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智囊 / 遠猶・呂端

仁宗時,大內災,宮室略盡。比曉,朝者盡至;日晏,宮門不啟,不得聞上起居。兩府請入對,不報。久之,上御拱宸門樓,有司贊謁,百官盡拜樓下。呂文靖〔馮注:端〕獨立不動,上使人問其意,對曰:「宮庭有變,群臣願一望天顏。」上為舉簾俯檻見之,乃拜。

新字:仁宗時,大内災,宮室略尽。比暁,朝者尽至;日晏,宮門不啓,不得聞上起居。両府請入対,不報。久之,上御拱宸門楼,有司賛謁,百官尽拝楼下。呂文靖〔馮注:端〕独立不動,上使人問其意,対曰:「宮庭有変,群臣願一望天顔。」上為舉簾俯檻見之,乃拝。

書き下し

仁宗の時、大内災あり、宮室略ぼ尽く。暁に比び、朝する者尽く至る。日晏れて、宮門啓かず、上の起居を聞くを得ず。両府入対を請うも、報いず。久しくして、上は拱宸門楼に御し、有司は謁を賛し、百官尽く楼下に拝す。呂文靖〔馮注、端〕独り立ちて動かず、上は人をして其の意を問わしむ。対えて曰く、「宮庭に変有り、群臣は一たび天顔を望まんことを願う」と。上は為に簾を挙げ檻に俯して之を見せ、乃ち拝す。

現代語訳

仁宗の時代、宮中に火災が起こり、宮殿はほとんど焼け落ちた。夜明けになって、朝廷に出仕する者が皆集まったが、日が高くなっても宮門は開かず、陛下のご様子を知ることができなかった。両府(宰相・枢密院)は謁見を願い出たが、返事はなかった。しばらくして、皇帝は拱宸門の楼にお出ましになり、役人が拝謁を告げ、百官はすべて楼の下で拝礼した。呂文靖〔馮夢龍の注、呂端〕だけは立ったまま動かなかった。皇帝は人をやってその意図を問わせた。呂は答えた。「宮中に異変があり、臣下たちは一目、陛下のお顔を拝見したいと願っております」。皇帝はそのために簾を上げ、欄干に身を乗り出して姿を見せた。そこで初めて拝礼した。

解説

災害直後の混乱で、皇帝の無事を確かめたい思いは皆に共通していましたが、儀礼の拝礼に従えば安否が確認できません。呂端はあえて一人だけ拝礼せずに立ち、理由を述べて、顔を見せてもらうという実質を得ました。形式に従うべき時と、目的のために形式を外す時を見分けた判断です。危機のとき、組織は手順どおりに動きがちですが、本当に確認すべきことは何かを問い直す人が必要です。現代の管理職も、規則に沿うことと目的を果たすことが食い違う場面では、勇気をもって筋の通った問いを発するべきです。

この章句が説くこと

独立不動望天顔安否確認形式と実質危機対応胆力

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