万民徳用 / 修行之念願・第一条
一、佛曰く、佛法は、國王大臣有力檀那に付屬すと說きたまへり。然る則は、公儀其下知なくしては、佛法正理なるべからず。
新字:一、仏曰く、仏法は、国王大臣有力檀那に付属すと説きたまへり。然る則は、公儀其下知なくしては、仏法正理なるべからず。
書き下し
一、仏曰く、仏法は、国王大臣有力檀那に付属すと説きたまへり。然る則は、公儀其下知なくしては、仏法正理なるべからず。
現代語訳
一、仏は次のように説かれた。仏法は、国王・大臣・力のある施主に委ねられている、と。そうであるなら、幕府の指示がなくては、仏法は正しい道理にかなうものとはなりえない。
解説
仏法を支えるのは権力者であり、公儀の指示を欠けば正しい仏法も立たない、と正三は冒頭で述べます。旗本から出家した彼は、武家の社会の中で僧が生きる現実を知っていました。ここには、宗教を世の秩序と切り離さず、現実の統治と結びつけて考える姿勢が見えます。現代の組織に引きつければ、理念や志がどれほど立派でも、上層の理解と後ろ盾がなければ現場に根づかないという話に通じます。理想を実行に移すには、権限を持つ人を巻き込む必要があるのです。
この章句が説くこと
仏法国王大臣有力檀那公儀付属正理
関連する章句
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『驢鞍橋』卷中一日人来り修行の念願の意を問ふ。師示めして曰く、一仏曰く、仏法は国王大臣有力の檀那に付属すと説きたまへり。然らは公義の御下知なくしては、仏法正理なるへからずと書いたは、今時は仏の出世にても正理立ち難し。只御公義より下知あれは、忽ち正理に成る也。仏も是れに仍て国王大臣に付属すと申し置かれたり。あはれあはれ、御下知に因て仏法正理になしたまへかしと乍恐念願に存し奉る也。もはや二百年に余て、我朝の正法絶え果てり、扨て、是非に及はぬ次第也。此の段御訴訟申上度念願計也
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万民徳用・修行之念願・第二条一、仏は、万徳円満となり。然れは万徳の旨をうけずして修行する人は、仏弟子にあらず。願はくは万徳を旨として修行し給へかしとの念願也。
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万民徳用・修行之念願・第四条一、仏法は、成仏の法也。然れ共成仏の意得邪正あり。若し邪正の差別をしらずは、皆以て邪法なるべし。願はくは成仏の処に眼を着て修行したまへかしとの念願なり。
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万民徳用・修行之念願・第三条一、仏宝、法宝、僧宝、是れを三宝と崇め奉る也。此の三の宝をうけて、万民に施し、国土の宝となすべき旨なくして修行するは、僧にあらず。願はくは三宝の旨を守て修行したまへかしとの念願なり。
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万民徳用・修行之念願・第六条一、仏語に世間に入得すれは、出世あまりなしと説き給へり。此の文は、世法にて成仏するの理なり。然れは世法則ち仏法也、華厳に仏法不異世間法。世間法不異仏法。如此説き給へり。若し世法にて成仏する道理を用ゐすは、一切仏意をしらざる人也。願くは世法を則ち仏法になし給へかしとの念願なり。
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『驢鞍橋』卷上夜話に曰く、我仏法興隆の御政道、御公儀へ訟へ奉り度思へども、未だ天道に不許、先つ先祖先達血の涙を流し、修し行し残し置かれたる処の仏法、御下知なき故に廃れ果り、是れを御捨てなされ、御外護に預からさる事、我等の迷惑是れにすぎす。兎角御下知無くては仏法正理なるべからす。偏に仏法正理なるやうに御下知仰き奉ると、指出□□御訴訟申上度事大願也。
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