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晏子春秋 / 問下・晏子使魯魯君問何事回曲之君晏子對以庇族

晏子使魯,見昭公,昭公說曰:「天下以子大夫語寡人者眾矣,今得見而羨乎所聞,請私而無為罪。寡人聞大國之君,蓋回曲之君也,曷為以子大夫之行,事回曲之君乎?」晏子逡循對曰:「嬰不肖,嬰之族又不若嬰,待嬰而祀先者五百家,故嬰不敢擇君。」晏子出,昭公語人曰:「晏子仁人也,反亡君,安危國,而不私利焉;僇崔杼之屍,滅賊亂之徒,不獲名焉;使齊外無諸侯之憂,內無國家之患,不伐功焉。鍖然不滿,退托于族,晏子可謂仁人矣。」

新字:晏子使魯,見昭公,昭公説曰:「天下以子大夫語寡人者衆矣,今得見而羨乎所聞,請私而無為罪。寡人聞大国之君,蓋回曲之君也,曷為以子大夫之行,事回曲之君乎?」晏子逡循対曰:「嬰不肖,嬰之族又不若嬰,待嬰而祀先者五百家,故嬰不敢択君。」晏子出,昭公語人曰:「晏子仁人也,反亡君,安危国,而不私利焉;僇崔杼之屍,滅賊乱之徒,不獲名焉;使斉外無諸侯之憂,内無国家之患,不伐功焉。鍖然不満,退托于族,晏子可謂仁人矣。」

書き下し

晏子、魯に使いし、昭公に見ゆ。昭公説びて曰く、「天下、子大夫を以て寡人に語る者衆し。今見ゆるを得て、聞く所に羨ず。請う、私にして罪と為す無かれ。寡人聞く、大国の君は、蓋し回曲の君なり。曷為れぞ子大夫の行いを以て、回曲の君に事うるや」と。晏子逡循して対えて曰く、「嬰は不肖なり。嬰の族、又嬰に若かず。嬰を待ちて先を祀る者五百家。故に嬰、敢えて君を択ばず」と。晏子出ず。昭公、人に語りて曰く、「晏子は仁人なり。亡君を反し、危国を安んじて、利を私せず。崔杼の屍を僇し、賊乱の徒を滅ぼして、名を獲ず。斉をして外に諸侯の憂い無く、内に国家の患い無からしめて、功を伐らず。鍖然として満たず、退きて族に託す。晏子は仁人と謂う可し」と。

現代語訳

晏子が魯に使いして、昭公に会いました。昭公は喜んで言いました。「世の中には、あなたのことを私に語る者が大勢いた。今お会いして、聞いていた以上だと感じる。どうか個人的な質問をお許しいただきたい。私は、大国の君主はおおむね曲がった君主だと聞いている。それなのに、なぜあなたほどの人が曲がった君主に仕えているのか」。晏子はあとずさりして答えました。「私は取るに足らない者です。私の一族も私に及びません。私を頼りにして先祖を祀る者が五百家あります。ですから私は君主を選ぶことができないのです」。晏子が退出すると、昭公は人に語りました。「晏子は仁の人だ。亡命していた君を国に戻し、危うい国を安定させても、自分の利益にしなかった。崔杼の屍を辱め、賊や乱を起こした徒党を滅ぼしても、名を求めなかった。斉が外には諸侯の憂いなく、内には国の患いのない状態にしても、功を誇らなかった。満ち足りない様子でつつしみ、退いて一族に身を託している。晏子は仁の人と言ってよい」。

解説

魯の昭公は、晏子ほどの人がなぜ斉の君に仕え続けるのかと率直に尋ねます。晏子は君主の良し悪しではなく、自分を頼りに先祖を祀る一族五百家がいるから君を選べないと答えました。昭公はその退き際を見て、崔杼の乱の後始末をしても利も名も取らず、功を誇らない人物だと評価します。ここに描かれるのは、有能な人が自分の立場を、守るべき人々への責任として語る姿です。現代でも、組織を選べない事情を抱えながら、手柄を求めずに役目を果たす人は少なくありません。経営者にとっては、そうした人の背負うものを想像して処遇する視点を促される段です。

この章句が説くこと

仁人不伐功責任身の処し方私利晏子春秋

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