導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

智囊 / 靈變・張佳胤

公又曰:「帑金易辨識,亦非爾利,邑中多富民,願如數貸之。既不累吾官,爾亦安枕。」二賊益善公計。公屬章傳語召吏劉相來。相者,心計人也。相至。公謬語曰:「吾不幸遭意外事。若逮去。死無日矣,今錦衣公有大氣力。能免我,心甚德之。吾欲具五千金為壽。」相吐舌曰:「安得辦此?」公躡相足曰:「每見此邑人富而好義。吾令汝為貸。」遂取紙筆書某上戶若干、某中戶若干,共九人,符五千金數。九人,素善捕盜者,公又語相曰:「天使在,九人者宜盛服謁見,勿以貸故作窶人狀。」相會意而出,公取酒食酬酢,而先飲啖以示不疑。且戒二賊勿多飲,賊益信之。酒半,曩所招九人各鮮衣為富客,以紙裹鐵器,手捧之,陸續門外,謬云:「貸金已至,但貧不能如數。」作哀祈狀,二賊聞金至,且睹來者豪狀,不復致疑。

新字:公又曰:「帑金易弁識,亦非爾利,邑中多富民,願如数貸之。既不累吾官,爾亦安枕。」二賊益善公計。公属章伝語召吏劉相来。相者,心計人也。相至。公謬語曰:「吾不幸遭意外事。若逮去。死無日矣,今錦衣公有大気力。能免我,心甚徳之。吾欲具五千金為寿。」相吐舌曰:「安得辦此?」公躡相足曰:「毎見此邑人富而好義。吾令汝為貸。」遂取紙筆書某上戸若干、某中戸若干,共九人,符五千金数。九人,素善捕盗者,公又語相曰:「天使在,九人者宜盛服謁見,勿以貸故作窶人状。」相会意而出,公取酒食酬酢,而先飲啖以示不疑。且戒二賊勿多飲,賊益信之。酒半,曩所招九人各鮮衣為富客,以紙裹鉄器,手捧之,陸続門外,謬云:「貸金已至,但貧不能如数。」作哀祈状,二賊聞金至,且睹来者豪状,不復致疑。

書き下し

公は又た曰く、「帑金は辨識し易く、亦た爾の利に非ず。邑中には富民多し、願わくは数の如くこれを貸さん。既に吾が官を累わさず、爾も亦た枕を安んぜん」と。二賊は益々公の計を善とす。公は章に属して語を伝え、吏の劉相を召さしむ。相とは、心計の人なり。相至る。公は謬りて語りて曰く、「吾は不幸にして意外の事に遭う。若し逮去せられなば、死すること日無からん。今、錦衣公に大いなる気力有り、能く我を免れしめば、心に甚だ之を徳とせん。吾は五千金を具えて寿と為さんと欲す」と。相は舌を吐きて曰く、「安んぞ此を辨ずるを得ん」と。公は相の足を躡みて曰く、「每に見る、此の邑の人は富みて義を好む。吾は汝をして為に貸さしむ」と。遂に紙筆を取りて、某上戸若干、某中戸若干と書し、共に九人、五千金の数に符す。九人とは、素より捕盗に善き者なり。公は又た相に語りて曰く、「天使在す。九人の者は宜しく盛服して謁見すべし。貸すを以ての故に窶人の状を作す勿れ」と。相は意を会して出づ。公は酒食を取りて酬酢し、先に飲啖して以て疑わざるを示す。且つ二賊に多く飲む勿れと戒む。賊は益々これを信ず。酒半ばにして、曩に招く所の九人は各々鮮衣して富客と為り、紙を以て鉄器を裹み、手にこれを捧げ、陸続として門外に至り、謬りて云う、「貸金已に至れり、但だ貧にして数の如くする能わず」と。哀祈の状を作す。二賊は金の至るを聞き、且つ来る者の豪状を睹て、復た疑いを致さず。

現代語訳

公はまた言った。「官庫の金は見分けがつきやすく、あなた方にも不利だ。県内には金持ちが多い。数に合わせて彼らに貸させよう。私の官職に累が及ばず、あなた方も安心して眠れる」。二人の賊はますますこの計を良しとした。公は章に言いつけて、吏の劉相を呼ばせた。相は知恵の回る男だった。相が来ると、公はうそをついて言った。「私は不幸にも思いがけない事件に遭った。もし逮捕されて連れて行かれたら、死ぬのは時間の問題だ。今、錦衣衛の方がたいへん力をお持ちで、私を免れさせてくれるなら、心から感謝する。私は五千金を出して謝礼にしたい」。相は舌を出して言った。「そんな金をどうして用意できましょう」。公は相の足を踏んで言った。「いつも見ているが、この県の人は富んでいて義を重んじる。お前に頼んで金を借りてきてほしい」。そして紙と筆を取り、某の上戸いくら、某の中戸いくらと書いた。合わせて九人、五千金の数に合う。この九人は、普段から盗賊の捕縛に長けた者たちだった。公はまた相に言った。「天使がおいでだ。九人は立派な服を着て謁見するように。貸すからといって貧乏人のふりをしてはならぬ」。相は意味を悟って出て行った。公は酒食を出して賊をもてなし、先に自分が飲み食いして疑っていないことを見せた。そして二人の賊に酒を飲み過ぎないように言った。賊はますます信用した。酒がなかばになると、先ほど招いた九人は、それぞれ立派な服で金持ちの客に化け、紙で鉄の道具を包んで手に捧げ、次々と門の外に着いて、うそを言った。「貸す金が届きました。ただ、貧しくて数通りにはなりません」。哀れに願うふりをした。二人の賊は金が来たと聞き、また来た者たちの豪勢な様子を見て、もう疑わなかった。

解説

張佳胤が、部下の劉相に偽りの話を聞かせるとき、足を踏んで合図を送る細部が効いています。賊の前では本当の頼みごとに聞こえ、劉相にだけ真意が伝わる、二重の意味を持つ指示でした。さらに、実は捕盗に慣れた九人を金持ちに仮装させて呼び入れ、鉄の道具を金に見せかけて、賊の疑いをなくしています。ここで学べるのは、危機の場面で、表向きの筋書きと本当の目的を分けて設計することです。部下には、必要な情報だけを短い合図で渡し、全体を一人の頭の中で統括する力が、危機対応のリーダーに求められます。

この章句が説くこと

躡相足九人鮮衣危機対応指示二重の筋書き

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る