武家家訓集 / 朝倉敏景十七箇条第七条
一侍之役なるとて、伊達白川へ使者を立、能馬鷹など被求間敷候、自然他所より到來は各別に候、それも三箇年過ば、他家へ可被遣、長持すれば必後悔出來候事、
新字:一侍之役なるとて、伊達白川へ使者を立、能馬鷹など被求間敷候、自然他所より到来は各別に候、それも三箇年過ば、他家へ可被遣、長持すれば必後悔出来候事、
書き下し
一、侍の役なるとて、伊達白川へ使者を立て、能き馬鷹など求められまじく候。自然他所より到來は各別に候。それも三箇年過ぎば、他家へ遣はさるべし。長持ちすれば必ず後悔出來候事、
現代語訳
侍の役目だからといって、伊達や白河へ使者を立て、よい馬や鷹などを求めてはならない。たまたま他所から届いた場合は別である。それも三年が過ぎたら、他家へ贈るのがよい。長く持っていると、必ず後悔することになる。
解説
第七条は、名馬や鷹を遠方の伊達や白河まで使者を立てて買い求めることを戒めます。侍の嗜みという口実で凝った持ち物を集めることを、第四条の名刀と同じく退ける条です。思いがけず他所から贈られた場合は別とされ、それも三年を過ぎたら他家へ遣るようにと、手放す期限まで示しています。長く持てば必ず後悔するという理由は、維持の手間や費用、執着が生まれることを指すのでしょう。現代では、設備やシステム、ブランド品を「らしさ」のために抱え込み、使わないまま維持費がかさむ例が当てはまります。持ち物にも棚卸しの期限を決めておくという示唆があります。
この章句が説くこと
断捨離棚卸し維持費執着名馬武家家訓集
関連する章句
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第四条」一、名作の刀脇指等、さのみ好まるまじく候。其の故は、假令萬疋の太刀刀を持ちたりとも、百疋の鑓百丁には勝れまじく候。然れば萬疋を以て百疋の鑓を百丁求め、百人に持たれ候はば、一方は相防ぐべき事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「追書(条々を守れ)」この条々、大方に思はれては益なく候。入道、一箇牢身にて、不思議に国を取りしより以来、昼夜目を繋がず工夫致し、ある時は諸人の名人を集め、その語るを耳に挟み、今にかくの如くに候。あひかまへて、子孫においてこの条々書を守られ、摩利支天・八幡の御教へと思はれ候はば、軽くも朝倉の名字相続くべく候。末々において我儘に振舞はれ候はば、確かに後悔これ有るべき者也。今川了俊の歌、「子を思ふ親の心のまことあらば諫むる道に迷はざらめや」
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第八条」一、朝倉名字中を初め、年の始の出仕、表着は布子たるべく候。幷びに各同名、定紋を付けさせらるべく候。分限有りとて、衣裳を結構せられ候はば、國の端々の侍、色を好み、ふきつゝきたる所へ、此の體にては出でにくきなどとて、虛病を構へ、一年出でず、二年出仕致さずば、後には朝倉の前に伺公の者少なかるべく候事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第三条」一、天下靜謐たりと雖も、遠近の諸國に目付を置き、常に其の風儀を窺はれるべき事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「追書(役人の私と他国の悪党)」一、諸沙汰在所の時、理非少しも曲げらるまじく候。もし役人わたくしも致し候由聞き及ばれ候はば、同罪に堅く申し付けらるべく候。しよちうつろをぎんみ申し候沙汰致し候へば、他国の悪党出でぬものなり。みだりがはしき所と知られ候へば、他家より手を入るるものにて候。
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第二条」一、代々持ち來り候などとて、無器用の人に、國幷びに奉行職を預けらるまじき事、
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る