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武教講録 / 子孫敎戒・女学校の構想と学びの場づくり

女子の敎戒に付別に一策あり、是は國政上の事なれば容易に論ずべきに非れ共、事の因みに玆に附錄す、國中に於て一箇の尼房の如き者を起し、(僧尼令に、僧房に婦女を停め、尼房に男夫を停むる者は罪科あり、此意を用るを善法とす、)女學校と號し、(曾て宋通鑑を閲せしに、孝宗淳熙十五年に當り、金國建女大學ると、ありと覺ゆ、今其詳を遺る、他日更に是を攷ふべし、)士大夫の寡婦、年齡四五十以上にて貞節素顯れ學問に通じ女工を能する者數名を選擧し、女學校の師長となし學校中に寄宿せしめ、扨士大夫の女子、八歲若くは十歲以上の者は日々學校に出だし、願に因ては寄宿も許し、專ら手習學問女功の事を練熟せしむべし、敎法極て嚴整を要す、曹大家の女誡に、女子の敎學なきを嘆じて、禮、八歲始敎之書、十五而至於學矣、獨不可依此以爲則哉と云へり、先づ吾心を獲ると云べし、且又此女學校を起す時は、漢書に云如く、婦人同巷相從、夜績婦女一月得四十五日必相從者、所以省費燎火、同巧拙而合習俗也、

新字:女子の教戒に付別に一策あり、是は国政上の事なれば容易に論ずべきに非れ共、事の因みに玆に附録す、国中に於て一箇の尼房の如き者を起し、(僧尼令に、僧房に婦女を停め、尼房に男夫を停むる者は罪科あり、此意を用るを善法とす、)女学校と号し、(曽て宋通鑑を閲せしに、孝宗淳熙十五年に当り、金国建女大学ると、ありと覚ゆ、今其詳を遺る、他日更に是を攷ふべし、)士大夫の寡婦、年齢四五十以上にて貞節素顕れ学問に通じ女工を能する者数名を選挙し、女学校の師長となし学校中に寄宿せしめ、扨士大夫の女子、八歳若くは十歳以上の者は日々学校に出だし、願に因ては寄宿も許し、専ら手習学問女功の事を練熟せしむべし、教法極て厳整を要す、曹大家の女誡に、女子の教学なきを嘆じて、礼、八歳始教之書、十五而至於学矣、独不可依此以為則哉と云へり、先づ吾心を獲ると云べし、且又此女学校を起す時は、漢書に云如く、婦人同巷相従、夜績婦女一月得四十五日必相従者、所以省費燎火、同巧拙而合習俗也、

書き下し

女子の敎戒に付別に一策あり、是は國政上の事なれば容易に論ずべきに非れ共、事の因みに玆に附錄す、國中に於て一箇の尼房の如き者を起し、(僧尼令に、僧房に婦女を停め、尼房に男夫を停むる者は罪科あり、此意を用るを善法とす、)女學校と號し、(曾て宋通鑑を閲せしに、孝宗淳熙十五年に當り、金國建女大學ると、ありと覺ゆ、今其詳を遺る、他日更に是を攷ふべし、)士大夫の寡婦、年齡四五十以上にて貞節素顯れ學問に通じ女工を能する者數名を選擧し、女學校の師長となし學校中に寄宿せしめ、扨士大夫の女子、八歲若くは十歲以上の者は日々學校に出だし、願に因ては寄宿も許し、專ら手習學問女功の事を練熟せしむべし、敎法極て嚴整を要す、曹大家の女誡に、女子の敎學なきを嘆じて、禮、八歲始敎之書、十五而至於學矣、獨不可依此以爲則哉と云へり、先づ吾心を獲ると云べし、且又此女學校を起す時は、漢書に云如く、婦人同巷相從、夜績婦女一月得四十五日必相從者、所以省費燎火、同巧拙而合習俗也、

現代語訳

女子の教戒について別に一策があります。これは国政上のことなので、容易に論じるべきではありませんが、事のついでにここに付録します。国中に尼房のようなものを一つ起こし(僧尼令に、僧房に婦女を泊め、尼房に男子を泊める者は罪科があるとある。この意を用いるのがよい方法である)、女学校と名付け(かつて宋通鑑を見たところ、孝宗の淳熙十五年に当たり、金国が女大学を建てたことがあったと記憶する。今その詳細を忘れた。他日さらに考えたい)、士大夫の寡婦で、年齢四、五十以上、貞節がもとより顕れ、学問に通じ、女の仕事(裁縫・機織り)をよくする者数名を選んで推挙し、女学校の師長として学校内に寄宿させます。そして士大夫の女子で、八歳または十歳以上の者を毎日学校に出し、希望によっては寄宿も許し、もっぱら手習い・学問・女功のことを習熟させるべきです。教え方はきわめて厳しく整える必要があります。曹大家(班昭)の『女誡』に、女子に教学がないことを嘆いて、「礼では、八歳で初めて書を教え、十五歳で学に至る。ひとりこれに従って規範とすることができないであろうか」と言っています。まず私の心を得たものと言えます。かつ、この女学校を起こす時は、『漢書』に言うように、「夜に糸を績ぐ婦女は、一か月に四十五日分の仕事を得る。必ず互いに従うのは、灯火の費用を省き、巧拙を同じにし、習俗を合わせるためである」という、

解説

女子のための学校を設け、経験と学識のある年長者を師長に据え、幼い時から学問と技能を体系的に学ばせるという構想です。当時としては教育の機会を広げる提案でした。現代の組織では、研修の場を計画的に設け、経験豊富な先輩をメンターに据え、新人が基礎から習熟できる環境を整えることに通じます。共に学ぶことで費用が省け、技量の差が縮まり、組織の習慣がそろうという利点も、チーム育成の実務に応用できます。

この章句が説くこと

武教講録吉田松陰子孫教戒学びの場メンター教育機会

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