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正法眼蔵随聞記 / 巻一

示して云く無常迅速なり、生死事大なり、且く存命の際た、業を修し學を好ます、只佛道を行じ佛法を學すべきなり、文筆詩歌等其の詮なき事なれば、捨べき道理なり、佛法を學し、佛道を修するにも猶を多般を兼學すべからず、況や教家の顯密の聖教、一向にさしおくべきなり、佛祖の言語すら多般を好み學すべからず、一事を專らにせんすら、鈍根劣器の者はかなふべからす、況や多事を兼て、心操をとゝのへざらんは不可なり

新字:示して云く無常迅速なり、生死事大なり、且く存命の際た、業を修し学を好ます、只仏道を行じ仏法を学すべきなり、文筆詩歌等其の詮なき事なれば、捨べき道理なり、仏法を学し、仏道を修するにも猶を多般を兼学すべからず、況や教家の顕密の聖教、一向にさしおくべきなり、仏祖の言語すら多般を好み学すべからず、一事を専らにせんすら、鈍根劣器の者はかなふべからす、況や多事を兼て、心操をとゝのへざらんは不可なり

書き下し

示して云く無常迅速なり、生死事大なり、且く存命の際た、業を修し学を好ます、只仏道を行じ仏法を学すべきなり、文筆詩歌等其の詮なき事なれば、捨べき道理なり、仏法を学し、仏道を修するにも猶を多般を兼学すべからず、況や教家の顕密の聖教、一向にさしおくべきなり、仏祖の言語すら多般を好み学すべからず、一事を専らにせんすら、鈍根劣器の者はかなふべからす、況や多事を兼て、心操をとゝのへざらんは不可なり

現代語訳

示して言われた。無常は迅速であり、生死は大事である。しばらく命のあるうちは、余計な業を修め学問を好まず、ただ仏道を行じ仏法を学ぶべきである。文筆や詩歌などはその甲斐のないことであるから、捨てるべき道理である。仏法を学び仏道を修めるにあたっても、なお多方面を兼ね学んではならない。まして教家の顕教・密教の聖教は、ひたすらに脇へ置くべきである。仏祖の言葉ですら、多方面を好んで学んではならない。一事を専らにすることさえ、鈍い者や器の劣る者にはかないがたい。まして多くの事を兼ねて心の操りを整えないのは、よろしくないのである。

解説

捨てよと言われるものが具体的である。文筆詩歌はもとより、顕密の聖教も、仏祖の言葉さえも多くを求めるなと言う。道元自身が幼少から外典を好んだと後の条で述べており、この厳しさは他人事ではない。無常迅速という時間の有限さが理由であり、価値の高低ではなく、残された時間に何が入るかという計算がここでの根拠になっている。

この章句が説くこと

無常一事専心取捨時間生死

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