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正法眼蔵随聞記 / 巻二

時に門弟子等難じて云く、正しく是れ佛像の光なり、これを以て俗人に與ふ、佛物己用の罪如何ん、僧正の云く、誠に然り、但し佛意を思ふに、佛は身肉手足を割きて衆生に施こせり、現に餓死すべき衆生には、設ひ佛の全體を以て與ふるとも佛意に合ふべし、亦云く我れは此の罪に依て惡趣に堕すべくとも、只衆生の飢ねを救ふべしと云々、先達の心中のたけ、今の學人も思ふべし、忘るゝこと莫れ亦有る時、

新字:時に門弟子等難じて云く、正しく是れ仏像の光なり、これを以て俗人に与ふ、仏物己用の罪如何ん、僧正の云く、誠に然り、但し仏意を思ふに、仏は身肉手足を割きて衆生に施こせり、現に餓死すべき衆生には、設ひ仏の全体を以て与ふるとも仏意に合ふべし、亦云く我れは此の罪に依て悪趣に堕すべくとも、只衆生の飢ねを救ふべしと云々、先達の心中のたけ、今の学人も思ふべし、忘るゝこと莫れ亦有る時、

書き下し

時に門弟子等難じて云く、正しく是れ仏像の光なり、これを以て俗人に与ふ、仏物己用の罪如何ん、僧正の云く、誠に然り、但し仏意を思ふに、仏は身肉手足を割きて衆生に施こせり、現に餓死すべき衆生には、設ひ仏の全体を以て与ふるとも仏意に合ふべし、亦云く我れは此の罪に依て悪趣に堕すべくとも、只衆生の飢ねを救ふべしと云々、先達の心中のたけ、今の学人も思ふべし、忘るゝこと莫れ亦有る時、

現代語訳

その時、門弟たちが非難して言った。まさしくこれは仏像の光背です。これをもって俗人に与えました。仏物を自分の用に使った罪はいかがですか、と。僧正が言われた。まことにそのとおりである。ただし仏の御意を思うに、仏は身の肉や手足を割いて衆生に施された。現に餓死しようとしている衆生には、たとえ仏の全体をもって与えたとしても、仏の御意に合うはずである、と。また言われた。わたしはこの罪によって悪趣に堕ちるとしても、ただ衆生の飢えを救うべきである、と。先達の心のたけを、今の学人も思うべきである。忘れてはならない。

解説

弟子の非難を、まことにそのとおりだと認めたうえで答えているところが要である。罪であることを否定せず、それでも救うと言う。仏の全体を与えても御意に合うという言い方で、仏物を守ることと仏意に随うことが別だと示す。最後に、自分は悪趣に堕ちてもよいと引き受けており、前の巻に出た、他人のために自ら罪を負う菩薩の姿と重なる。

この章句が説くこと

慈悲布施覚悟仏物悪趣

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