正法眼蔵随聞記 / 巻二
又云く、我れ大宋天童禪院に寓居せし時、淨老、宵には二更の三點まで坐禪し、曉は四更の二點三鮎よりおきて坐禪す、長老と其に僧堂裡に坐す、一夜も懈怠なし、其の間だ衆僧多く眠る、長老巡り行て睡眠する僧をば、或ひは拳を以て打ち、或ひは履をぬいで打ち、恥かしめ勸めて眠りを醒す、猶眠る時は照堂に行て鐘を打ち、行者を召し、蠋燭をともしなんどして、卒時に普說して云く、
新字:又云く、我れ大宋天童禅院に寓居せし時、浄老、宵には二更の三点まで坐禅し、暁は四更の二点三鮎よりおきて坐禅す、長老と其に僧堂裡に坐す、一夜も懈怠なし、其の間だ衆僧多く眠る、長老巡り行て睡眠する僧をば、或ひは拳を以て打ち、或ひは履をぬいで打ち、恥かしめ勧めて眠りを醒す、猶眠る時は照堂に行て鐘を打ち、行者を召し、蠋燭をともしなんどして、卒時に普説して云く、
書き下し
又云く、我れ大宋天童禅院に寓居せし時、浄老、宵には二更の三点まで坐禅し、暁は四更の二点三鮎よりおきて坐禅す、長老と其に僧堂裡に坐す、一夜も懈怠なし、其の間だ衆僧多く眠る、長老巡り行て睡眠する僧をば、或ひは拳を以て打ち、或ひは履をぬいで打ち、恥かしめ勧めて眠りを醒す、猶眠る時は照堂に行て鐘を打ち、行者を召し、蠋燭をともしなんどして、卒時に普説して云く、
現代語訳
また言われた。わたしが大宋の天童禅院に身を寄せていた時、如浄老師は、宵には二更の三点まで坐禅し、暁は四更の二点三点から起きて坐禅された。長老も共に僧堂の中で坐る。一夜も怠ることがない。その間、僧たちは多く眠る。長老は巡り歩いて、眠っている僧を、あるいは拳で打ち、あるいは履物を脱いで打ち、恥じ入らせ励まして眠りを覚まさせる。なお眠る時は照堂に行って鐘を打ち、行者を呼び、蠟燭をともしなどして、突然に説き示して言われた。
解説
師の如浄の日課が、時刻まで添えて記される。二更の三点は夜の十時ごろ、四更の二点三点は午前二時過ぎにあたり、坐る時間の長さがそのまま示されている。自分も共に坐り、一夜も欠かさなかったという事実が先に置かれ、そのうえで眠る僧を打つ場面が続く。厳しさが自分に向いた後に他に向かう順序になっている。
この章句が説くこと
坐禅日課厳しさ睡眠叢林如浄
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論語・里仁篇子曰わく、ただ仁者のみよく人を好み、よく人を悪む。
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『管子』法法猛毅の君は外難を免れず、懦弱の君は内亂を免れず。猛毅の君なる者は誅を輕んず、誅を輕んずるの流れは、道正しき者安んぜず、道正しき者安んぜざれば則ち材能の臣去り亡ぶ。彼の智者は吾が情偽を知り、敵の為に我を謀れば、則ち外難是より至る。故に曰く、猛毅の君は外難を免れずと。懦弱の君なる者は誅を重んず、誅を重んずるの過ちは、邪を行う者革まらず、邪を行う者久しくして革まらざれば則ち羣臣比周す、羣臣比周すれば則ち美惡を蔽う、美惡を蔽えば則ち内亂是より起こる。故に曰く、懦弱の君は内亂を免れずと。明君は親戚の為に其の社稷を危うくせず、社稷は親より戚し。君の欲の為に其の令を變ぜず、令は君より尊し。重寶の為に其の威を分かたず、威は寶より貴し。愛民の為に其の法を虧かず、法は民より愛し。
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『正法眼蔵随聞記』巻二亦或る時き近仕の侍者等云く、僧堂裡の衆僧眠りつがれて、或ひは病ひ起り、退心も起りつべし、これ坐の久き故か、坐禅の時剋を縮められばやと申しければ、長老大に嗔りて云く、然あるべからす、無道心の者の仮りに僧堂に居するは、半時片時なりとも猶眠るべし、道心ありて修行の志有らんは、長からんにつけていよいよ喜び修せんずるなり、
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