万民徳用 / 商人日用・問
商人問ふて云はく、たま〱人界に生を受るといへども、つたなき賣買の業をなし、得利を思ふ念休む時なく、菩提にすゝむ事叶はす、無念の至なり。方便を垂れ給へ。
新字:商人問ふて云はく、たま〱人界に生を受るといへども、つたなき売買の業をなし、得利を思ふ念休む時なく、菩提にすゝむ事叶はす、無念の至なり。方便を垂れ給へ。
書き下し
商人問ふて云はく、たま〱人界に生を受るといへども、つたなき売買の業をなし、得利を思ふ念休む時なく、菩提にすゝむ事叶はす、無念の至なり。方便を垂れ給へ。
現代語訳
商人が問うて言った。たまたま人間界に生を受けたのに、つたない売買の仕事をし、利益を得たい念が休む時なく、菩提に進むことができません。無念の極みです。方便をお示しください。
解説
『商人日用』の冒頭の問いです。商人は、利益を求める念が絶えず、それが菩提への妨げだと感じています。江戸前期、商いは身分上は士農工商の最下位に置かれ、利を追うことへの後ろめたさを、商人自身も抱えていたと考えられます。利益を求めながら誠実でありたいという葛藤は、現代の経営者や営業職にも共通する悩みです。正三はこの嘆きに対し、利益を否定するのではなく、利の求め方と心の持ち方を変えるという方便で応えていきます。
この章句が説くこと
商人売買得利菩提方便問い
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