武士訓 / 卷四・第11段
かゝるものゝよりあひは。人をそしり。我をほこり。米錢の沙汰。好色の戲謔。博奕。大酒。小歌。三線。高聲多言にして。おどりくるふこと。ひとえに奴僕にひとし。此たぐひのあそびときかばゆくべからず。たとひゆきかゝりたりとも。外の事に託して。しりぞくべし。あいさつにかゝはりて。滯坐する事なかれ。
新字:かゝるものゝよりあひは。人をそしり。我をほこり。米銭の沙汰。好色の戯謔。博奕。大酒。小歌。三線。高声多言にして。おどりくるふこと。ひとえに奴僕にひとし。此たぐひのあそびときかばゆくべからず。たとひゆきかゝりたりとも。外の事に託して。しりぞくべし。あいさつにかゝはりて。滞坐する事なかれ。
書き下し
かゝるものゝよりあひは。人をそしり。我をほこり。米錢の沙汰。好色の戲謔。博奕。大酒。小歌。三線。高聲多言にして。おどりくるふこと。ひとえに奴僕にひとし。此たぐひのあそびときかばゆくべからず。たとひゆきかゝりたりとも。外の事に託して。しりぞくべし。あいさつにかゝはりて。滯坐する事なかれ。
現代語訳
こうした者たちの寄り合いは、人をそしり、自分を誇り、米や銭の話、色事の冗談、博打、大酒、小唄、三味線、大声でおしゃべりして踊り狂うことなど、ひたすら下男と同じである。この類の遊びだと聞いたら、行ってはならない。たとえ行きかかっていたとしても、ほかの用事にかこつけて退くべきである。挨拶にかかわって、長居してはならない。
解説
前段の悪い交わりを、具体的な場面で挙げた段です。人の悪口、自慢、金の話、色事の冗談、博打、大酒、大声での騒ぎを並べ、下男と同じだと言い切ります。この言い方は身分の上下を前提にしており、いまの感覚でそのまま使うことはできません。ただ、避け方の実際的な知恵は参考になります。行ってしまってからでも、ほかの用事に託して退き、挨拶に引きずられて長居するなと言います。悪口と自慢が中心の席に、断り切れず長居した経験は、いまの職場にもあるでしょう。上手な退き方をあらかじめ決めておくことも、自分を守る備えになります。
この章句が説くこと
悪所付き合い悪口大酒辞する武士訓
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