、動ける別の人を探し、その人にとっての利益を示すのが賢い方法です。馮夢龍は朱建と陸賈だけでなく、恩を受け止めた辟陽侯も智だと評しています。他人の善意を素直に受け、後で報いる度量も、人間関係の智と見ています。管理職には、直接動かない問題を別の経路から解く発想が参考になります。

この章句が説くこと

肉袒旦日太后含怒両主倶幸人脈間接説得利害

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