武治提要 / 齊家・第4段
器物の品類甚多して、茶具玩器のごときものは、武門に於て貴にたらず。士として貨財をこれに費し嗜ものは、武にくらきがゆゑ也。武門の器物只武器を主要とす。一たびこれを設るといへども、屢改正せざるときは、其用專ならず。其職役を置て、常に其不足を制し、ます〱其利害得失をこゝろみ、其なれるを省て怠るべからず。
新字:器物の品類甚多して、茶具玩器のごときものは、武門に於て貴にたらず。士として貨財をこれに費し嗜ものは、武にくらきがゆゑ也。武門の器物只武器を主要とす。一たびこれを設るといへども、屡改正せざるときは、其用専ならず。其職役を置て、常に其不足を制し、ます〱其利害得失をこゝろみ、其なれるを省て怠るべからず。
書き下し
器物の品類甚多して、茶具玩器のごときものは、武門に於て貴にたらず。士として貨財をこれに費し嗜ものは、武にくらきがゆゑ也。武門の器物只武器を主要とす。一たびこれを設るといへども、屢改正せざるときは、其用專ならず。其職役を置て、常に其不足を制し、ます〱其利害得失をこゝろみ、其なれるを省て怠るべからず。
現代語訳
器物の種類はとても多くありますが、茶道具や珍しい玩び物のようなものは、武門では貴ぶに足りません。士として財貨をこれに費やし、好むのは、武に暗いからです。武門の器物は、ただ武器を主要とします。一度これを設けても、しばしば改め正さなければ、その用は専らになりません。その職役を置いて、つねに不足を整え、いよいよその利害や得失を試み、その慣れたものを省みて、怠ってはなりません。
解説
この段は、茶道具や珍しい玩び物は武門では貴ぶに足りず、財貨をそれに費やす士は武に暗いからだ、と言い切っています。武門の器物は武器が主であり、一度整えても、しばしば改め正して不足を補い、利害や得失を試し続けることが要るとします。これは当時の武門という立場に即した価値観で、趣味や文化を否定する話ではなく、優先順位の話として読むのがよいでしょう。現代の仕事に引き寄せると、本業の道具や設備への投資を後回しにして、副次的な物に資源を使っていないか、という点検になります。慣れた手順を定期的に見直す姿勢も、同じ筋にあります。
この章句が説くこと
器物優先順位武器点検職役武治提要
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