導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

武家小学 / 幼少期の習い

一凡幼稚の間は氣の稟る處唯天然にして生のまゝ成ゆゑ。善惡を辨る事あたはず。心にいまだ主とする所なく。物に移り染易く。其習ふ事は日々月々成長するに隨て知惠增善惡の兆所なれば甚愼べし。惣じて最初心に見馴聞習ふ事はよく覺へ染て。終に其身の得手と成て一生涯ぬけざるものなれば戒愼べし。都て男女とも幼稚の時より戒なく氣まゝに育れば長と成て驕り惰て家業を愼まず。又敎なき時は癖功者付て物事を意にすまし父母の命を背きて己が意の儘の働を爲べし。されば他の諫言は猶更聞用る事なきゆゑ天地の道理に背て。終に天下の廢人と成べし。子を愛して敎ざるをば。子を驕らする不慈の父といへり。

新字:一凡幼稚の間は気の稟る処唯天然にして生のまゝ成ゆゑ。善悪を弁る事あたはず。心にいまだ主とする所なく。物に移り染易く。其習ふ事は日々月々成長するに随て知恵增善悪の兆所なれば甚慎べし。惣じて最初心に見馴聞習ふ事はよく覚へ染て。終に其身の得手と成て一生涯ぬけざるものなれば戒慎べし。都て男女とも幼稚の時より戒なく気まゝに育れば長と成て驕り惰て家業を慎まず。又教なき時は癖功者付て物事を意にすまし父母の命を背きて己が意の儘の働を為べし。されば他の諫言は猶更聞用る事なきゆゑ天地の道理に背て。終に天下の廃人と成べし。子を愛して教ざるをば。子を驕らする不慈の父といへり。

書き下し

一凡幼稚の間は氣の稟る處唯天然にして生のまゝ成ゆゑ。善惡を辨る事あたはず。心にいまだ主とする所なく。物に移り染易く。其習ふ事は日々月々成長するに隨て知惠增善惡の兆所なれば甚愼べし。惣じて最初心に見馴聞習ふ事はよく覺へ染て。終に其身の得手と成て一生涯ぬけざるものなれば戒愼べし。都て男女とも幼稚の時より戒なく氣まゝに育れば長と成て驕り惰て家業を愼まず。又敎なき時は癖功者付て物事を意にすまし父母の命を背きて己が意の儘の働を爲べし。されば他の諫言は猶更聞用る事なきゆゑ天地の道理に背て。終に天下の廢人と成べし。子を愛して敎ざるをば。子を驕らする不慈の父といへり。

現代語訳

一、およそ幼いうちは、気の受けるところがただ天然のままで生まれたままなので、善悪を弁えることができません。心にはまだ主とするものがなく、物に移り染まりやすいのです。そこで習うことは、日々月々、成長するにつれて知恵が増し、善悪の兆しが現れるところですから、たいへん慎むべきです。総じて最初に心に見慣れ聞き習ったことはよく覚えて染み、ついにはその身の得意となって、一生涯抜けないものですから、戒め慎むべきです。すべて男女とも幼いうちから戒めがなく、気ままに育てると、成長して驕り、怠けて家業を慎みません。また教えがないときは、悪賢くなって物事を思いのままに済ませ、父母の命に背いて自分の意のままに行動します。そうなると他人の諫言はなおさら聞き入れず、天地の道理に背いて、ついに天下の廃人となるでしょう。子を愛して教えないのは、子を驕らせる、慈愛のない父というべきです。

解説

幼い間は生まれたままの気で善悪を弁えられず、物に染まりやすいため、最初に見慣れ聞き習うことが一生抜けない得意となると説きます。戒めなく気ままに育てると、驕り怠けて家業を慎まず、父母の命にも他人の諫言にも従わない廃人になるので、子を愛して教えないのは慈愛のない父だとしています。上に立つ者は、入社初期の指導や環境づくりに力を入れ、善い習慣と基準を最初に示すことが重要です。

この章句が説くこと

幼稚習慣染まりやすさ初期教育諫言慈愛

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円本を見る