武備小学抄録 / 下人可召仕心得之事・家来の召し連れ方と使い方の心得
一小身にても騎馬の武士は馬の口取二人、矛持一人、具足箱持一人、小荷駄支配一人、惣て五人は戰塲へ召連ざれば不叶也、大身の輩非此限、(但し籠城之節は可爲各別なり)一下賤は心拙なければ、諸事心付恨みざる樣に慈悲の心を專として、子の如く思ひやりて仕ふべき也、一金銀米錢に心得可有、兵法曰、委積不多、則士不行、云云、一食物心得あるべし、一常に外聞實儀といふ習有、一戰塲へ召連し時、上下誓紙賞罰掟之事、一時により、
新字:一小身にても騎馬の武士は馬の口取二人、矛持一人、具足箱持一人、小荷駄支配一人、惣て五人は戦塲へ召連ざれば不叶也、大身の輩非此限、(但し籠城之節は可為各別なり)一下賤は心拙なければ、諸事心付恨みざる様に慈悲の心を専として、子の如く思ひやりて仕ふべき也、一金銀米銭に心得可有、兵法曰、委積不多、則士不行、云云、一食物心得あるべし、一常に外聞実儀といふ習有、一戦塲へ召連し時、上下誓紙賞罰掟之事、一時により、
書き下し
一小身にても騎馬の武士は馬の口取二人、矛持一人、具足箱持一人、小荷駄支配一人、惣て五人は戰塲へ召連ざれば不叶也、大身の輩非此限、(但し籠城之節は可爲各別なり)一下賤は心拙なければ、諸事心付恨みざる樣に慈悲の心を專として、子の如く思ひやりて仕ふべき也、一金銀米錢に心得可有、兵法曰、委積不多、則士不行、云云、一食物心得あるべし、一常に外聞實儀といふ習有、一戰塲へ召連し時、上下誓紙賞罰掟之事、一時により、
現代語訳
一つ、小身でも騎馬の武士は、馬の口取り二人、矛持ち一人、具足箱持ち一人、小荷駄(荷物輸送)の支配一人、合わせて五人は戦場へ召し連れなければなりません。大身の者はこの限りではありません。(ただし籠城のときは別です。)一つ、下賤の者は心が拙いので、諸事に気を配り、恨まれないよう慈悲の心をもっぱらにして、子のように思いやって召し使うべきです。一つ、金銀・米・銭に心得があるべきです。兵法に曰く、「蓄えが多くなければ、士は動かない」と。云々。一つ、食物に心得があるべきです。一つ、常に外聞・実儀という習いがあります。一つ、戦場へ召し連れたときの、上下の誓紙・賞罰の掟のこと。一つ、時により、(次の章句へ続きます)
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
尉繚子・武議夫れ人の父兄を殺し、人の財貨を利とし、人の子女を臣妾とす、此れ皆盗なり。故に兵なる者は、暴乱を誅し、不義を禁ずる所以なり。兵の加はる所の者は、農は其の田業を離れず、賈は其の肆宅を離れず、士大夫は其の官府を離れず、其の武議一人に在るに由る、故に兵刃に血ぬらずして、天下親しむ。万乗は農戦し、千乗は救守し、百乗は事養す。農戦は外に権を索めず、救守は外に助けを索めず、事養は外に資を索めず。夫れ出でては戦ふに足らず、入りては守るに足らざる者は、之を治むるに市を以てす。市なる者は、戦守に給する所以なり。万乗に千乗の助け無くんば、必ず百乗の市有り。凡そ誅する者は、武を明らかにする所以なり。一人を殺して三軍震ふ者は、之を殺す。一人を殺して万人喜ぶ者は、之を殺す。之を殺すは大を貴び、之を賞するは小を貴ぶ。当に殺すべくんば貴重なりと雖も、必ず之を殺す、是れ刑上に究むるなり。賞牛童馬圉に及ぶ者は、是れ賞下に流るるなり。夫れ能く刑上に究め、賞下に流る、此れ将の武なり。故に人主は将を重んず。夫れ将は鼓を提げ枹を揮ひ、難に臨み戦ひを決し、兵を接し刃を角(くら)べ、之を鼓して当たれば、則ち功を賞し名を立つ。之を鼓して当たらざれば、則ち身死し国亡ぶ。是れ興亡安危、応(まさ)に枹端に在り、奈何ぞ将を重んずる無からんや。夫れ鼓を提げ枹を揮ひ、兵を接し刃を角べ、君の武事を以て功を成すは、臣以為へらく難きに非ざるなりと。古人曰く、「蒙衝無くして攻め、渠答無くして守る、是を無善の軍と謂ふ」と。視るに見る無く、聴くに聞く無きは、国に市無きに由るなり。夫れ市なる者は、百貨の官なり。賤きを市(か)ひて貴きを売り、以て士人を限る。人は粟一斗を食ひ、馬は菽三斗を食ふに、人に饑色有り、馬に瘠形有るは、何ぞや。市に出づる所有りて、官に主無ければなり。夫れ天下の節制を提げて、百貨の官無くんば、其の能く戦ふと謂ふ無し。
-
司馬法・嚴位若し将に復た戦わんとすれば、則ち賞罰を重くす。
-
『武治提要』賞罰・第4段賞罰を嚴重にするは、たとへば活潑のけやけき藥を飮がごとし、的中するときは大利あり、的中せざるときは大害あり。故に吾に得る處あらずして、人の糟粕を咬て、以て嚴重をなすべからず。然れども嚴重を以てせざるときは、戰國にあつて國を廣し、兵を强して、社稷を全することを得べからず。武將の勤力此間にあり。賞物亦三等あり。言を以て賞し、物を以て賞し、地を以て賞すこれ也。一等各上中下を具す。故に賞物亦九等たり。地を以てするは功の上なり、物を以てするはこれに次、言を以てするは又これに次り。凡武將剛臆褒貶の言辭は、平日の政令にして、武俗を化するの本なり。其かゝる處甚重し。夫人々の好惡、其趣意同しからざるを以て、毀譽の批判必ず同じからず。これを一決すること、武將の批判にあり。
-
『潜夫論』正列旧時、京師は動功を防がず、禁を造りて以来、吉祥応瑞、子孫昌熾なること、前に過ぐる能わず。且つ夫れ君を以て臣を畏れ、上を以て下を需むれば、則ち必ず弱きを示して陵がれを取らん、殆ど福を致すの招きに非ざるなり。嘗て上記を観るに、人君の身修まり正しく賞罰明らかなる者は、国治まりて民安し。民安楽なれば、天悦喜して曆数を増す。故に『書』に曰く、「王は小民を以て、天の永命を受く」と。孔子曰く、「天の助くる所の者は、順なり。人の助くる所の者は、信なり」と。信を履みて順を思い、又以て賢を尚ぶ、是を以て天より之を祐け、吉にして利しからざる無し、此れ最も凶災を却けて福善を致すの本なり。
-
『政談』諸役人に器量を選ふ事才智なき人は才智の出たし所なき故、唯々上の心に合はせんと才智を廻はすより外のことなし、偖ては仕落をすましきと用心するまでなり、聖人さへ過ちはあるなれば仕落は誰も有ることなり、悪事は上の押へ扣へなくてもすまじきことなり、上の押へ扣へなきとて悪事をする程の人を囲ひ置きたれはとて何の用にか立つへき、左様の人は矢張り置きて悪事させて潰したるこそ然かるべけれ、用に立たぬ人御知行をもらうて居るなれは、左様の人を潰して善き人を取り立てゝこそ賞罰の道にも叶ふへけれ、
-
『韓非子』用人第二十七罪は甲に生じて、禍は乙に帰すれば、伏怨乃ち結ぶ。故に至治の国は、賞罰有りて喜怒無し、故に聖人極まる。