智囊 / 見大・魯宗道
宋魯宗道,字貫夫,亳州人。為諭德日,真宗嘗有所召,使者及門,宗道不在。移時,乃自仁和肆飲歸。中使先入白,約曰:「上若怪公來遲,當托何事以對?」宗道曰:「但以實告。」曰:「然則當得罪。」宗道曰:「飲酒,人之常情;欺君,臣子之大罪。」中使如公對。真宗問公:「何故私入酒家?」公謝曰:「臣家貧,無器皿,酒肆具備。適有鄉親遠來,遂邀之飲。然臣既易服,市人亦無識臣者。」真宗笑曰:「卿為宮臣,恐為御史所彈。」然自此奇公,以為真實可大用。
新字:宋魯宗道,字貫夫,亳州人。為諭徳日,真宗嘗有所召,使者及門,宗道不在。移時,乃自仁和肆飲帰。中使先入白,約曰:「上若怪公来遅,当托何事以対?」宗道曰:「但以実告。」曰:「然則当得罪。」宗道曰:「飲酒,人之常情;欺君,臣子之大罪。」中使如公対。真宗問公:「何故私入酒家?」公謝曰:「臣家貧,無器皿,酒肆具備。適有郷親遠来,遂邀之飲。然臣既易服,市人亦無識臣者。」真宗笑曰:「卿為宮臣,恐為御史所弾。」然自此奇公,以為真実可大用。
書き下し
宋の魯宗道、字は貫夫、亳州の人なり。諭徳たりし日、真宗、嘗て召す所有り。使者門に及ぶも、宗道在らず。時を移して、乃ち仁和肆より飲みて帰る。中使、先に入りて白し、約して曰く、「上、若し公の来たること遅きを怪しまば、当に何事に托して以て対うべきか」と。宗道曰く、「但だ実を以て告げよ」と。曰く、「然らば則ち当に罪を得べし」と。宗道曰く、「酒を飲むは、人の常情なり。君を欺くは、臣子の大罪なり」と。中使は公の対えのごとくす。真宗、公に問う、「何の故に私かに酒家に入るや」と。公、謝して曰く、「臣、家貧しく、器皿無し。酒肆は具備す。適たま郷親の遠来する有り、遂に邀えてこれに飲ましむ。然れども臣は既に服を易えたれば、市人も亦た臣を識る者無し」と。真宗笑いて曰く、「卿は宮臣たり。恐らくは御史の弾ずる所と為らん」と。然れども此れより公を奇とし、以て真実にして大用すべしと為す。
現代語訳
宋の魯宗道は、字を貫夫といい、亳州の人です。東宮の諭徳であったころ、真宗がある日、彼を召し出そうとしました。使者が門に着いても、宗道はいません。しばらくして、仁和という居酒屋で飲んでから帰ってきました。宦官が先に入って報告しようとし、宗道と打ち合わせて言いました。「陛下がもし、公の到着が遅いのを不審に思われたら、何を口実にお答えしましょうか。」宗道は言いました。「ただ本当のことを告げなさい。」宦官は言いました。「それでは罰を受けますよ。」宗道は言いました。「酒を飲むのは人の常です。主君を欺くのは臣下として大罪です。」宦官は公の言ったとおりに報告しました。真宗は宗道に尋ねました。「どうして私的に居酒屋に入ったのか。」宗道は謝罪して言いました。「私の家は貧しく、器もありません。居酒屋なら道具がそろっています。ちょうど故郷の親戚が遠くから来たので、招いて飲ませました。ただし私は着物を替えて行ったので、市の人々も私だとは気づきませんでした。」真宗は笑って言いました。「卿は東宮の臣である。御史に弾劾されるかもしれないぞ。」しかしこのことから、皇帝は宗道を非凡な人物と見て、まことに誠実で大任に用いられるべき者だと考えました。
解説
この章句が説くこと
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