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智囊 / 剖疑・蔡京・曹克明

蔡京在洛。有某氏嫁兩家,各有子;後二子皆顯達,爭迎養其母,成訟。執政不能決,持以白京。京曰:「何難?第問母所欲。」遂一言而定。克明有智略,真宗朝累功,官融、桂等十州都巡檢。既至,蠻酋來獻藥一器,曰:「此藥凡中箭者傅之,創立愈。」克明曰:「何以驗之?」曰:「請試雞犬。」克明曰:「當試以人。」取箭刺酋股而傅以藥,酋立死,群酋慚懼而去。

新字:蔡京在洛。有某氏嫁両家,各有子;後二子皆顕達,争迎養其母,成訟。執政不能決,持以白京。京曰:「何難?第問母所欲。」遂一言而定。克明有智略,真宗朝累功,官融、桂等十州都巡検。既至,蠻酋来献薬一器,曰:「此薬凡中箭者傅之,創立愈。」克明曰:「何以験之?」曰:「請試鶏犬。」克明曰:「当試以人。」取箭刺酋股而傅以薬,酋立死,群酋慚懼而去。

書き下し

蔡京、洛に在り。某氏の両家に嫁ぎ、各おの子有る者有り。後に二子、皆な顕達し、争いて其の母を迎養せんとし、訟と成る。執政、決する能わず、持して以て京に白す。京曰く、「何ぞ難からん。第だ母の欲する所を問えば足る」と。遂に一言にして定まる。曹克明は智略有り、真宗の朝に累功あり、融、桂等十州の都巡検に官たり。既に至るに、蛮酋、薬一器を献じて曰く、「此の薬は凡そ箭に中たる者に傅くれば、創、立ちどころに愈ゆ」と。克明曰く、「何を以て之を験せん」と。曰く、「請う、鶏犬に試みん」と。克明曰く、「当に人に試むべし」と。箭を取りて酋の股に刺し、薬を傅くれば、酋、立ちどころに死す。群酋、慚懼して去る。

現代語訳

蔡京が洛陽にいたとき、ある女性が二つの家に嫁ぎ、それぞれに子をもうけていた。のちに二人の子はどちらも出世し、自分の母を引き取ろうと争って、訴訟になった。執政も決められず、その案件を蔡京に持ち込んだ。蔡京は言った。「何が難しいものか。ただ母上が望むところを尋ねれば足りる」。こうして一言で決着した。曹克明は知略があり、真宗の朝に功績を重ね、融州・桂州など十州の都巡検の官にあった。着任すると、蛮族の酋長が薬を一器献上して言った。「この薬は、矢に当たった者に塗れば、傷はたちどころに治ります」。克明は言った。「どうやって効き目を確かめるか」。酋長は「鶏や犬で試してください」と答えた。克明は「人で試すべきだ」と言った。矢を取って酋長の股に刺し、薬を塗ると、酋長はたちどころに死んだ。ほかの酋長たちは恥じ恐れて去った。

解説

二つの話は、争いの当事者の都合ではなく、当事者の意思や実際の結果を確かめるという点で共通します。蔡京は、二つの家の子が争う母の扱いを、母の希望という本人の意志に委ねて決着させました。曹克明は、毒薬の疑いのある献上品を、献上した本人で試して陰謀を砕きました。管理職が揉め事を裁く場面では、争う側の主張の応酬に巻き込まれず、当事者の意思を直接聞くこと、また提案の安全性を差し出した側に検証させることが、簡明で強い解決になります。薬の話は、相手の善意を装った罠を見抜く警戒の例です。

この章句が説くこと

問母所欲一言而定試以人蛮酋当事者検証

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